毎度遅れてしまい本当に申し訳ありません。
お待たせしてしまった割に、今回のお話は死ぬほど進展がありません。
加えて後一話分は間話的な物が続くと思われます。
読んでくださる皆々様には、ご迷惑おかけしてばかりで大変恐縮ではございますが、もう少しお付き合いしてくださると幸いです。
それでは本編をどうぞ
台所に入ると、そこには二つの人影があった。
いや見覚えがある、というには最後に出会ったのが最近過ぎるか。
この幻想郷ではあまり見ないメイド服を着た銀髪の少女と、こちらも普段見かける事のない緑の中華装束を纏った赤髪の女性。
今回の異変の元凶である"紅魔館"の住人が、何故かそれぞれ包丁とお玉を持っており、料理の真っ最中といった感じでそこに居た。
頭が痛くなってくるのを我慢しながら、二人に問いかける。
「……なんでアンタらがここに居るわけ?」
「お嬢様に命じられたからです」
無表情で端的に言う少女と、それに苦笑する赤髪の女性。
何故お嬢様がそういう命令をするのかと新たな疑問が生まれた所で、隣に立っていた水蛭子が嬉しそうな声を上げた。
「わぁ! 咲夜さんに美鈴さん! こんにちは!!」
「……ふふ、こんにちは、水蛭子さん」
「こんにちは。お邪魔してます」
無表情だった少女、咲夜は水蛭子の言葉にわずかに微笑み、赤髪の女性、美鈴は丁寧なお辞儀をする。
ニコニコと笑顔を浮かべた水蛭子が、私がしたのと同じ内容の質問を二人にした。
「どうしたんですか、今日は?」
「異変解決を祝した宴会が執り行われるとの事でしたので、お嬢様が迷惑かけた分私達二人と妖精メイドを動員させると八雲紫に話したそうです」
「そういう訳で、お料理や配膳なんかは我々紅魔館の者がしますので、皆さんはゆっくりなさってくださいね」
「えっそんな悪いですよ」
「いやいや水蛭子。いやいやいや」
さも当たり前の事かの様に話をしている三人だけど、少し待ってほしい。
今回の異変の原因がコイツら"紅魔館"で、宴会の料理をするのがコイツら????
「毒でも盛られたらどうするのよ。もしそれが人里に話が伝わって神社の評判が下がりでもしたら、ただでさえ少ない参拝客が更に減るじゃない!!」
「最終的に心配なのソコなのか? というか妖怪だらけの宴会を開く時点で、なんで妖怪退治するとこが妖怪集めてんだってなるだろ」
「……八方塞がりってわけ……!?」
「ははーん、さては霊夢お前バカだな? いだだだいだいッ!!!!」
ちょっとうるさい魔理沙の頭を拳骨で挟んでいると、心外だといった様子で咲夜が口を開いた。
「そんなお嬢様の顔に泥を塗るような真似を私たちがする筈ないでしょう」
「そのお嬢様がそう命令してたら最悪だって言ってんの」
「……なるほど意外と頭が回るわね貴方。流石は幻想郷を守護する博麗の巫女といった所かしら」
「……アンタこそなかなか人を見る目があるわね。まぁ紫に毒見させたら良いし、今日は一日頼んだわ」
「単純すぎるだろ! コイツらダブルでバカだぞ水蛭子!! いひゃいいひゃい!!!!」
もう一声うるさい魔理沙の頬を、私と咲夜が両方から抓って伸ばす。
どうやらコイツとはなかなか気が合うらしい。
「咲夜、だっけ?」
「はい」
「水蛭子から聞いたんだけど、アンタが淹れる紅茶とクッキーって美味しいらしいじゃない」
「いえ、恐縮です」
謙遜しているが、微かに口の端が上がっているのが分かる。
なるほど、水蛭子が好きそうな子だ。
「今日は宴会だけど、また日を改めてお茶会でもどう? 水蛭子も喜ぶと思うんだけど」
「うん! それ良い! ……どうですか咲夜さん!?」
「え、っと……はい、私が相手で宜しければ、是非」
私の提案に嬉しげに頷く水蛭子。
そんな私達に咲夜はちょっぴり恥ずかしそうに言い淀んだ後、隣で微笑む美鈴をチラリと見てからコクリと頷いた。
「やったー! 私お団子用意しますね! 人里の物凄く美味しいの!!」
「なら、普通のお茶も用意しましょうか。紫に頼んで外の世界から取り寄せてもらって」
新たな来客と談笑をしている紫を、戸の間から見ながらそう言うと、咲夜が申し訳なさそうな声を出す。
「あ、あの……お構いなく……」
「ままま、咲夜さん。折角のお誘いなんですからご好意に甘えましょう!」
「でも美鈴」
「皆さん、うちの咲夜さんはちょっぴり世間知らずな所があるから、色々困らせちゃう事もあるかもしれないけど、物凄く良い子だから仲良くしてあげてくださいね」
「美鈴……????」
ニコニコとした顔で話す美鈴に、私は何となく、母親面している時の紫を思い出す。
困惑している咲夜を見るに、美鈴のこういうタイプの言動は初めての出来事の様だ。
思いがけないといった様子の咲夜だが、美鈴は彼女の事を娘の様な存在だと思っているのだろう。
「ふふふ、安心してください美鈴さん。咲夜さんが優しくて可愛くてなんでも出来て素敵の塊みたいな女の子だって事は、霊夢にも魔理沙にも既に話してますから!」
「何やってるんですか?」
胸を張って言う水蛭子に冷や汗を流す咲夜を見ながら、私と魔理沙が深く頷く。
「うん。めっちゃ長々と語られたわよ」
「アンタが如何に素晴らしい人間なのかはよく知ってるぜ。これから宜しくな」
「あ、よろしくお願いします。……いや本当に何やってるんですか????」
表情の起伏が少ない咲夜だが、今現在物凄くテンパってるのは声色で分かる。
正直言うと彼女には少し冷たい印象を持っていたけど、水蛭子から聞いた話と目の前の少女の様子からすると、どうやらそういう訳でも無いらしい。
仲良くやれそうだ。
◆ ◆ ◆
なんやかんやあって咲夜と美鈴の人となりが分かったので、私は一人宴会場の方に戻ってきた。
水蛭子と魔理沙はまだ話し足りないと残ったので、別行動だ。
宴会場をグルリと見渡すと、先程より少し人の数が増えている。
その中でも、茣蓙の上に敷かれた座布団に腰を落ち着かせて話し込む紫と、桃色の髪をした女性が視界に目立った。
あれは確か、冥界の亡霊『西行寺幽々子』だ。
今回の宴会の為にわざわざ冥界から出てきたらしい。ご苦労な事だ。
「あら霊夢。もう紅魔館の子達とのお話は済んだの?」
「アンタって、普通コイツは呼んじゃダメでしょってヤツばっか呼ぶわね」
「も〜霊夢ったら。昨日の敵は今日の友というじゃない」
あははと陽気な笑みを浮かべながら手を振る紫から視線を外し、隣に座っている幽々子を見る。
「久しぶり〜霊夢。少し見ない間に随分大きくなっちゃったわね〜」
「アンタは少しも変わらない気がするわ」
「昔と変わらず綺麗で若々しいって? もう霊夢ったらお世辞も上手になっちゃって」
「言ってない言ってない」
のほほんと微笑む幽々子に、手を横に振る。
相変わらずお花畑みたいな脳みそをしてるなこの亡霊。
この二人は友人同士らしいが、類は友を呼ぶとはこの事というか。
どちらもそれなりに力のある妖怪であるにも関わらず、どちらもそれなりにポヤポヤしている。
そんな二人を内心苦笑いしながら見ていると、幽々子が「あ、そうだ」と手を叩く。
「霊夢はまだうちの庭師に会ったこと無かったわよね。紹介したいけど……今お料理を取ってきてもらってるの」
「入れ違いだったのね。……ところで冥界に庭師なんて必要なの?」
冥界に行った事無いけど、死後の世界というのだから何となく殺風景な感じがする。
手入れする草花なんてあるのだろうか。
「勿論よ。白玉楼のお庭を見たら、きっと驚くわよ? 私の形に剪定されたヒバを見たら感嘆のため息間違いなし!」
ニコニコと笑いながら言う幽々子の言葉から、彼女を象った木を想像してみる。
……なんか、これじゃない感があるわね。
そういうのって鳥とか馬とか、動物の形をしてるもんなんじゃないの?
「木の剪定って普通、動物の形とかのイメージあるけど」
「ね、あの子が嬉しそうに見せてきたのを見た時は思わず笑っちゃったわ」
「結構リアルに作られてるわよね。あの子から幽々子への愛情を感じるわ」
「でしょ〜? でも最近、ちょっと小言が増えてきたのよね……」
「分かるわ〜! ウチの藍も細かいことを良く気にしてね……」
アンタらみたいなのが主人だったら至極当然の事だと思う。
という言葉は胸のうちに仕舞っておくとしよう。
そんな感じで、あんまりやらない愛想笑いをしながら、ふと視線を動かす。
水蛭子と魔理沙が台所から戻ってきたようだ。
しかし隣には見覚えの無い、緑の服が特徴的な少女を一人伴っている。
誰なのだろう。
◆ ◆ ◆
どうも、魂魄妖夢です。
今日は異変解決を祝した宴会が開かれるとの事で、幽々子様に伴い博麗神社に来ています。
この神社には初めて顔を出しますが、あの博麗の巫女が住んでいる神社にしては、思ったより質素というか。
ボロいとかでは無いのだけど、これは格式高い神社だと言われて「ああ、なるほど」とはならないですね……。
一体どんな神様を祀ってるのかしら。
……え? なんですか幽々子様?
お腹が空いたから料理を貰ってきて? ……いや、まだ宴会始まってないんですけど。
……あぁ、はい。はい分かりました。じゃあちょっと待ってくださいよ。
我儘な主人のお願いを受け、台所に向かう。
途中紅白のおめでたい服を着た女の子とすれ違ったけど、相手は此方に視線を向けないまま歩き去って行く。
もしかして、あれが博麗の巫女なのだろうか? 思ったより若いんだなぁ。
台所に入ると、四人の女の子達が楽しげに談笑していた。
むむ、話しかけづらい雰囲気だ。
しかし早く料理を持って行かないと幽々子様がグズりだすからなぁ。
それは困るので、思い切って声をかける。
「あの〜、すみません」
「はい?」
「あ。アナタは……」
此方を見た四人のうち、一人は知った顔だった。
私が人里に買い物しに来た時、大体の確率で話しかけてくる少女。
彼女のことは水蛭子という名前しか知らないけど、あの八雲紫と親しい仲であるという事が分かっている。
本人曰く“ 人里の普通の人間”らしいけど、八雲紫とちゃんとした面識があるということ自体、普通では無いっていうね。
……ああ、そういえば幽々子様に彼女を事を詳しく聞こうとしたんだけど、隠していたぼた餅を食べられたショックで忘れてたんだ。
あの人マジでいい加減にして欲しい。
「あっ! 貴方は若白髪……じゃなくて、えっと」
「妖夢と申します。先日はどうも、水蛭子さん」
今めちゃくちゃ失礼な事を言われた気がするけど、ぼた餅を食べられたショックと比べたら軽いものだ。
……いや? 全然軽くないな? 若白髪は普通に悪口だよな??
「妖夢さんっていうんですね! それで、今日はどうしたんですか?」
「えっと……うちの主人が、何か料理を食べたいらしいんですけど」
「え。ご主人……ですか」
ポカンとした表情をされる。
ああ、流石に駄目ですよね、宴会も始まってないのに料理をよこせだなんて。
でもなぁ、あの人食べ物の事となると本当にうるさいからなぁ。
「失礼は承知の上です。もう、生野菜とかでも良いので、お恵みくださると……」
「いえ、それは大丈夫だと思うんですけど。……妖夢さんってご結婚されてたんですね」
「はい?」
水蛭子さんの思わぬ発言に、今度は此方がポカンとする番になった。
旦那さん? 私の? なんで??
「人は見かけによらないの極みみたいな奴だな」
「旦那さんの為にお料理を……では何か精の付く物を……あ、こちらの鰻はどうですか?」
「甲斐甲斐しいですねぇ」
他の三人もそれぞれ反応を見せるが、どれもこれもなんか可笑しい。
何故私が既婚者の設定になってるの????
……もしかして、“うちの主人”って言い方が不味かったのか……?
◆ ◆ ◆
いやー、まさか妖夢さんに旦那さんが居るとは。
意外と言ったら失礼だけど、外見年齢は私と同じくらいだから、結構びっくりしてしまった。
何かを言おうとしていた妖夢さんだったけど、魔理沙と咲夜さんと美鈴さんの勢いに流されてついぞ諦めた様に肩を落としていたが、何か伝えたい事があったのかな。
それにしても。
……結婚かあ、私や霊夢もいつかするのかな。
博麗の巫女は男運が悪いって聞くし、もし霊夢に彼氏が出来たら、私がちゃんと見てあげないと。
変な男だったらぶっ飛ばしてやらなきゃ。
……あれ? 待てよ、この思考はちょっと重い……?
霊夢が良いと思う相手だったら良い人に違いないし、まぁ、そんなに気にしなくても平気だよね。
「どうしたの水蛭子?」
「え? あ、ああ……私と霊夢も、いつか結婚するのかなって」
「……はい?」
考え込んでいた私に、不思議そうな顔で聞いてきた霊夢にさらりと答える。
すると、霊夢が物凄く変な顔をして固まってしまった。
どうしたのだろう。
「おお……!? 来たか? 遂に来たかお前ら……!!」
「え……何が……?」
今度は私が首を傾げていると、茣蓙の上に胡座をかいていた魔理沙が興奮気味に口を開いた。
それに続くように、紫さんは複雑そうな面持ちを扇子で隠し、その隣に座っていた桃色の髪をした女性が微笑ましそうに笑う。
何かを言い出すタイミングを伺っていた様子の妖夢さんも「女の子同士で……!?」とか言って驚いた顔をしているけど、何の事がさっぱり分からない。
「えっと……私が結婚の話をするの、そんなに変だった?」
「変じゃない変じゃない!! アタシは全然OKだと思うぜ!!」
ちょっと興奮し過ぎな気のする魔理沙が、グッと親指を立てて頷く。
そんなに滅茶苦茶肯定されたら逆に戸惑う……。
「私としては、もうちょっと……ゆっくりとしたペースでも大丈夫だと思うけど」
「もう紫ったら。二人がそうしたいって言うならアナタが支えてあげないと」
紫さんが忙しない様子で、私と霊夢の顔を交互に見ながら言うと、桃色の女性が困った様な笑みを浮かべて紫さんの肩を軽く叩いた。
なんだかよく分からない反応が続く中、妖夢さんの方をチラリと見ると。
「えっと、おめでとうございます?」
だから、何が……?
◆
美鈴と二人で鰻の蒲焼きを持っていくと、宴会場の真ん中の方が、おかしな状況になっていた。
博麗の巫女と水蛭子さんが隣同士で座らされて、白黒の魔法使いが嬉しそうな顔してそれぞれの持つお猪口に日本酒を注いでいた。
なんだか目出度そうな雰囲気だけど、当の水蛭子さんは物凄く戸惑った表情をしており、博麗の巫女の方は頭の上に大量の?が浮かんでいるのが遠目からでも分かる。
なに、この……何?
鰻を乗せた皿を片手に、美鈴に視線を移す。
彼女もどういう状況かよく分かってないらしく、私の視線に首を左右に振った。
……取り敢えず、冷めないうちに鰻、持っていこうかしら。
「これ、どういう状況なの?」
「ああ、咲夜さん。それがですね……」
集団に歩み寄り、お皿を中心に置きながら蚊帳の外といった感じの妖夢さんに問いかける。
妖夢さんもなんだかよく分かってないらしいが、要点を掻い摘んで話してくれる。
・難しい顔をして考え込んでいた水蛭子さんからの「私と霊夢もいつか結婚するのかな」発言。
・そして浮き足立った魔法使いが場を囃し立てる。
・将来の夫婦に祝い酒を注がれる←今ココ! といった感じらしい。
え、あの二人そういう仲だったの?
確かに仲良さげだったけど、どちらかというと信じ合える親友同士といった感じだった。
当の本人達も、なんでこうなっているのか分からないといった感じだし。
恐らく、完全に周囲面々による勘違いだろう。
私は苦笑しながら妖夢さんに話しかける。
「大変ですね。妖夢さんも旦那さんの所に行きたいでしょうに」
「あ、いやっ。その事なんですけど……主人というのは私が仕えているそこの西行寺幽々子様の事でして……私自身はまだ結婚とかはしてないんです……」
「ですよね」
「ですよね?」
驚愕の表情を浮かべる妖夢さんに、申し訳ない気持ちを抱きながら言葉を返す。
「ええ、その。私その場の雰囲気に流されやすいみたいで……つい乗ってしまいました。ノリに」
「ノリに……!?」
「咲夜さんにかかれば乗りこなせないノリなんてありませんからね!」
「ちょっともう美鈴ったら。やめてよ」
「(何言ってんだこの人達……?)」
疲れた表情をする妖夢さんを尻目に、美鈴の変な弄りを受け流しつつ。
状況への理解が追いついた私は、飲め呑めと二人に促す魔理沙さんに近づいて話しかけた。
「私も一杯、注がせてもらっても?」
「おー勿論だぜ」
酒瓶を受け取り、未だに困惑した様子の二人へ静かに歩み寄る。
そして一言声を掛け、酒瓶を傾ける。
但し、このお酒は冷やかしの物ではない。
「……お二人共、この度はお疲れ様でした」
「あ、咲夜さん。えっと……ありがとうございます?」
私の単純な労いの言葉に、水蛭子さんは肩透かしを受けた顔で会釈をした。
霊夢さんも意識を取り戻した様に視線を此方に向けた。
そんな二人に小さな苦笑を漏らしつつ、私は言葉を続ける。
「お嬢様も、満足そうにしておられました。今朝も笑顔で「二人によろしく」と。……あ、不快な気持ちにさせてしまいましたか?」
お嬢様の言伝を伝えてから、しまったと思う。
そういえば、と言うと耳触りが悪い気もするが、この二人はお嬢様と戦い、尚且つ博麗の巫女である霊夢さんに関してはお嬢様に敗れている。(お嬢様曰く“反則”を使ったらしい)
そして高所からの自由落下。水蛭子さんと魔理沙さんが助けなければ死んでいたかもしれないと聞いていた。
なのでお嬢様が満足そうだの笑顔だのという言葉は、彼女たちに琴線に触れてしまうのではないかと思ったのだけれど……。
「全然不快だなんて! もう過ぎた事ですから」
「うん。負けたのは私が弱かったからだし」
「あ、その事なんですが、お嬢様曰く「あれは反則」だったと」
「それでも、よ」
私の言葉に被せる様に、強い口調で霊夢さんが言う。
「その気になれば、いつでも打倒出来る存在。そんなんじゃ博麗の巫女の名が廃るわ」
そして、彼女はニヤリと白い歯を見せて笑った。
「アイツに伝えておいて。「次は完膚無いまでに叩きのめす」ってね」
「わ、私もまた勝ちますから……ね!」
「……ふふ、承りました」
思わず笑みが零れる。
その言葉をお嬢様に伝えたらきっと喜ばれるだろう。
……まぁ、今現在二人の後ろに立ってるんだけれど。
ちなみに、水蛭子と霊夢が本気でデキてると思っているのは魔理沙だけだったりします。
紫は「そういう未来が来てもまぁ受け入れるけど、今直ぐでは無いかな」といった感じ。