~八幡side~
一試合目は見れなかったので、会話を切って見ようとする。
「ん?」
裾を引っ張られて、そちらを向く。そこにはなにか言いたそうにしているヒナタがいる。そういえばさっきもなにか言おうとしていたな。
「どうした?」
「…………えっと……」
中々切り出さないな。
「………」
なにかボソボソ言ってるのは分かるが、難聴系主人公ではない俺でも聞き取れない。
「ヒナタ、試合が始まるからそれが終わったらな」
「…………はい……」
電工掲示板に表示されたのは、『ザク・アブミVS油女シノ』か。
「音の奴がどんな忍術を使うか知らないが、シノに勝てる奴は下忍じゃ殆んど居ないな」
「そーだねー。シノくんの相手、腕に怪我してるみたいだしよゆーでしょ!」
その通り、ザクとやらの忍術は腕からの真空波みたいだが、シノとは相性がとても悪かったな。
「さて、次は誰だ?」
『カンクロウVS剣ミスミ』か、砂の忍びがどんなものか…ってあれば傀儡使いか。あ、ありゃ死んだな。
「あら、傀儡使いなんて珍しいわね?あの目とか昔の誰かさんにそっくりじゃない」
「ほっとけ。今はもう普通の目だ」
第三次忍界対戦で、瞳力を使いすぎたせいで変えざるを得なかったが、そのお陰でさらに強くなったし腐ってた目も変えられたからいいか。
「次は春野サクラに山中いのか」
「忍としてはどちらも大差ないが…山中家と言えば心転身の使い手だな。あれはこの試験内容的にも一発で終わりだ」
「え?どーゆーことなのヒッキー?」
「はぁ…お前はそんなことも知らないのか?」
「こればかりは比企谷君に同意だわ。由比ヶ浜さん、上忍なんだから多少知る努力をしましょう?」
「…ヒッキーもゆきのんも酷い!」
「とか言ってるうちに、心転身の術が決まったみたいだな。ほれ、よく見てろ由比ヶ浜。今から春野サクラがリタイアするぞ」
「ええー?この場面でなんで?いのちゃんは気絶してるみたいだしチャンスだよ!」
「私、春野サクラはこの試合……棄権してたまるもんですかー!」
「……はっ!?アイツ心転身を気合いで破ったってのか?」
「嘘でしょ?いのの心転身は気合いでどうこうできるものではなかった筈よ?チャクラが足りなかったのかしら…」
そして女を掛けた戦いは、グーパンによって決まる。
「引き分けか…いいパンチだったな…ん?何処行くんだ雪ノ下?」
「いのを運ぶのよ。私の部下なのだから私がやらないとでしょう?」
「ああ、そういうことか」
見ればカカシも降りて春野サクラを運んでいた。