~八幡side~
「てな訳で、お前たちを中忍試験選抜に推薦しちゃったから」
「え!?」
試験前日に皆を集め、推薦書を渡す。
「ふっふーん、ヒッキーが皆の事強く推してたよ!」
「うるさいぞ由比ヶ浜…まぁ試験内容的にもお前らなら余裕だろ」
「ひゃっほぅ!これで中忍に成れるぜ!」
「それはどうか分からんが、取り敢えずその紙に同意の印を書いて、明日の午後四時までに、
演習場にゆっくりと入ると、既に二人は来ていて仲睦まじく話していた。
「おっそーい!ヒッキーが来いって言ったのに一番遅いよ!」
「悪かったな。さて、二人に残ってもらったのは…まず由比ヶ浜、お前に任務を伝えるよう言われていた。内容はこのプリントにかかれているから今すぐ向かってくれ」
追い払うようにシッシッとやる。
「えーっ!明日からヒナタちゃんたちの中忍試験なのにー」
本当はそれに関係することだが、受験者の前で言うのは駄目だろうから耳打ちする。
「…中忍試験の試験官の手伝いだから、ヒナタたちを見てられるぞ?」
「ホント!じゃあすぐに行ってくる!」
「……じゃあヒナタ、お前には今から稽古をつけてやる」
「…え?」
ボーッとしてたらしく、首をかしげている。
「受験が始まってからだと駄目だからな……お前に教えるのは、対柔拳の技だ」
今頃は中忍試験のペーパーテストをしてる頃か…
「ま、しかし…部下達がいないとなるとヒマになるねェ~。任務お預け」
「いや…すぐにドンドン落とされるハズだ」
上忍の待機所で、暇な俺らは茶を啜っていた。
「何で?」
「今年の第一の試験官、あの森乃イビキだとよ」
「…………よりにもよってあのサディストか……」
(こりゃ第一の試験も危ういな…クソ…)
「サディスト?比企谷君、イビキってどのような人なの?」
「ん、拷問と尋問のプロだよ…役職は木の葉暗部、拷問・尋問部隊長…特別上忍森乃イビキ」
(まぁ試験に肉体的な拷問はないにしても…尋問のスキルを生かした精神的な"苦しめ"を強いられているに違いない…)
「暗部の部隊長?」
「ああ。イビキは人間の心を知り尽くしている。そして最もアイツの恐ろしいところは、相手を心理的に追い詰めることで精神を操りいたぶり、人間の本来もつ弱味を浮き彫りにすることだ」
「よく知ってるわね。ストーカー?」
「誰が野郎をストーキングするか。やるならやるでお前や由比ヶ浜みたいな美女をするわ」
美女と言われて顔を赤くする雪ノ下。俺は鈍感系主人公ではないから、それが照れから来るものだと分かる。
「八幡、くれぐれも捕まるなよ?里一の上忍がストーカーとかヤバイから」
「…
「これの面白さが分からないなんて子供だなぁ」
「うっさいぞ年下が…ん?」
窓際に一匹の鷹が止まる。足元には紙が括りつけられている。
「…ほら、飛んでいいぞ……ん、そうか」
「何だって?」
「じいさんから呼び出しだ。しかも死の森中央の塔か…面倒なことになったな」