~八幡side~
「おいカカシ。何故ここにいる?」
演習が終わり、じいさんに報告を済ませて一楽に晩飯を食いに来たら…
「何故って…晩飯時だからでしょ」
「らっしゃい!」
一楽のおっさんに軽く挨拶をして、席に着く。
しかしカカシは毎度毎度あのマスクを外さずにどうやって飯を食っているのか…」
「声に出てるよ…それよりも意外だったね。まさか八幡が下忍の担当を持つとはね」
「こっちのセリフだぞ、それは…お前だって毎回
ネギ味噌ラーメン大盛りを注文し、水を口に含んで喉を潤す。
久々の一楽だから楽しみだな。
「それは俺の求めるような生徒がいないからだよ」
「掟よりも仲間を大切に、か…相変わらず顔に似合わず理想的なことを言うな。だが、今回の下忍はその理想の生徒だったか?」
「へいお待ちっ!」
待ちわびたラーメンを啜る。うん、暴力的な旨さだ。
「…確かミナト先生の息子にうちはの生き残り、後はただのくのいちだったな」
「ナルトにサスケ、サクラだよ…アイツらは、昔の俺たちに似ている…」
そのアイツらがオビトたちなら、その関係性が目に浮かぶようだ。
「…そうか…まぁ頑張れ」
「ああ、じゃあ俺食い終わったしもう行くね。お勘定は此処に置いとくよ」
そう言って歩いていくカカシ。てか…
「長話しすぎたな…ラーメン伸びきってる…」
感想、延びきっていても一楽のラーメンは旨かった。
そして数日。
愚痴を言いながらも、幾つかのDランク任務をこなして(猫探し、屋根修理、除草、図書整理etc…)まぁ忍としてやっていけると判断した俺は、じいさんに報告をする。
「…で?Cランクは無理なのか?」
「バカを言うでない。まだ下忍になったばかりじゃろう」
「つっても、キバが言い出したのはカカシ班がCランク任務に言ったかららしいが…」
「…ナルトが言いふらしたのかのぉ」
今は一人の上忍として来ているので、暗部の仮面はつけていない。案外この姿で来たのはガキの頃以降初めてなのかもな。
「じゃあ…」
「失礼します。葉山です」
「うむ、入ってよいぞ」
口を開いたとたん、ノックと共に知っている声が聞こえる。って葉山かよ…素顔だから面倒だな。
「報告があって来ました…ヒキタニ君?」
「
「…実は、護衛の依頼を出したいのです」
「お主がか?必要ないじゃろう」
「いえ…雪ノ下がです」
雪ノ下。それは雪ノ下雪乃の苗字にあるように、木の葉の小大名の一つだ。個人的には絶対関わりたくない。
「うむ…では八幡よ。お主の班と葉山の合同でこの任務を受けよ」
「…は?ちょっと待て、何で俺なんだ?」
「お主は何かと雪ノ下とは関わりがあろう。それに、今Cランクの任務を受けたいと言ってたであろう」
「だから何で?これは明らかにCランクじゃなくてBランク以上だろ」
「まぁ本来はそうじゃが、今回は危険もある訳じゃない、そして上忍の葉山との合同じゃからCランクとする。他に文句がなければ決定じゃ」
「ちょ…」
何かを言おうとするが、咄嗟に何も出てこない。
そうだ、此処には葉山もいるから頼ろう。
「宜しくな、ヒキタニくん」
俺の味方は居なかった。
と言うわけで翌々日、大きな城から出てくる雪ノ下の母親の護衛に参加した。
元々の護衛が何人もいるが、忍としてはキバたちの方が上のようだ。
「うわー、あれがゆきのんのママ?すんごく若い!」
「うっ…あのオバサン香水キツいぜ」
「静かに…確かにキバにはキツいかもな」
籠に入ってるのに匂うくらい強い、何かの花の匂い。
ちらっと素顔が見えた由比ヶ浜の反応が少しうざいが、教え子が露骨に嫌な顔を俺に向けてくるので、隣の葉山にも言う。普通に葉山にも聞こえてたろ。
「と、言うわけでだ。どうにかならんか?」
「うーん、配置を変えてもらうしかないかな?…まぁどうせメインはヒキタニくんだけだし問題ないはずだよ」
元々下忍は当てにしてないのか…
「あの…」
今度は裾を引っ張ってくる…声的にはヒナタか。
「どうした?お前も匂いがキツいか?」
「いえ…えっと…」
「ん?…成る程」
ヒナタの眼を見ると、白眼が発動していた。それを察するに、敵だろう。
「…神楽心眼」
「っ!いきなりどうしたんだい?」
隣で急に印を結ぶ俺に、驚いたように聞く葉山。ただ感知中にそれはうざいな。
「…敵だ。うちの班員が気づいた…中々出来る奴だな」
おそらく狙いは雪ノ下の母親。てか忍に襲われるってAランクだろ。
「まぁ潰してくる。その間頼むわ」
「えっ?まさか一人で行くつもりか?」
「わざわざ連携するほどじゃない。一分経って帰ってこなかったら急いで逃げろよ」
言うだけ言って、超スピードで駆ける。
相手は急接近してくる俺に気づいたようだが、既に目の前だ。
「くたばれ」
忍術を使うまでもなく、高速で迫った俺の膝が、すれ違うように腹に吸い込ませた。
「ぐはぁっ!!」
一瞬で片付いたな。思ったよりも強くなかったな。
てかこいつ、岩隠れの上忍じゃねーか。
「放置か…連行か…またはめんどいし始末か…」
結局めんどくなって、火影室に飛雷神の術で送りつけて、何事もなく護衛に戻った。