チートぼっちのソードアート・オンライン 作:black cat☆
『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』
周囲がざわついてる中、なにかは発した。
(私の世界?どういうことだ……)
『私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロール出来る唯一の人間だ』
「「「「っ………!」」」」
俺達は息を呑んだ。そう、この世界を作ったのは茅場晶彦。すなわちその創造主が来た。皆それぞれに動揺が走る。
それから、茅場晶彦は語って言った。
・ログアウト不能は本来の仕様
・自分のヒットポイント、つまりHPが0になったらナーヴギアによって脳を焼却され、死ぬ
・ナーヴギアを壊しても同様
・電源が切断されても10分間、回線切断されても2時間は猶予がある。
これらを言い終えた時、俺は決めていた。
クリアしてやる!絶対に、あの世界に戻ってやる!!アイツらの元に戻るために!!
『それでは最後にこの世界が諸君らにとって唯一の現実である証拠を見せよう。アイテムストレージにアイテムを送った。確認してくれたまえ』
茅場晶彦はそう言ってきて、俺はストレージを見る。他の3人も同様に。
すると、俺達は青い光にまた包まれる。青い光が収まり周りを見ると、誰も知らない人がいた。
(あれ?俺転移された?いやでも場所は代わってないはず……ってあれ、なんでキリトが元の顔に……!!)
俺は気付いた。さっきの青い光は元の顔に戻すためのものだ。つまり、野武士のような奴はさっきまではクラインがいたからクライン本人だろう。アスナは変わっていないようだ。
「お、お前誰だ!?ってオクト変わってねぇ!?」
クラインはキリトを見ながら俺にも言ってくる。
「俺は変えてないからな……なるほど、現実か」
そこから茅場晶彦の演説が再開する。茅場晶彦の一つ一つの言葉にはなにか、情熱のようなものを感じる。つまり、茅場晶彦はこの世界を作りたかったことになる。しかしまだこれは推測の域だ。だが、これが最も有力であろう。
『私の目的はただ一つ。私はこの《ソードアート・オンライン》を鑑賞の為のみ考案し、作り上げた。そして私の目的は達成した…以上で、《ソードアート・オンライン》正式サービスチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の健闘を祈る』
そう言って茅場晶彦は消えていった。俺とキリトはすぐに顔を合わせ、キリトはクライン、俺はアスナを連れてはじまりの街を走る。
***
俺達4人は路地に入る。クラインは息を荒いが、アスナはついてこれてたみたいだ。
「……クライン、アスナ、よく聞け」
キリトは張り詰めた気持ちを押し殺して話す。
「俺とオクトはすぐこの街から出て次の村に進む。2人とも俺らと一緒に来い」
「え……」
「け、けどよ……俺リアルで一緒に徹夜で並んでソフト買った奴らがいるんだ。そいつらもログインして、さっきの広場にいるはずだ。置いていけねぇよ」
ここで他人のことは心配出来るかって言っても仕方がない状況だ。それなのにクラインは他人を見捨てない。俺はそれに驚いた。以前の俺ならばそうしてた。いや、できなかったか。俺は俺だ。変わらない。今では俺のお人好しも感じてきている。そして俺がこんなことを言うのはおかしいだろうか。
「……だったら、そいつらとギルド作って俺らに追いついてこい」
「オクト……」
「そんで、一緒に戦うぞ」
「…!おう!分かったぜ!」
クラインは自分の仲間を見つけるため走って行く。
「アスナはどうする」
「え……」
「アスナは女の子だ。これからの戦いに耐えれるか分からない」
「あぁ、おまけにこの世界だと男が多い。俺も危ないと思う」
「……」
俺は、こいつには戦ってほしくないって思っている。だがこれは俺のエゴだ。そしてこいつが行かないって言ったら仕方ないことだ。年頃の女の子がこの世界に放り出されて精神的にキツいはずだ。だがなんにしろ、この先を決めるのは、アスナが決めることだ。
「……私も戦う」
「…いいのか?」
「うん、例えモンスターに負けても、この世界に負けたくない!」
俺はどうやらこの女の子を甘く見てたようだ。俺は不意に笑ってしまった。
「……クラインに追いつかれないために行くか」
「おい、オクトお前本当は楽したいからあんな煽り方しただろ」
「さぁなんのことかなー」
「あ、おい!」
「待ってよー!」
俺はすぐに次の村までの道を走って行く。それを追う2人の影。
俺達は、これから始まった。
最強のパーティーとして。
俺はそれを予感してたのかは知らないが、笑みを浮かべながら、後ろの2人と走って行く。