高1
五十嵐と会ってから数か月、特に大きなことはなかったが五十嵐は結構いい奴だということが分かった。
ちなみに五十嵐は小田切の事が好きっぽい。
そして季節が変わり、今は夏の真っ最中である。
夏と言えば海!!
そう、今俺がいる場所は!!
「では比企谷君、この二次関数の頂点はどこかね?」
「…わからないです」
朱雀高校のクラブハウスだ。
“もぉーマジで数学は無理だって~、もぉーまじ、ほんとマジだから~“っと俺が今どきのギャルなら言ってしまうくらい数学は分からん。
何で今どきのギャル風に考えたのかも分からん。
「では山田くんは?」
「…分からないっす」
「では姫川君」
「…わ、わかりません!」
「では大塚君」
「…見たことないです」
「見たことはあるでしょ!」
そろいもそろってポンコツである。
朱雀高校は成績がよろしくない者は夏にクラブハウスを合宿所とした補習合宿があり、追試で80点以上取らないと帰れないらしい。
俺としたことが、このことを知らずに数学のテストに挑んでこの様である。
数学の補習メンバーは全員で6人。大塚率いる漫研の3人、姫川とか言うおっとり系のドジっ子、不良で有名な山田、ボッチなので全く有名じゃない俺。
ちなみに補習中に姫川と山田は仲良くなったっぽい。
全く、補習の分際で色気付きやがって。
なめんな、勉強しろ!
そして俺は一匹オオカミ…。
*
ブルッブルッ、ブルッブルッ
夜、合宿所の部屋にこもって勉強してるとスマホが震えだした。
どうやら着信のようだ。
「はい、もしもし」
「こんばんは、小田切よ」
そう言えば携帯番号交換したな。
「補習どうなの?帰ってこれそうかしら?」
「いや、もうちょいかかると思う」
「はぁ~、比企谷がそこまで数学苦手なのは計算外だったわ」
「現国はトップクラスだからいいんだよ」
「よくはないでしょ。
…それより、ま、前に話した約束覚えているかしら?」
急に声が裏返ったな。
「前?どれくらいまえだ?」
「な、夏休みまえに話したやつよ」
「ああ、あれね」
そうそうあれあれ。
で、なんだっけ?
「ちゃんとおぼえてるのね!」
嬉しそうなところ申し訳ないが分かりません。
「じゃあそのことだけど、あなたが合宿終わってからでいいかしら?」
「ああいいぞ。詳しいことはまたメールしてくれ」
「わかったわ。早く合宿終わらせるのよ」
じゃあと言って電話は切れた。
何の約束か知らないが、てきとうにハイハイ言って約束してしまったのだろう。
どうせまた生徒会長になるために頑張るわよ!的な事だな。
とりあえず早く補習から抜け出したいので数学の教科書を読み始めたが、それから30分後。
ブルっと一度だけスマホが振動した。今度はメールの様だ。
[FROM 五十嵐 潮]
小田切と二人でお祭りに行くのは本当か(怒)?
…身に覚えがありませんな。
・・・
・・
・
高2
はぁ~
パトラッシュ、僕もう疲れたよ……なんだかとっても眠いんだ…。
バスに乗ってから早二時間、全然つかないじゃん。到着する前から家に帰りたくなったわ。
マイラブリーエンジェルの小町たんに会いたいよ。
「ねぇ比企谷、酔い止め持ってない?」
「何だ?酔ってきたのか?」
「まぁ、ちょっとだけね。今まではこんなことなかったのに」
それは俺が隣に座ってるからじゃないですよね?
「ほれ」
「ん、ありがと」
一応持ってきておいて正解だったな。
まぁそれより…
「小田切よ、なんで隣にすわっているんだ?」
「…別にいいじゃない。私が隣だと何か問題でもあるのかしら?」
「いや、いいけど」
周りの男子からの目線が嫌だけどな。
「んじゃ、俺音楽でも聞いて寝るから着いたら起こしてくれ」
カバンからスマホとイヤホンを取り出して準備をする。
こう言う時は変な行動はせず、静かに時の流れを待つべきだ。
「あら、くちづけダイヤモンド聞いてるの?以外ね」
ひょいっと頭を傾けて俺のスマホをのぞき込む。
…近い。
「私もスマホに入れてるのよね」
酔い止めはまだ効いていないと思うが顔色がよくなってきた。
割と元気だな。
「皆さーん、そろそろ到着でーす」
やっとついたか。
「はぁーついてしまったか」
「何で嫌そうなのよ?」
「俺ホームシックだから。いや、妹シックだから」
「…妹シックって何よ」
*
旅館 松の宿
とりあえず今日は旅館でゆっくりして明日は川で遊んだりバーベキューしたりで楽しむらしい。
どうせ暇になるし本などを持って行くか。
丁度この前に買っておいた‘ヤンメガ’(ヤンキーの俺がメガネの女を好きになるはずがない)をな。
コンコン!
この前買った本で無駄にテンションが上がり始めたとき、部屋のドアがノックされた。
この部屋のメンバーは俺、メガネ、ノッポ。
客が来るとは思えないが、いったい誰だ?
「どちらさんだ?」
「やぁ~比企谷君。遊びに来たよ」
お前かい、玉木。
「何だ、部屋に友達いなくて気まずいから逃げてきたのか?」
「い、いやだなぁ~、そんなことあるわけないじゃないか~」
こいつ分かりやすっ。
「全く、友達いない程度でなさけねえな。
一流ボッチは気まずくならないように空気になるもんだぜ」
「言ってて悲しくならないのかい?」
なりません(泣)。
「それより、1階でお土産売っていたんだけど見に行かないかい?
どうせ暇しているのだろう」
そういや小町に何か買ってやらんといけなかったな。
「…ふむ、行きますか」
そうして玉木と1階に来て、色々見回ったが、
結局てきとうなお菓子を2箱買って済ませた。
「2箱?比企谷君が自分の家以外にお見上げを買うなんて…」
何か玉木がぶつぶつ言ってる。
「まさか……
僕にくれるのかい?」
ほざけ。
「お世話になった先輩に持っていくんだよ。
そろそろ会いに行きたいしな。」
「へー、そうかい」
自分のじゃないと分かった瞬間から興味ゼロの様だ。
「じゃあ、これは僕からのプレゼントだ」
そう言って見たことないキャラクターのキーホルダーを渡してきた。
「…おぉ、さんきゅ」
あんまりプレゼントとか貰ったことないからちょっと感動しちまった。
「ちなみに、僕のとおそろいさ」
ドヤ顔で言ってくるけど、その情報はなかなか嬉しくない。
「…気持ちは嬉しいが、やっぱり返そうかな」
「ふっ、相変わらずのひねデレさんだね」
俺の嫌気など気にもせず、変な造語で返してくる。
まぁせっかくもらったプレゼントだから大切にするか。
「それで、ホントに僕へのお土産はないの?」
「ねぇよ」
アニメ 山田くんと七人の魔女のオープニングのくちづけDiamond
歌もとっても好きですが、アニメで流れている時の絵がとても好きです。
見たことない方は良かったら見てみてください。
魔女帽子をつけた魔女たち可愛い