高1
「情報によると、あなたは友人いないし恋人もいない。あと目が腐ってる。
そんな可哀そうなあなたを部下にしてあげようって言ってるのよ。
この私が生徒会長になるためにね」
誰の情報だよ。あと、目の事は言わないでくれる?気にしてるんだから。
「と言うか、何で部下が必要なんだ?一人でやればいいじゃねえか」
「あなた話を聞いていなかったの?
ボランティア活動での役割分担、敵の情報集め、それに他にも仲間を増やしたいのよ」
「言いたい事は分かったが俺が手伝うメリットがないな」
「フフフ、その点に関しては大丈夫よ。
手伝ってくれるならこの私が友達になってあげるわ」
…そろそろ帰りますか。
「更に、もしそれなりに仕事の効率が良ければ、私が会長になったとき秘書にしてあげるわ」
「秘書?そんな役職もあるのか?」
「ええ、この朱雀高校での生徒会長は絶対的な権力を持てるけれど仕事はなかなかの激務らしいのよね。
それで、会長を直々サポートするのが秘書よ」
ほーん、この学校の生徒会長ってそんなにすごいのか。
「で、どうするの?やる?それともやる?」
「それYES以外選択肢ないんですけど」
「そう、分かったわ。それじゃあ明日から早速行動開始するからまた放課後にね!」
そう言って小田切は嬉しそうに教室を出て行き、あっという間に俺はひとりぼっちに戻った。
気付けば彼女との会話で時間が結構過ぎており、日直の仕事をしていたことなど忘れかけていた。
うるさくて嵐みたいな奴だな、と彼女がいなくなってから思う。
......まぁ嵐が去ってくれて嬉しいが、
「俺、やるって言ってねえんだけど…」
・・・
・・
・
高2
日曜日、俺は家からそう遠くないデパートにやって来た。
昨日の夜に来週の金曜日に行く林間学校のしおりを見ながら持っていくものを用意していたら、バスタオルやら歯磨きセットやらがないのに気が付いた。
バスタオルは家にあるのをもっていってもよかったが、家にあるのはもうくたびれているし新しいのを買って来いとマザーに言われたので、遥々ここに来たと言う訳だ。
デパート到着から約20分、すぐにお目当ての物を見つけて買い物は終わり、思っていたよりも早く用事がすんでしまった。
相変わらず効率だけはいいな、俺。将来社畜になりそうで怖いぜ。
そんなくだらない事を考えていたら、あることを思い出した。
「そういや、ラノベの最新刊でてたっけな?」
冴えカノ、詩羽先輩超かわいいよね。
本屋にて
「あれ、比企谷君じゃないか」
ラノベコーナーをうろうろしていたらどっかで見たことある奴に声をかけられた。
「…なんだ玉木か」
「つれない反応だね。僕と君の仲じゃないか」
玉木真一、イケメンそうに見えるがよく見るとそんなことのない残念ボッチ。
たしか生徒会長になるために現生徒会長にいいように使われている。あと、こいつは魔女から能力を奪える魔女殺しだ。今は透明人間の能力を持ってるだとか。
…俺は一体誰に説明してるのん?
ちなみにこの情報は聞いてもないのにペラペラ本人が話してくる。
「用がないならもう行ってもいいか?」
「まぁまぁそう言わずに、せっかく会ったんだからフードコーナーでライトノベルについてでも語ろうじゃないか。いつもの図書室のように」
「勝手に記憶を捏造するのはいいが、3回くらいしか図書室で話してないからな」
基本無視してるし…。
「僕の最近のおすすめは‘ヤンキーの俺がメガネの女を好きになるはずがない’。
略して“はがない“さ」
全然きいちゃいねえし、それに“はがない“は友達少ない奴だろ。
そんなこんなで玉木にまとわりつかれながら書店を出て行ったら、またもや偶然の出会いがあった。
「あら?比企谷じゃない」
全く、今日はもう疲れているのに…。
「…小田切」
小田切寧々。虜の魔女でクラスメート。
高2の俺たちは、ただのクラスメートだ。
ちょっとしたやまじょの説明
朱雀高校には魔女と言われる不思議な力を持った生徒がいる
魔女殺しとは魔女の力が効かない人の事で、玉木は自分の事を魔女殺しと言っています