比企谷君と虜の魔女   作:LY

21 / 36
第二十一話

高2

 

朱雀高校文化祭

 

 

 

「自己紹介が遅れました。

いつも兄がお世話になっております。妹の小町です!」

 

「えっと…、小田切寧々です。」

 

「比企谷君の親友の玉木真一です」

 

「嘘つくな」

 

 

いきなりの展開にあまりついて行けず、きちんと自己紹介が出来ていない。

 

 

「いやー、うちの兄がこんなきれいな人と知り合いだなんて小町感激です!

何で教えてくれなかったの、お兄ちゃん?」

 

「何で逆に教えるんだよ」

 

 

確かに二人を横に並べてみると頭のアホ毛は似ているけど…。

 

 

「アホ毛以外似てないわ」

 

「うるせぇほっとけ」

 

「確かに、いつも可愛いって言っていたけどまさかここまでよくできた妹とは…」

 

 

本当にこの男の妹がこんなに可愛いなんてそんなことあるのかしら?

 

…まさか義妹!?

 

結構複雑な家庭なの!?

 

 

「照れますねぇ、これでも一応、血のつながった兄弟ですよ」

 

「「え、マジ?」」

 

「お前ら反応ひどすぎだろ。

と言うか小町ちゃん、ちゃんと血のつながりあるから一応とか言わないで」

 

 

うーん、兄弟と言われてもやっぱり納得いかないわね。

目が違いすぎるわ。

 

 

「それにしてもお兄ちゃん、いつの間にこんなにコミュ力つけたの?

もしかして他にも知り合いいたりするの?」

 

「いるわけねぇだろ、小田切は同じクラスで玉木は……。

 

小田切はクラスメイトだから知ってるだけだ」

 

「今僕の事言いかけてやめたよね!」

 

 

自分の説明に不満を持ったのか玉木は比企谷に文句を言う。

 

 

そして今の説明に私も不満がある…。

 

 

「今の説明じゃただのクラスメイトみたいじゃない…」

 

 

林間学校でちゃんと友達申請したし、曲がりなりにも一回デートしたんだからせめて友人って言ってくれてもいいのに…。

 

 

「だいたい比企谷君は僕の説明が荒いんだよ、さっき二回も比企谷君の知り合いに会ったのに二回とも今と同じような説明するし…」

 

「えっ!?玉木さん、今のほんとですか!?」

 

「ばっか、おまえ、いらんこと言うな」

 

 

私もはっきり聞こえた。

 

 

「…比企谷に私達以外の知り合い?」

 

 

あまりイメージしにくいけどさすがの比企谷でも知り合いくらいは数人いるか。

 

 

「ああ、本当だよ。

僕達と同い年の猿島マリアと後輩のくせに生意気な滝川ノアと言う二人だよ」

 

「おぉ!!二人とも女の子!!」

 

「だからいらんこと言うなっての」

 

「…猿島マリアと滝川ノア?」

 

 

それって……。

 

 

「小町、そろそろ行くぞ。小田切にちゃんとお礼言えよ。

それで玉木は言ってた通り図書館に行くのか?」

 

「そうだね、人が多いのはそんなに得意じゃないし、休憩がてらそうするよ」

 

 

それじゃあと言って一足先に去って行く玉木。

 

私もそろそろ行った方がいいかもね。

 

 

「それじゃあ、私もそろそろ…」

 

「えぇ~、もう少しだけお話を……、

 

はっ!小町ひらめき!」

 

「いきなりどうした?」

 

 

妹さんは何かを思いついたようで、私を見ながらニタニタ笑っている。

 

 

「な、何かしら?」

 

「いやー、さっき言ってたレンタルの件覚えてますか?」

 

 

こそっと耳打ちで話しかけてくる。

 

 

「レンタルって…お兄さん貸してくれるってやつ?」

 

 

ついつい言ってて顔が熱くなる。

 

 

「そうです。ここまで送ってくれたお礼もかねて、ぜひ楽しんでください!」

 

 

そんな…、つまり比企谷と一緒に見て回るってこと?

 

 

「ねぇお兄ちゃん、小町一人でてきとうに見て回ってから帰るから、寧々さんのことちゃんとエスコートしてよ」

 

「は?急にどしたの?

まさか俺と一緒に回りたくないとか?」

 

 

そんじゃバイバイキーンと言って人ごみの中に消えていく妹さん。

 

そして残ったのは私と比企谷

 

 

「えっと、そういうわけだからお願いね」

 

「いや、どういうわけだよ」

 

こうして私は、当初の願いを果たせた。

 






▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。