比企谷君と虜の魔女   作:LY

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第二話

高1

 

 

「ちょっと何で無視するのよ!」

 

 

 

放課後、日直の仕事で教室に一人残っていた俺は知らない女子生徒に話しかけられた。

 

話しかけてきた女子は何故か俺の名前を知っていて、ご親切に部下第一号にしてくれるとのことだ。

 

 

......完全に変な奴だな。

 

 

 

「いや、初対面で何言ってんの?」

 

 

「…...確かにそうね、とりあえず自己紹介するわ。

私の名前は小田切寧々よ。二年生になればこの朱雀高校の生徒会長になる名前だから覚えておくといいわ」

 

 

そこまでは聞いてねえよ。何なら名前も聞いてないし。

 

 

「そうか、じゃあボッチに優しい学校を作ってくれよ。

それじゃ、俺はこの辺で」

 

 

カバンを持って教室から出ようとしたら制服の襟を掴まれた。

 

 

「待ちなさい。まだ話は終わってないわ」

 

 

ちょっと、首しまったんですけど。

 

 

「それでね、生徒会長になるにはまずは副会長にならないといけないわけよ。

まあ、副会長にならなくても無理ではないかもしれないけど、副会長は次代の生徒会長候補として扱われるからなっておいた方がいいじゃない?

ああ、副会長は毎年一年生から二人までなれるらしいわ。でも生徒会に入りたい奴なんてたくさんいるから簡単には入れないのよね」

 

 

ペラペラペラペラずっと一人で喋ってるけど帰っていいかな?

 

 

「そこであなたよ!」

 

 

どこでだ?全然聞いてなかったわ。

 

 

「成績も良くしておこうと思うけれどボランティア活動や周りからの人気も得ていたいのよね」

 

 

たぶん、副会長になる時に他より有利になっておきたい的な話か。

 

 

「で、何で俺なわけ?」

 

 

「そんなの暇そうだからに決まってるでしょ」

 

 

こいつマジでなんなの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・

・・

 

高2

 

 

 

「それでは今日はここまでにします」

 

 

終礼が終わり今日の学校がやっと終わった。

6限目の数学は眠すぎて爆睡してしまった。まぁ、聞いても分からないからべつにいいけどね☆

 

 

特に学校でやることもはないので、帰る準備をしていたら小田切がやって来た。

 

 

「ねえ、林間学校で一応班行動の時間あるでしょ。

その時どうするか今から相談しましょ?」

 

 

後から知ったが林間学校では班でご飯を食べたりレクリエーションに参加したりで、結構めんどくさいらしい。

 

 

「俺はいいわ、てきとうについて行くから。

他の班の奴と決めてくれ」

 

 

「何言ってるのよ、比企谷だって班のメンバーなんだから一緒に考えなさいよ」

 

 

こいつはボッチが話の中に入れないって知らないのか?

 

 

「…すまん、用事あるから帰るわ」

 

 

どちらにせよ話に参加する気のない俺は小田切の誘いを断り、文句を言われながらもその場を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*

 

自宅にて

 

 

 

「ただいま」

 

 

靴を脱いでリビングに入ると小町がソファーでくつろいでいた。

 

 

「おかえりー、おにいちゃん。今日も帰ってくるの早いね」

 

 

「特にすることないからな」

 

 

「ふぅーん、一年生の時はそうでもなさそうだったのにね」

 

 

マイシスターよ、痛いところを突いてくるな

 

 

「まぁ、いいや。それより来週修学旅行でしょ!お土産ちゃんと買ってきてね」

 

 

どうでもいいが修学旅行じゃなくて林間学校な。

家でも林間学校の話とか、みんな林間学校好き過ぎだろ。

 

 

「いいけど。何買ってくればいい?」

 

 

「う~ん、やっぱりお兄ちゃんの思い出が一番のお土産かな。

今の、小町的にポイント高い」

 

 

満面の笑みで楽しそうに言ってくる。

それ言いたいだけでしょ。あざと可愛いから許しちゃうけどね。

 

 

「分かった分かった。メガネ君やノッポ君とUNOでもしてくるから」

 

 

「えー、そんなんじゃだめだよ。せっかくなんだから女の子と遊んできてね」

 

 

「MURIです」

 

 

「はぁ~、どっかにお兄ちゃんの面倒見てくれる可愛い子いないかな~」

 

 

「まぁ、2Dの世界にはいるんじゃね?」

 

 

「おぉ、神よ!この哀れなゾンビに修学旅行で女の子との出会いを!」

 

 

小町はソファーの上で立ち上がり、神様に祈る。

 

 

「どうでもいいけど、修学旅行じゃなくて林間学校な」

 

 

 

 

この時は全く気にしていなかったが

 

 

 

このバカみたいなお祈りが、案外叶ったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 


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