比企谷君と虜の魔女   作:LY

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第十話

高1

 

 

「フフフ、どうだ比企谷!相手の姿が見えなくなっただろう!」

 

「これが僕たち超研部が研究している魔女の力さ!」

 

「「フハハハハハ!」」

 

「お二人とも声が大きいですよ」

 

 

まさか俺はキスをされたのか。

 

 

「すまない飛鳥君。だがやはり魔女の力はすごいね」

 

「全くだ。比企谷なんて驚きのあまり体が固まっているぞ」

 

 

Kissと書いてキスと読むあれですか。

 

 

「比企谷は今見えていないがここにちゃんと飛鳥美琴はいるぞ」

 

 

一応ファーストキスと言うやつだったんですけど。

 

 

「…おい比企谷、聞いているのか?」

 

「え?」

 

 

宮村先輩に肩を揺らされて我に戻った。

 

 

「まぁ驚くのも無理はないよ。これが彼女の能力、透明人間の魔女だ」

 

「はぁ、透明人間ですか」

 

 

透明人間って見えないやつだよね?

 

 

「つまり彼女がキスした相手は彼女を認識できなくなる。

ああ、言い忘れていたけど魔女はキスすることで能力を発動できるんだよ」

 

「どうだ比企谷、美少女とのキスの感想は?」

 

「黙秘権を行使します」

 

 

そんなこと聞くな。めちゃくちゃ柔らかかったよ!

 

 

「あらあら、比企谷さんは可愛いですね」

 

 

表情に出してないつもりだったが飛鳥先輩に照れているのがばれたか。

 

それにしてもこの人普通にキスしてきたけど抵抗とかないのか?

 

最近の若い子はいやぁ~ねぇ~。

 

 

 

と言うか

 

 

「そんな事よりもどの辺が透明人間なのかよく分からないんですけど?普通に見えてるし」

 

「「「え?」」」

 

 

三人がそろって驚く。

 

 

「嘘はよくないよ比企谷君。君は飛鳥君が認知できていないだろう?」

 

「いや、普通に綺麗な顔が見えていますよ」

 

「まさか…能力にかかっていないのか?」

 

 

そんな事言われても知らないよ。

 

 

「比企谷さん」

 

「あっ、はい」

 

 

真剣な表情で見つめてくる飛鳥先輩は少し怖い

 

 

「本当に見えているのですね?」

 

「まあ、たぶん」

 

 

何で見えるか見えないかでこんなに自信が出てこないのだろう。

 

 

「どういうことなんだ?」

 

 

宮村先輩の疑問に答えられる人は誰もいなかった。

 

 

「…もう一度やってみます」

 

「もう一度ってまたキ「失礼しますね」…スするんですよね、はい」

 

 

また普通にキスされちゃったよ。もうちょっとムードとかないんですかね?

 

 

「見えていますか?」

 

「見えてますね」

 

「そんな…」

 

 

これって何も知らない人から見たら結構やばいよね。

 

 

「まさか能力が失われているんじゃないのか?

ちょっと私で試してくれないか?」

 

「「は?」」

 

 

今のは俺と山崎先輩だ。

 

まさかの百合ですか?

 

 

「はい、分かりました」

 

 

……。

 

 

まさかの美少女二人のキスを見て俺は思う。

 

 

俺ってこんな部活に入ったの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・

・・

 

高2

 

 

「はぁ~、猿島さんの件は宮村に横取りされてしまったわね」

 

 

猿島マリアは二学期になってから楽しそうに登校しているようだ。

 

なんでも宮村が所属している超常現象研究部にお世話になったとか。

 

それに比べて私は夏休みも終わり二学期になったけれど、当然生徒会の活動も再開して生徒会室でお仕事しなければならない。

 

 

「よく考えてみれば夏は大して遊んでないわ」

 

 

高校二年のJKがこんなのでいいのかしら、と残念な疑問を持ってしまう。

 

…もしかして私って残念な人なの?

 

 

「ああ、もう!夏休みを全然有効活用できてないじゃない!

…こんなので本当に生徒会長になれるのかしら?」

 

 

いろんな不満や疑問が頭の中をぐるぐる回って爆発する。

私はストレスを解消する術も持っていないのか…。

 

 

「そう言えば、最近あいつと話してないわね…」

 

 

不意にあのアホ毛頭の事を思い出す。

 

 

夏休みもあったことから林間学校で話して以来ほとんど話していない気がする。

 

せっかく学校が始まったのだから教室で話しかけようとしたけれどいつも休み時間は寝てるのよね。

 

 

「…なぜかやっぱり気になる」

 

 

そんなことをぼやいていたら生徒会室のドアが開いた。

 

 

「寧々さん、調子はどうですか?」

 

「あ、飛鳥先輩。お疲れ様です」

 

 

まさか誰かが来るなんて、さっきの聞かれていないわよね?

 

 

「お疲れの様ですね。私も手伝いましょうか?」

 

「いえ、あともう少しなので。それに飛鳥先輩は今日会長から何か用事を任されていませんでした?」

 

 

生徒会の役員同士と言う立場上ある程度の会話するが、この人はそんなに得意じゃない。おかげさまで会長に虜の能力かけれないし。

 

 

「ええ、と言っても明日の事なので」

 

 

明日?土曜日じゃない。

 

 

「どんな仕事なんですか?」

 

「ある男性とのお出かけです」

 

 

何よそれ、何かやらしい、…いや、あやしいわね。

 

 

「それって大丈夫何ですか?聞いている限りでは知らない人と出かけるみたいですけど」

 

「いえ、何度か顔を合わせたことがありますよ。朱雀高校の二年生です」

 

 

二年か、同い年ね。

 

 

 

「お名前は・・・」

 

 

「は!?」

 

 

嘘でしょ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏休みが終わってから五日間、やっと生活リズムが戻ってきたが授業を受けているとやはり眠い。

 

四時間目を何とか乗り越え昼休みになったので昼飯のパンを持って教室を出る。

 

ここはやはり中庭のベストプレイスで食うか。

 

 

 

 

 

中庭にて

 

 

「やぁーやぁー比企谷君、猿島君の件は助かったよ」

 

 

外の空気に触れ穏やかな気持ちになっていたが、それをぶち壊すメガネがやって来た。

 

 

「いえ、俺は何もしてないですよ。猿島いわく超研部の山田達が助けてくれたらしいですよ」

 

「ああ、その話は知っているよ。でも君の功績も確かにあるはずだ」

 

「そんな事はないと思いますけど」

 

 

実際、俺のやったことと言えば超研部の事を山崎先輩から聞いたから、猿島に山田達を頼れって言っただけだからな。超他力本願だ。

 

まぁ超研部の事を聞いた目的は山崎先輩がどんな反応をするかってことなんだけどな。

 

 

「でもちゃんと仕事してくれたからお礼を言わないと思ってね」

 

「別にいいですよ。これからは生徒会だけでやって下さいね」

 

「善処するよ」

 

 

善処するだけじゃだめなんだよ。

 

 

「それで、お礼の件についてなんだけど」

 

「お礼?」

 

 

そんな話しあったか?

 

 

「飛鳥君とのデートだよ。明日の土曜日にディスティニィーランドで二人っきりでね。

彼女もとても楽しみにしているよ」

 

「は?」

 

「詳細は夜にでも電話するから明日は空けておいてね」

 

「ちょっと待ってください」

 

「おっと、そろそろ行かないと。じゃあ楽しみにしておいてね」

 

 

それじゃあねーと言って走っていく山崎先輩。

 

 

まさかマジで行くわけじゃないよな?

 

 

そもそもいきなり明日行けって言われても他に予定が…。

 

 

予定が……。

 

 

 

 

…別に何もないな。

 

 

 

まぁ、あの人なりの冗談として言ったのだろうと期待して食べかけのパンに噛みつく。

 

 

 

夜に電話がかかってきて分かったが、当然冗談などではなかった。

 

 

 




感想くれた方ありがとうございます。

やはり面白いと言ってもらえると嬉しいです。


相変わらずの乏しい文才ですが、皆様これからもよろしくお願いします。

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