ひなたぼっこの研究者 作:たんぽぽ
本当にお待たせして申し訳ありませんでした。
まずは小説の方をどうぞ。
フェリックス・フェリシスを使った守護霊の呪文強化は、失敗に終わった。やっぱり幸運と幸せは、漢字は同じでも厳密には違うらしい。確かにラッキーとハッピーで違う言葉だし。
こうなったら、手はひとつしかあるまい。
「と、いうわけで、
「いや、貸して欲しいと言われても……」
私の前で困った顔をするのはルーピン先生。だが、ここはなんとしてでも先生の協力が必要なのだ。
「お願いです、守護霊の呪文はこのご時世で覚えておいて損はないじゃないですか。ちゃんと原型をとどめた状態でお返ししますから」
「いや、
「このままじゃ不安で勉強に専念出来ませんよ。もう
「うーん、でも……」
「大丈夫です。リディクラスはマスターしましたし、チョコレートは大量に買い込んであるので」
未だにうーんと唸って迷っているルーピン先生を見てあることを思い付き、それを実行に移すことにした。
「先生、三十分だけ待ってて下さい」
三十分後、ルーピン先生の前の机には、スタンダードな板チョコから始まり、マグル界製、チョコレートケーキ、ブラウニー、チョコレートカップケーキ、チョコチップクッキーなど、考えられる限りのチョコレート製品が所狭しと並べられていた。
ルーピン先生は、一瞬キョトンとした後に苦笑いを浮かべ、
「ちなみに、なんで三十分でこれだけのチョコレート製品を用意できたんだい?」
「……
*
「と、いうわけで、ルーピン先生に
「ああ、いいわよ」
ルーピン先生に「危険だから、他に誰もいない部屋でやること。ルームメイトに頼んで、寮の部屋を使わせてもらうのがいいだろう」と言われてしまったら、当初の予定通りに必要の部屋でやることなど出来ない。
迷うことなく頷いてくれたスーザンに感謝しつつ、私は預かったトランクを引きずるように部屋へ向かった。
「……さて」
私はトランクをベッドの上に乗せ、油断なく杖を構えた。
*
・スーザンside
「……何やってるのよ、リズ」
「見ての通り、守護霊の呪文の練習です」
私は目の前の光景に呆然としていた。
まず、ベットの上のガタガタ言っているトランクには、
「あ、スーザンも食べます? 今紅茶を用意しますから」
「あ、うん、頂くわ」
つい、いつも通りに答えてしまったが、これほどの量のチョコレートを摂取しなければならないほどの事をリズは行なっていたのだろうか。
「どうぞ」と出された紅茶に口をつけつつ、フォンダンショコラにいちごを添えた小皿を丸テーブルまで持って来たリズに聞く。
「守護霊の呪文の練習って、どうやってやるの?」
リズは一瞬キョトンとした後、教えてくれた。
「まず、一番は
「どうやったの?」
「最初は
「……どうやって?」
「これです」
勉強机に山積みになっているチョコレート製品を漁り、リズはバスケットを渡してくる。
「マカロンね」
「はい。
「ひとつ貰ってもいい?」
「どうぞ」
緑色のマカロンが気になったので、食べてみると。
「……何これ、凄く美味しい」
「ああ、抹茶ですね。日本という極東の島国のお茶です。気に入りましたか?」
「ええ!」
「では、また抹茶味のスイーツを作っておきますね」
嬉しそうな表情のリズの背後にある、山積みのチョコレート達を見て、私はようやく最初に気になった事を聞いた。
「リズ、守護霊の呪文って、こんなにたくさんのチョコレートが無いと出来ないの?」
「……ああ、これは、調子に乗って作り過ぎた結果です。本当はこの二倍はあったんですけど、半分はルーピン先生にあげたので」
「どうして?」
「
……ルーピン先生、お菓子でリズに買収されたのね。
「でも、こんなにたくさん、消費するのが大変ね。手作りなら賞味期限も早いでしょうし」
「大丈夫です。ハッフルパフ生達に協力してもらいますから」
……え?
*
と、いうことで、今夜のハッフルパフ寮内は突然始まったお菓子パーティで大盛り上がりだ。
夕食前、忙しい中厨房にお邪魔し、チョコレート製品以外のスイーツを作ったり、紅茶やジュース類も調達しておいたから、味に飽きたり口が渇いてしまうこともない。もちろん、水も用意しておいたから安心して大丈夫。
そういえば、『アズカバンの囚人』、何か厄介な出来事ってあったっけ?
……多分、私に関わるようなことは無いよね。
………………もしかして私、今フラグ立てちゃった?
長らくお待たせして申し訳ありませんでした。
前回の言い訳と同じように、また体調を崩しました。本当にすみません。体調が戻ってからも忙しかったり夏バテだったりで、小説から離れていました。
二ヶ月も間を空けて今更見て下さる方が居るかはわかりませんが、これからも自分の出来る限りで頑張っていきたいと思います。
これからもよろしくお願い致します。
本当にすみませんでした。