ひなたぼっこの研究者   作:たんぽぽ

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第42話 材料提供

 決闘クラブの翌日、私達は宿題を終わらせるために図書館へ来ていた。

 と言っても、私とジャスティンは既に終わらせてあるため、専らスーザンとザカリアスを手伝うだけだが。

 

「リズ、ちょっと良いかな」

 

 背後から声が聞こえ、振り返ると、そこにはハリーが立っていた。

 ザカリアスがあからさまに警戒した表情を浮かべる。

 

「おい、リズ———」

「大丈夫ですから。ちょっと行ってきます」

 

 そう言い残し、私はロン、ハーマイオニーの待つ本棚の陰へ向かった。

 

「リズ、私達、マルフォイが継承者なんじゃないかと思うの」

「証拠は?」

「これから掴むわ」

 

 あ、まだなのね。

 

「で、ポリジュース薬を使って、スリザリン寮に忍び込もうと思うの」

「なるほど。そこまで決まっているのに、なぜ私に声を掛けたんですか?」

「決まってるだろ? リズがいれば百人力じゃないか」

 

 過大評価し過ぎだよ、ロニー坊や。

 それに、私は巻き込まれたくない。

 

「私は実行犯にはなりませんからね」

「「「えー!」」」

 

 見事なハモりを披露したH(ハリー)R(ロニー坊や)H(ハーマイオニー)。君ら仲良いね。

 

「えーじゃないです。私はドラコ・マルフォイのこと疑ってませんし、第一、私は薬が嫌いなんです」

「薬といっても、マグルの薬局に売ってるような苦い薬じゃないよ」

「知っていますか? ポリジュース薬は不味いんですよ。それに私は、誰か人の一部分を入れた液体なんて真っ平御免ですから」

「そこを何とか!」

「グリフィンドールとスリザリンが仲良くなり、天と地がひっくり返り、太陽が西から昇って北に沈み、織田さんと明智さんが本能寺で仲良く杯を交わす関係になったら考えてあげます」

「つまり無理ってことね」

「はい」

 

 織田さんと明智さん、もう死んでるし。

 

「ちなみに、オダサンとアケチサンって?」

 

 ロンの言葉を笑顔でスルーし、私はハーマイオニーに言った。

 

「ただ、変身相手を教えて頂ければ、材料として必要な『相手の一部』は調達しますよ?」

「本当? じゃあ、ハリーとロンの分なんだけど、クラッブとゴイルの一部をお願い出来るかしら?」

「ハーマイオニーの分は?」

「ミリセント・ブルストロードの髪の毛があるわ」

「確実に本人のですか?」

「ええ」

「本当に?」

「逆に聞くけど、そうじゃなかったら誰の毛だっていうのよ」

「ミリセント・ブルストロードは猫を飼っていた気がするので」

「……確認しておくわ」

 

 ハーマイオニー猫化事件は未遂に終わった。

 

「で、クラッブとゴイルですね。了解しました。お任せ下さい」

 

 *

 

 アクシオ、クラッブとゴイルの髪の毛(それぞれ一本ずつ)! ……来た来た。スコージファイ、清めよ! こんなもんでいいかな。味がマシになっていることを願おう。私が飲むわけじゃないけど。

 『クラッブ』『ゴイル』というラベルを貼った小瓶にそれぞれの髪の毛を入れて……よし、完成。ハーマイオニーに渡しに行こう。


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