ひなたぼっこの研究者 作:たんぽぽ
ハリーがスニッチを見つけたらしく、一直線に突っ込んで行く。そして、小さな何かを掴もうと腕を伸ばしたところで、ブラッジャーが横から飛び出し、ハリーの腕に直撃した。ハリーは気にせず、もう片方の手を差し出しながら箒からジャンプし、スニッチをキャッチしたと同時に地面に転げ落ちた。
なおもハリーを襲おうとするブラッジャーに向かって杖をまっすぐに向けた。
「『フィニート・インカンターテム』!」
ブラッジャーは一瞬その場に停止したかと思うと、次の瞬間、軽く爆発し、粉々に砕け散った。
五分後には、たくさんの心配そうながらも嬉しそうなグリフィンドール生、心配してオロオロしているハッフルパフ生、そして悔しがるスリザリン生がクィディッチ・ピットに集まっていた。
「ハリーは大丈夫ですか?」
「ああ、リズ。骨が折れたみたい。動かすととても痛そうなの」
振り返りもせずにハーマイオニーが答えた。
「気休め程度ですが、治療に影響のない痛み止めくらいなら出来ますよ。どうします、ハリー?」
「具体的にはどんなことをするんだ?」
「一時的に腕の神経を麻痺させます。後遺症はなどは皆無です」
「お願いするよ」
「おやおや、そんな魔法を使うくらいなら、私が治しますよ」
ロックハートが颯爽と現れた。私は念のため、ハリーが聞いたのと同じようにロックハートに尋ねた。
「具体的にはどうするんです?」
「こうするんですよ」
特大のウインクをかましたロックハートは杖を振り上げる。ロックハートの杖から魔法が発動する直前、私は素早く動いた。
ドーン! と派手な音がして、ロックハートが吹き飛ばされた。
私はハリーの腕に痛み止めの魔法を掛けると、ロックハートの元に駆け寄った。
「えー、なんと。かの偉大で有名なロックハート先生は、自分の杖の向きを逆さまに持って魔法を掛けたため、自分の腕に治療の魔法を掛けてしまったようですねー。おやー? なんと、ロックハート先生の杖腕の骨が無くなっていますね。ロックハート先生は、ハリーに骨抜きの呪文を掛けるつもりだったんでしょうかー。謎ですねー」
「棒読みで何言ってるのよ。リズ、ロックハート先生はどうするのよ」
「え? 放っておきますが?」
「駄目でしょ!」
「いやー、だって、あんな本出してる人ですよ? あれほどのことを
「リズ!」
怒られた。仕方ないので、杖を振ってロックハート(気絶Ver.)を浮かし、超高速で医務室に飛ばす。普通は怪我人にやることではないが、ハリーを骨抜きにしようとした相手だ、問題ない。
「大有りよ!」
……解せぬ。
*
・ハリーside
マダム・ポンフリーの安全な治療により腕は元通りになったが、念のため一晩入院することになり、僕はげんなりしていた。
さっきリズに、なぜ強力な細工呪文避けの魔法が掛かっていたにも関わらず、操られていたブラッジャーを簡単に止めることが出来たのか聞くと、リズはあっさり答えた。「私はブラッジャーを操っていた呪文を解除したわけではありません。魔法具であるブラッジャー本体の魔法を抜くことによって、ブラッジャーを魔法具からただのボールにしただけです」と。ロックハートについては、「杖の向きを間違えたのでしょうね」と言い張っていたが、声をひそめて「実際のところは?」と聞いてみると、超小声で「こっそり前後を差し替えました」と返ってきた。やっぱりリズの
十分後。
突然の訪問者により、僕はリズの言っていた犯人がわかった。
……嘘です(笑)