ひなたぼっこの研究者   作:たんぽぽ

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第37話 クィディッチ ②–II

 ハリーがスニッチを見つけたらしく、一直線に突っ込んで行く。そして、小さな何かを掴もうと腕を伸ばしたところで、ブラッジャーが横から飛び出し、ハリーの腕に直撃した。ハリーは気にせず、もう片方の手を差し出しながら箒からジャンプし、スニッチをキャッチしたと同時に地面に転げ落ちた。

 なおもハリーを襲おうとするブラッジャーに向かって杖をまっすぐに向けた。

 

「『フィニート・インカンターテム』!」

 

 ブラッジャーは一瞬その場に停止したかと思うと、次の瞬間、軽く爆発し、粉々に砕け散った。

 五分後には、たくさんの心配そうながらも嬉しそうなグリフィンドール生、心配してオロオロしているハッフルパフ生、そして悔しがるスリザリン生がクィディッチ・ピットに集まっていた。

 

「ハリーは大丈夫ですか?」

「ああ、リズ。骨が折れたみたい。動かすととても痛そうなの」

 

 振り返りもせずにハーマイオニーが答えた。

 

「気休め程度ですが、治療に影響のない痛み止めくらいなら出来ますよ。どうします、ハリー?」

「具体的にはどんなことをするんだ?」

「一時的に腕の神経を麻痺させます。後遺症はなどは皆無です」

「お願いするよ」

「おやおや、そんな魔法を使うくらいなら、私が治しますよ」

 

 ロックハートが颯爽と現れた。私は念のため、ハリーが聞いたのと同じようにロックハートに尋ねた。

 

「具体的にはどうするんです?」

「こうするんですよ」

 

 特大のウインクをかましたロックハートは杖を振り上げる。ロックハートの杖から魔法が発動する直前、私は素早く動いた。

 ドーン! と派手な音がして、ロックハートが吹き飛ばされた。

 私はハリーの腕に痛み止めの魔法を掛けると、ロックハートの元に駆け寄った。

 

「えー、なんと。かの偉大で有名なロックハート先生は、自分の杖の向きを逆さまに持って魔法を掛けたため、自分の腕に治療の魔法を掛けてしまったようですねー。おやー? なんと、ロックハート先生の杖腕の骨が無くなっていますね。ロックハート先生は、ハリーに骨抜きの呪文を掛けるつもりだったんでしょうかー。謎ですねー」

「棒読みで何言ってるのよ。リズ、ロックハート先生はどうするのよ」

「え? 放っておきますが?」

「駄目でしょ!」

「いやー、だって、あんな本出してる人ですよ? あれほどのことを()()()()()()()()()()()()、こんなちっぽけな怪我なんてどうにでも出来ますよねー?」

「リズ!」

 

 怒られた。仕方ないので、杖を振ってロックハート(気絶Ver.)を浮かし、超高速で医務室に飛ばす。普通は怪我人にやることではないが、ハリーを骨抜きにしようとした相手だ、問題ない。

 

「大有りよ!」

 

 ……解せぬ。

 

 *

 

 ・ハリーside

 

 マダム・ポンフリーの安全な治療により腕は元通りになったが、念のため一晩入院することになり、僕はげんなりしていた。

 さっきリズに、なぜ強力な細工呪文避けの魔法が掛かっていたにも関わらず、操られていたブラッジャーを簡単に止めることが出来たのか聞くと、リズはあっさり答えた。「私はブラッジャーを操っていた呪文を解除したわけではありません。魔法具であるブラッジャー本体の魔法を抜くことによって、ブラッジャーを魔法具からただのボールにしただけです」と。ロックハートについては、「杖の向きを間違えたのでしょうね」と言い張っていたが、声をひそめて「実際のところは?」と聞いてみると、超小声で「こっそり前後を差し替えました」と返ってきた。やっぱりリズのせい(お陰)だったらしい。

 十分後。

 突然の訪問者により、僕はリズの言っていた犯人がわかった。




……嘘です(笑)

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