ひなたぼっこの研究者   作:たんぽぽ

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第33話 ミセス・ノリス

 ・ハリーside

 

「継承者の敵よ、気をつけよ。次はお前だ、グレンジャー!」

 

 ドラコ・マルフォイがハーマイオニーに対して指を突きつけた時、先生方が到着した。

 フィルチは僕がミセス・ノリスを殺したと思っているようだが、僕は違う。必死に反論する。

 

「フィルチさん」

 

 ずっと黙っていたリズが、やっと口を開く。

 

「ミセス・ノリスは死んではいません。石化しています」

 

 顔を上げたリズの顔を見て、僕は驚いた。リズが、泣いている。

 リズはその場にいたダンブルドアに顔を向けた。

 

「……ミス・フォーリー、ミセス・ノリスを」

 

 固まった猫を受け取り、何かを確かめるように触れる。

 

「……彼女の言う通りじゃ。ミセス・ノリスは死んではおらん。体温もある」

 

 ダンブルドアは辺りを見回した。

 

「場所を変えよう。ミスター・ポッター、ミスター・ウィーズリー、ミス・グレンジャーはついて来なさい。ミス・フォーリーも来てくれると助かる」

 

 リズは頷いた。

 

「では、すぐ上にある私の部屋がちょうどいいでしょう」

 

 ロックハートがいつもの調子で言い、僕らは移動した。

 

 *

 

 ・ハリーside

 

 フィルチはずっと僕が犯人だと言い張ったが、僕がやったわけじゃない。ダンブルドアは、マンドレイクをスプラウト先生が育てているのでまた戻ると言うが、フィルチは何が何でも罰するつもりのようだった。

 

「ミス・フォーリーはどう思う?」

「……え? ええと、何でしょう」

 

 ダンブルドアの言葉を聞いていなかったようで、リズははっとして聞き返す。

 

「ミス・フォーリーも、ハリー達が犯人だと思うかね?」

「何とも申し上げられません」

「リズ———!」

「最後まで聞きなさい」

 

 僕らの味方だと思っていたリズの予想外の言葉に声を上げたが、今までにない真剣な口調で遮られた。

 

「まず、これは単純な石化呪文ではないでしょう。現に、あの場で私が反対呪文を掛けてみたにも関わらず効果がなかったこと、そしてダンブルドア先生ですら解呪出来なかったことから、高度な闇の魔術ではないかと考えられます。私は詳しくはわかりませんが、ハリーのようなまだ半人前の魔法使いが扱えるような呪文ではないのではないでしょうか」

 

 ダンブルドアに確認を取るような視線をやると、ダンブルドアはリズに向かって頷いてみせた。

 

「呪文ではない可能性もあります。こちらも詳しくはわかりませんが、そのような魔法薬が存在するのかもしれません。他には、珍しい魔法生物の仕業の可能性もあります———存在するかどうかはわかりませんが、メドゥーサとか。他にも私が知らないだけで、そのような効果をもたらす力を持った生物がいるかもしれません」

 

 リズは僕の目を見た。

 

「先ほど、ハリー達に扱える魔法ではないと言いましたが、それだけでハリーが無罪かどうかは判断出来ません。もしかしたら共犯者がいて逃す手伝いをしたのかもしれませんし、もし関わりがなくても操られているのかもしれません。私には調べようがないので、結論は『わからない』となります。お力になれずすみません」

「いや、良いんじゃよ。むしろ、この短時間でよくそこまで考えてくれた。魔法薬などという可能性も分かったのでの。どうじゃ、アーガス。ハリー達が悪いとは決まっておらん。納得してくれぬか」

 

 フィルチは不満げだったが、渋々頷いた。

 

「解散じゃ」

 

 リズは、一目散に部屋を出て行った。


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