ひなたぼっこの研究者 作:たんぽぽ
・ハリーside
ミステリズ・ガールに応援されてしまった僕達は、急いで賢者の石を守る部屋へ向かった。虎七味社の本は、僕のローブの内ポケットに入れてある。
フラッフィーを音楽で眠らせ、悪魔の罠を呪文で対処し、鍵を捕まえて次の部屋へ行く。巨大チェスはロンが死にものぐるいで頑張ったお陰で怪我一つすることなく攻略できた。トロールは、気絶していたようだがちょうど起き出してきたので、本の付録としてついていた氷のボールを投げると、ボールが破裂して盛大な花火が打ち上がり、その隙に次の部屋へ進んだ。そして、ハーマイオニーがナゾナゾを解き、僕は一人で次の部屋へと進んだ。
「……クィレル先生」
みぞの鏡の目の前に立っていたのは、あろうことかクィレル先生だった。
「僕、あなたは味方だと……スネイプだと、思っていたのに……」
「スネイプ? 確かに、スネイプはかなり邪魔してくれた。だが、もう遅い。私は賢者の石を手に入れ、ご主人様に差し出す」
いつもどもっているクィレルらしくない、野太い声。
「お前ももうすぐ死ぬのだ。お前の父親と母親のようにな。……ああ、手前の部屋で待っている友人も殺してやろう」
「ダメだ!」
ロンとハーマイオニーを殺させるわけにはいかない。僕は反射的に飛び出していた。杖から飛び出すのは、デタラメな呪文ばかり。クィレルはそれを全て防ぎきった。
「ぬるい」
クィレルが杖を一振りすると、僕は地面に叩きつけられた。
「ぐふっ……」
頭を強くぶつけた。血が流れ出るのを感じる。ああ、僕は死ぬのか……。
「『アバダ———」
「あ、ちょっと待って!」
ハーマイオニーの声が聞こえた。
「そっちは行っちゃダメだ!」
ロンの声も聞こえる。
「……え?」
二人は手前の部屋で待っていたはずなんだけど……。僕はクィレルと顔を見合わせた後、部屋の入り口の方を向いた。
入り口は炎で遮られていたのだが、そちらを見て…………………………言葉を失った。
*
・ダンブルドアside
医務室で、ハリーに全てを聞いたのじゃが……。
「……歳のせいか、耳が悪くなったのかもしれんのう。もう一度説明してくれるかの?」
再び説明を受けたわしは、当時のハリーと同じく言葉を失った。
ハリーによると、急に炎の壁が二つに割れたかと思うと、そこから一匹の非常に愛くるしいアナグマが出て来たそうじゃ。さらに、その後からはミスター・ウィーズリーとグレンジャー嬢が。それだけでも驚くべき事態なのに、さらに事は起こった。
アナグマがハリーの髪の毛を数本抜いたそうなんじゃ。
そして、痛がるハリーを置いて、アナグマはとことことクィレル先生の元へ向かうと、ぺっと髪の毛を吐き出したそうな。ハリーにはリリーの愛の加護がついている。クィレルとヴォルデモートが呆然としている間に、髪が触れた場所から体が焼けていき、ヴォルデモートはクィレルを捨てて煙のような状態でどこかへ逃亡したらしい。
さらに、アナグマはヴォルデモートが消えた事を確認した瞬間、ポンという音を立てて本に戻ったそうじゃ。
その本をグレンジャー嬢から受け取ったが、虎七味社という出版社の『あったか靴下百選』という本で、アナグマ要素がある部分は時々入っている靴下を履いたアナグマの挿絵くらいじゃったので、わしは不思議に思ってハリーに見せてみたのじゃ。そしたらハリーは、元は『