※今後の話は、ノーマルバッドエンドルートのペルクス死亡からエピローグまでの間の話になります。デッドエンドには当然ながら続きはありません。サラ死んじゃいますし…
悲愴と、苦悶と、煩悶と
彼がこの世を去ってから、私の世界から色が抜け落ちた。
数年経っても喪失感は消えない。
なにもやる気がしなくて、最低限外に出て、バイトをやって食いつないでいるが、無気力な私に集中力はなくて、すぐにミスをしてたちまちクビにされてしまう。
一人で家にいても、何もすることがなくて、まるで彼と出会う前に逆戻りしたかのよう。
それでも死のうとは思わなかった。
彼の最期のお節介を無碍にする気はしなかったから。
そんな時だった。
「辛そうな顔してるね。何かあったの?」
相手はバイトの男の先輩だった。
「何でもないです。お疲れ様でした。」
この内心を見透かされたような気がして、私は逃げるようにしてバイト先から帰った。
関わって欲しくない。そう思っていたのに。
次の日も。
「ねえ、大丈夫?」
その次の日も。
「辛いなら相談してよ。」
その次の日も。
「なんでそんなに寂しそうなの?」
その一言に思わずブチギレてしまった。
「もう関わらないでください!私は一人で大丈夫なんです!」
先輩は悲しそうな顔をしながら言った。
「なら、どうして泣いてるの?」
え…?
「君もそんな表情するんだね。ちょっと安心したよ」
泣いてる…?私が?
「これ、僕の連絡先だから。辛かったらいつでも連絡してよ。」
そう言って先輩は去っていった。
その背中はやけに大きく見えた。
帰宅した私はすぐにベッドに飛び込んだ。
手には先輩の連絡先が書いてあるメモ。
私はそのメモとにらめっこしていた。
登録…すべき?
でも連絡するのも癪だし…
グサッ!
「ペルクス…」
サ…ラ…
「行かないでよ!」
じゃあ、な。
「嫌だ!」
自殺なんか、すんじゃねえぞ
「私も一緒に連れてってよ!」
目が覚めた。またあの日の夢を見ていたらしい。
何度見てもあの夢は慣れない。
寝汗でびっしょりになったパジャマに不快感を覚え、着替える。
「ペルクス…」
無意識に彼の名前を呟く。
涙が溢れた。
人の想いは移りゆく。
それが通説でしかないらしいというのはこの数年で分かりきっていた。
何年経っても彼への想いは一向に薄れる様子がない。
むしろ強くなっていっているような気もする。
私は彼を渇望している事を強く自覚していた。
そんなことを考えていたからか、彼を喪ってからの私の行動を冷静に省みることが出来た。
ふと気づいた。
「
どうしてこんなことにもっと早く気づかなかったのだろう。
どうやら私はアイツよりもバカらしい。
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