彼が通り魔に刺されたところからスタートします。
彼女の悲劇的な最期
「いや。嫌よ、死なないでよ!ねぇ!」
血を流している彼は、もう虫の息だった。
そんな彼が、手を上げて何かを差し出してきた。
「鍵…?」
「俺の、家の鍵だ…クローゼットの下に…プレゼントがある。俺のエゴかもしれねえけどさ。受け取って…ほし…い」
彼が、二度と動くことはなった。
私は彼の家へと駆け出した。
家の中に入った途端彼の香りが押し寄せてきて、彼が出迎えてくれてるような気がして涙が溢れた。
彼に言われた通りクローゼットの下を探ると、小さな箱と封筒に入った手紙が出てきた。
封筒を開けて、手紙を読んでみた。
こういう事は直接言うべきなんだろうけどさ、俺バカだからうまく伝えられる自信が無いから手紙にするな。
あの日、飛び降りようとしてる君を見た時、直観的に思ったんだ。「助けなきゃ」って。
だから飛び降りた君の手を捕めた時、本当に安心した。
で、ホント見ず知らずの人なのに何故かすげえ心配になったんだ。
それから連絡先を聞いて、定期的に生存確認するようになってさ。
君の声を聞く度になんでか心があったかくなったんだ。
まるであの子といた時みたいに。
あ、他の子の話ししちゃダメなんだっけ?忘れてたわ。ごめんよ
それでさ、パエリア食べに行った時に気づいたんだ。
あ、俺は君の事が好きなんだなって。
同時に時折悲しそうな顔をする君を支えたくなった。
だからさ。
もし良かったら、なんだけどさ。
君の一生を俺に支えさせてくれねえかな?なんて。
思っちまうわけよ。
一緒に渡した箱に指輪が入ってるからさ。もしOKなら明日それを付けて初めて出会った場所に来て欲しい。
所々誤字のある手紙を読み終えて、そこにあった箱を開けたらダイヤモンドの指輪が入ってた。
底には値札のテープが貼られたままだった。
そのテープに、アイツのバカさと…温もりを感じて。
かろうじて堪えてた涙は溢れ出した。
私は子供のように、声を上げて泣きじゃくった。
ふと目が覚めた。
あれ?嫌な夢だったな。
そうだ、あのバカが死ぬわけがないじゃない。
早く手紙の場所に行かなきゃ。
…来ない。
いつになったらくるのよ!アイツは!
いつもいつも遅れてきて!ごめんの一言で済ませやがって!
今日こそ文句の一つでも…文句を…
その時、自分の指にはまっている指輪が目に入った。
アレ?アレは夢じゃなかったの?
アイツはどこにいるの??
ドコナノドコニイルノハヤクキテヨドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコ
ドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコ
アレ?アイツッテダレダッケ?
「今日、山中で女性の遺体が見つかった。身元がわかるものは身につけてなかったが、まだ新しいと見られる指輪が指にはまってた。。女性は自らの全身を激しく掻きむしったと見られ、特に眼球などは残っておらず、爪には赤黒い血がこびり付いていた。死因は大動脈を爪で掻き切ったものと見られる。自殺の可能性が高いが一応事件のセンも洗って置いてくれ。」
多分これでほんとに完結です。またなにか思いついたら投稿するかも…?