とにかく完結です。どうぞ!
その終末は偶然か必然か
そこには狂ったように笑う男がいた。
泡を吹いていて、何を言ってるかよくわからねえ。
男は包丁を握り直してこっちに突進してきた。
狙いは俺じゃない。彼女だ。
ポカンと立ち尽くしている彼女に、飛び降りる直前の君の寂しそうな顔が重なった。
今だ。今こそ君のように彼女を守るのだ。
決意を固めた俺は彼女を突き飛ばす。
しかし凶刃に体制を固める余裕はなかった。
「グッ!」
包丁がかなりやばい位置に刺さった。
通り魔は驚いたような顔をしている。
「目の前で…2度も…大事な人を死なせてたまるか!」
痛みをこらえ、拳を固め、通り魔の顔面を全力でぶん殴る。
通り魔は吹き飛んでいった。
眩暈がして、俺は倒れた。
彼女が駆け寄ってくる。
あ、これダメなやつだな。
なっさけねえ。せめてこれだけは伝えねえと
「なぁ…」
「何?」
「そんなに…泣くな…そうやって…泣かれると、俺も…悲しい。」
「う、うん。」
「どうにもこうにもなんねえな。俺はここまでらしい。目が霞んできやがった。」
「そんな!やだよ!貴方が死んだら!」
「これだけは、言わせてくれ。」
「何?」
「いつからか分からない。俺は君が大好きだった…今日も…楽しかった…ありが…とう」
「何過去形にしてんのよ!これからもいっぱいデートするのよ!それで!それで!教会で式を上げるのよ!私貴方がいなかったら…どうやって生きていけっていうのよ!」
「え…?それ…っ…て…?」
「私もあんたのことが好きなのよ!なのに…こんなのって…こんなのって…」
「あのな、最後のお願いなんだけどな?聞いてくれるか?
「え、ええ。最後と言わずになんでも言ってちょうだい!」
「俺が死んでも、死ぬな。もし自殺なんかでこっちに来やがったら…その可愛い顔面に…グーパン…してやるからな…」
「うん…わかった…頑張る…」
あの通り魔事件から十年がたった。
辛い日は沢山あった。
そんな時に寄り添ってくれた彼と私は結婚した。
そして…
「オギャーオギャー」
「はーい元気な男の子ですよ〜」
「よかった…」
「名前は君に任せるよ。何がいい?」
「なら
「いいけど…なんで?」
「ふふ、内緒。」
ねえ、空から見てますか?貴方の名前を持った男の子ですよ。
貴方のような優しくて人を守れる男性になりますように…
産まれたばかりの赤ちゃんが、優しく笑ったような気がした。
fin
ネタバラシをば。
結局のところ、この世界線は神々の狂乱のパラレルワールドです。(かなり強引ですが。)
別の世界線でのペルクスとサラのお話でした。書いてて楽しかったです。鬱展開は書いててしんどいね