あらすじ
カズマたちはボーボボ組加入の儀式「鼻毛縛り」を見事やり遂げ、ここに新たなボーボボの仲間たちが集った
「理不尽な理由で鼻毛叩きつけられただけだよ!!!」
ボーボボと首領パッチと天の助の3人はご満悦な様子でギルドカウンターの方にまで歩いていった
カズマは痛い体にムチ打って立ち上がろうとすると、ヘッポコ丸が体を起こすのを手伝ってくれた
「大丈夫か?」
「あぁ、別にそこまでキツくはないけど…なぁ、ボーボボとアンタたちって、いつもああなのか?」
「……オレも割りとあんな目に遭うことがあるんだ……」
少し間を置いて言われた言葉は実に哀愁が漂っていた。あぁ、こいつも苦労してんだなとカズマはシンパシーを感じた。オナラで戦う変な奴だが、
というよりそう思いたかった。この少年まで急にボーボボのような理不尽なキレ方をされたら…なんて考えると体も心ももたなかったからである。カズマ、不憫な子
「オレの名前はヘッポコ丸。ボーボボさんや天の助ほど強くないけど、これから一緒に戦わせてもらうぜ」
「名前も変な奴だな」
「オマエは失礼なヤツだな」
互いに悪態をつきながらも苦労人たちの絆は深まった
そしてボーボボたちはというと
「「「何ーーー!!オレたちには報酬がないー!!?」」」
カウンターの前でそんなことを叫んでいた。ギルド職員である美人なお姉さんのルナは困ったような顔で述べる
「今回のクエストはカズマさんたち3人で受けたクエストでしたので、報酬金はすべてカズマさんたちの方に行き渡ります。なのであなたたちに報酬金は…」
そこまで言って首領パッチが受付口の机をベタンと叩いた。迫力がない
「ふざけるな!!カエルどもを全部ぶっ殺したのはオレの手柄だ!!全部オレに回しやがれ!!!」
「いや、首領パッチくんほとんど食べられてただけじゃん」
確かに1匹は首領パッチくんが倒したけれども。遠くで聞いていたビュティはジト目で首領パッチを見た
「それにそもそも、あなたたちは正規の手続きで冒険者になれてはいませんから…」
それにヒステリックな首領パッチの声が遮る
「分かったわ!私たちを騙して、お金をすべて横取りにする気なのね!!?」
「ええ!?ち、違います、そんなことしません!」
「この泥棒猫!泥棒猫!!泥棒猫!!!」
「だ、誰か!誰か〜!」
掴みかかってグラグラ揺らすヒロインモードの首領パッチにいよいよルナは周りに助けを求める
「おちつけ!」
「おしゅうとっ!!!」
ボーボボは長い脚を高く上げて、首領パッチにかかと落としをかます。2つのタンコブを作って気絶したオレンジ玉を後ろに投げると、先ほど首領パッチがいたところにボーボボが立った
「オレの仲間がすまなかった。お詫びといってはなんだが、これを受け取ってほしい」
そう言ってカウンターの上にボーボボが置いたのは23枚のビックリマンシールだった
「えっと…これは?」
「オレたちが子どもの頃から集めていたお宝だ……うぅ!!」
ビックリマンシールを見て何かを思い出したのか、口を手で覆って涙を流し始めたボーボボと天の助。2人の心に半身を引き裂くような思いが襲った
「さよなら…!!ボクの「サーターアンダギー丸」…!!!」
「「ぬーめんバア」!!生きるためにお前を売ったオレを許してくれー!!!」
「いやあの!?こんなもの渡されても困るのですけれど!!?」
必死に訴えるが2人の耳には届いていない。無駄な悲痛の別れを味わったボーボボたちは泣きながらカズマたちの元へ走っていった
「でもへっくん、ボーボボたちは冒険者になるみたいだけど、私もなるべきなのかな?」
「え?ビュティはならなくてもいいんじゃないのか」
ヘッポコ丸はそういうが、戻ってきたボーボボと起き上がった首領パッチはそれを否定する
「いや、オレもこの世界で冒険者として動く以上、ビュティも冒険者になったほうが都合がいい」
「ビュティ1人だけ楽するなんて冗談じゃねえぞ。しっかりこき使ってやるから冒険者になれ」
「2人とも…」
ほがらかにビュティは笑う。なんだかんだ言って自分が冒険者になってもいいと認めてくれたのが嬉しかったのであった
「だが、今のオレたちは金がない」
「あ、そうだった。どうするボーボボ?」
「それについてだがオレに考えがある」
するとボーボボと首領パッチは穴の空いた紙袋を頭にかぶって拳銃を手に持つ
「モロ強盗する気マンマンだーーーー!!!!」
「オラー!よこせよ!!よこせよ!!」
ビュティが指摘してもボーボボたちは止まらず、首領パッチは銃を持って手始めにテーブルに座っていた屈強なハゲの冒険者を脅し始めた
「渋谷区大型デパートヨコセヨ!!渋谷区大型デパートヨコセヨ!!」
「なんだお前は?」
「みーんなハッピーみーんなハッピー、ヨコヨコヨコヨコヨコセーヨデパート……オラァ!!」
「あ!俺の走り鷹飛びチキン!!」
首領パッチはチキンを口でひったくってくると猫のようにそれをボーボボに渡した
「ニャワーッチ!!!」
「おお!戻ってきたか!……フンフン、なるほどなるほど…」スンスン
それを受け取ったボーボボはギトギトのチキンを楽しむように嗅ぎ
「金じゃねーぞバカ猫!!!」
「見りゃわかるよ!!!!」
わさびとからしの中身をそれぞれ首領パッチの両目に突っ込んだ
「ぎゃあああー!!!目がぁ!!目がぁ!!」
(本当に仲間にも容赦ねぇ……)
あまりの痛みに首領パッチは目を押さえて床の上を転がる。それを見ていたカズマはドン引きしながらそう思った
「さて、役立たずのせいで作戦は台無しだ。これからどうすれば冒険者になれるか作戦会議といくぞーー!!」
「「おー!!!」」
そう言ってボーボボは同調した
「やはりここはところてんギフトセットで」
「そんなことよりトイレのスイッチのシャーするところを!」
「バカヤロウ!先にクレヨンと絵の具を使い薄めるべきだろうが!」
「生まれし悪霊!闇ニートを忘れんな!」
(最初のセリフ以降がまったく意味わからん!)
ヒートアップするボーボボたちを見てカズマは激しく混乱する。訳がわからないのはビュティたちも同じだ
「なになに?面白そうなんですけど、私も混ぜて」
「テメーはお呼びじゃねえアクア!!」
「引っ込めー!!」
「このなんちゃって女神めー!!」
「な!誰がなんちゃってよ!我慢の限界よ!私を怒らせたことを後悔させてやるわ!!」
まさかのアクア乱入である。ヤジが苛烈になるにつれ、ティッシュ箱や「ぬ」グッズやシュワシュワの入ったコップがそこらを飛び交う
「………俺たちもあっちに仲間が1人いるから、あっちで話さないか?」
「「……うん……」」
それを見ていたビュティとヘッポコ丸は、カズマに促されるまま、めぐみんが食事をしている席へ移動した
ちなみにボーボボ世界の一人称は「オレ」、このすば世界が「俺」で区別をつけています。まあその区別抜きでも分かってもらえるように気をつけて書いてはいますが