この素晴らしい世界にハジケリストを!   作:ジャギィ

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ソース焼きそば


奥義68 荒野の旅路

あらすじ

 

一行はアルカンレティアに向かって出発した…

 

パトカーに乗って!

 

「馬車でだよ!!!」

 

 

 

「イッテテ、ボーボボの野郎〜」

 

打ち付けた頭をさすりながらカズマは元凶に対して怒る

 

そんなカズマに心配する声をかけるウィズ

 

「大丈夫ですかカズマさん?」

「先ほどアクアとダクネスがエンジンを除去したので、もう物凄いスピードで馬車が走ることはありませんよ」

「そうなのか」

 

窓を見れば、そこにはゆったりとした景色が流れている。それをワクワクした様子で眺めるダクネスが隣に座っていた

 

「楽しそうだな」

「ああ、私は子供の頃にしか街の外に出たことがなかったからな」

「へぇー」

 

そんな良い景色を見てみたいとカズマはダクネスと同じように振り向き

 

ブロロロォ……

 

「うわああああああ!!!?」

「ウンコが並走してるーーー!!!」

 

荒野を走るウンコを目の当たりにしたダクネスは絶叫し、カズマは突っ込んだ。一目見て、それがソフトンの用意したものだとカズマはわかった

 

だってボーボボと首領パッチ、ソフトン号の後ろで犬の格好で爆走してるもの

 

バキッ!×2

 

「あ」

 

そしてボーボボと首領パッチは、なぜか荒野に立つ巨大な「ね」のオブジェクトに激突した。倒れてピクリとも動かないバカ2人を放置して馬車とソフトン号は荒野を走る

 

「……俺、馬車に乗っててよかったって心底思う」

「奇遇ですねカズマ、私もです」

「せっかくの気分が台無しだ…」

「ねぇカズマー。魔法撃っちゃっていい?あの色々と不愉快な車、水で流しちゃっていい?」

「やめんかい」

 

馬車の後ろで足をぷらぷらさせながら物騒なことを言うアクアをカズマが止める

 

「ピャー」

「ドラゴンの使い魔……しかし私にはすでに使い魔(ちょむすけ)が…」

「ニャー」

「フフ、いい子ですね、ちょむすけちゃんは」

 

そしてゆるりと進む馬車の中では、めぐみんは別の客が予約の席に置いていたレッドドラゴンの赤ちゃんが入ったカゴを持ちながら凝視していて、ウィズは膝の上に乗せたちょむすけを撫でながら微笑んでいた

 

「…ん?」

 

そんな時、カズマは遠くの景色に土煙のようなものが上がってることに気づく。《千里眼》でさらに詳しく見てみると、ダチョウみたいなシルエットの大群が見えた…

 

「「「ピィーヒョロロロロローッ!!!」」」

「ってメチャクチャこっち来たーーーー!!!!」

 

というか馬車に向かって爆走していた。馬車の御者も迫り来る鳥の軍団に気づく

 

「お客さん、あれは(はし)鷹鳶(たかとび)です!!タカとトンビの異種間交配の末に生まれた鳥類界の王者です!!」

「走り鷹鳶!!?」

 

確かに頭はタカで鳴き声はトンビだけど!混乱しながらカズマはそう思った

 

「なんでこっちに向かってくるんだ!?」

「この時期の走り鷹鳶は求愛行動で硬い岩とかに走って、ギリギリで躱すのを競い合うんですよ!だから基本的には無害なんですが……もしかしてお客さん、アダマンタイトみたいな()()鉱石が荷物に入ってたりしません!?」

「いや、そんな高価な物、は…な…い……」

 

硬い、というワードを聞いてカズマがギギギとブリキのように振り向く。視線の先には頰を染めて興奮している非常に()()()()を着た変態

 

「カズマカズマ!向こうからやってくるモンスターの群れが心なしか私の方を凝視してるように見えるのだが!?」

「お前かーーーーー!!!」

 

この騒動を引き起こしたのがウチの仲間なのだと理解したカズマは心の限り叫んだ

 

「クソ、あいつら片付けないと先に進めない!つーかこれを見て見ぬ振りは流石にマズイし…みんな!戦闘準備だ!!!」

 

窓から改めて走り鷹鳶の群れを確認するとカズマはみんなの方へ振り返る

 

「ピヨピヨ。ピヨピヨ」

「おおーーーーー!!!?」

 

するとめぐみんが持ってたカゴの中に小さな首領パッチ(小鳥Ver)が入っていた

 

首領パッチは唐突に言う

 

「私は孤独です」

 

生まれた時からカゴの中にいて、違う景色を眺めることができない

 

他の鳥は自由に青空を飛んでいるのに、私は満足に翼も広げられない

 

そして、何も得ずに私は朽ちていくでしょう…

 

いやだ!もうあの頃に戻るのだけはいやだ!!!

 

ギィ…

 

「!」

 

そんな首領パッチの慟哭が届いたのか、カゴの扉が小さく開かれる。そこから首領パッチは脱出し青空を飛ぶ

 

(ああ、これで私は本当に自由!これからの私であるために、ヒロインとして輝くために…)

 

感動の涙を流しながら首領パッチは空を飛ぶ

 

「命よこせやめぐみんーーー!!!」

 

と見せかけてめぐみんに向かって襲撃を仕掛けた

 

「虫カゴに入っとけ!!!」バキャ

「カマキリッ!!!!」スポッ

 

が、何故か馬車の中にいるボーボボが思いっきり蹴飛ばして虫カゴに突っ込んだことで失敗に終わった

 

ヒュ〜〜〜…

 

虫カゴに閉じ込められた首領パッチはそのままふっ飛んで走り鷹鳶の群れの中に落ちて

 

「クルックー!」

「混ざった!!!」

 

群れの1匹となった。それを見たカズマは突っ込む

 

首領パッチの奇行を止めるためにも馬車、ソフトン号からそれぞれ人が降りる

 

「お客さん!お客さんたちは代金を払ってるから戦わなくていいんですよ!!」

(すんません。あのモンスターうちの変態が引き寄せたんです)

 

御者が心配して言った忠告にカズマの良心が苛まれる

 

「カズマくん!」

「カズマ、向こうから何か来てるぞ!!」

 

ソフトン号から降りたビュティとヘッポコ丸がカズマたちに近寄る

 

「御者のおっちゃんがあのモンスターの名前は走り鷹鳶だって」

「走り鷹鳶!!?ダジャレじゃん!!!」

 

誰もが思ったことをビュティが代弁する

 

「ここは」

「俺たちに」

「「「「任せろ!!!」」」

「護衛の人たちだ!」

 

後ろの馬車から降りてきた護衛役の冒険者パーティが武器を構えて走り鷹鳶に向かって走る

 

ザッ

 

「!!!」

 

その時、その冒険者たちよりも先にダクネスがモンスターの群れの前に出る。すると走り鷹鳶たちがダクネス(硬い物)めがけて走り出す

 

それを見た護衛の冒険者たちは尊敬の念でダクネスを見る

 

「あれは《デコイ》だ!あのクルセイダー、全てのモンスターを引きつけてでも戦う気なんだ!」

「なんて勇敢なのかしら!!」

(いえ、ただの変態です)

 

賞賛の言葉に冷淡に答えるビュティ

 

「俺もやるぜ!!『バインド』!!」

 

護衛冒険者の1人が援護の拘束スキルを走り鷹鳶に放ち

 

ダッ!

 

「させるかーーー!!!」バシュゥ

「自分から喰らったーーーーーーー!!!!」

 

ダクネスが射線上に飛び出して自ら《バインド》を受け、見ていたビュティは叫んだ

 

簀巻き状態で荒野の大地をゴロゴロ転がる

 

「まさか走り鷹鳶をこっちに向かわせないために俺の攻撃をわざと受けたのか!!?援護のつもりがすまねえ!」

「絶対違うよ!!!」

 

勘違いしている冒険者に対してビュティは指摘した

 

そんな中、走り鷹鳶の中に混ざっている首領パッチはというと…

 

「…………」

 

スゥ…

 

 

 

 

 

「トマト!!!!!

トマト〜!!!!!」

 

意味がわからない轟きが荒野に木霊した

 

 

 

 

 

「意味がわかりません。失格です」

「トマ…!」

 

そして走り鷹鳶の言葉で失格となった




最近スパロボXとか地球防衛軍5とかモンハンワールドとかで忙しいです。いや、就活もありますけどね

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