この素晴らしい世界にハジケリストを!   作:ジャギィ

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タイトルから漂うこのネタバレ感よ


奥義32 トイレより愛を込めて

「屋敷の除霊を手伝って欲しい?」

 

カズマから聞かされた話にビュティは首をかしげた

 

「この間ウィズの店に行った時に不動産の人が来てな、ウィズに悪評がついた屋敷の除霊の依頼をしに来たんだ」

「なんでそれをカズマくんたちが?」

「……アクアが何度もウィズを浄化しようとしたせいで弱ってしまってな……」

「…………」

 

上機嫌で酒を飲むアクアを見ながらビュティはすべてを察した

 

「それでオレたちがやることになったんだけどな、なんでも除霊がうまくいったらその屋敷の悪評が消えるまでタダで屋敷を貸してくれるって」

「ホント!?」

 

人数も多い分、宿代と食費が問題なビュティたちにとっては渡りに船な提案だった

 

「というわけだからみんなにも除」

「やめろー!!」バキッ

「ぐはぁ!?」

 

説明の最中に首領パッチに殴られたカズマ。そして体をクネクネ動かしながら泣き始める

 

「ヤダわ!パチ美幽霊なんて見たくないわ!!」

「そうだ!幽霊なんて、あんなの人間じゃないぜ!!」

「お前らもな」

 

少なくとも人間ではない

 

「『ドレインタッチ』」

「ぎょばああああ!!!」

 

カズマは仕返しにウィズから教えてもらったリッチーのスキル《ドレインタッチ》で首領パッチの生命力を吸った

 

「あああああ……」

「ああ!首領パッチがだんだん干からびて…!」

 

吸い取られ続けた首領パッチはだんだんシワシワになっていき

 

「「ピコ太郎になっちゃったーー!!!!」」

「なんで!!?」

 

サングラスにスーツ姿になった首領パッチは元気ハツラツに踊り始めた

 

「とにかく今夜、例の屋敷に集合ってことでいいな」

「分かったぜカズマ」

 

カズマたちは幽霊退治を行うことになった

 

そして夜……

 

カズマたちは屋敷の中で、蟹鍋を食べながら動くメンバーを決めていた

 

「チームの編成はオレとヘッポコ丸、アクアとダクネスと天の助、カズマとビュティとめぐみんと首領パッチでいくぞ」

「あれ、ボーボボはへっくんと2人なの?」

「なあボーボボ。めぐみんと首領パッチをヘッポコ丸と入れ替えてくれね?ちょうどよく3人になるし、何よりバカと爆裂狂いが一緒とかヤバいから」

「爆裂狂いというのは私のことですね?カズマがそんなにケンカを売るのが好きとは知りませんでしたよ」

「こらめぐみん、食べ物で遊ぶな」

 

ダクネスの実家からもらった高級霜降り蟹のハサミでカズマを攻撃するめぐみんとそれを注意するダクネス

 

「カニカニカニー♪…ってああ!!おま、これ鯖缶じゃねえか!!」

「缶ごと!!?」

 

蟹の身だと思っていたら鯖缶が入っていたことに首領パッチが言う

 

「すまん!つい出来心で!!!」

「なぜこんなことを…」

「カニに飽きたんじゃーーー!!!!」バキッ

「ええっ!?」

 

怒りに任せて天の助を蹴るボーボボにカズマは声をあげた。なんとしょうもないことか

 

そんなこんなで夜は過ぎていった

 

2時間後…

 

食事を終えたボーボボたちは、予定通り決めていたメンバーで屋敷を探索していた

 

「見当たらねえな、それらしいの」

「そうだね」

「離さないでね!!絶対離さないでね!!」

「分かりましたから服を引っ張らないでください!」

 

懐中電灯で照らしながら廊下を歩くカズマたち。ビュティの後ろではパジャマに着替えためぐみんの後ろで首領パッチがピッタリ引っ付いていた

 

「あたしトイレに行きたくなっちゃったわ!行ってくる!」

「あ、オイ!!」

 

カズマの制止を聞かずトイレに駆け込む首領パッチ。バタンとトイレの扉が閉まる

 

「一発入魂ー!!!」

 

バシャーン!!

 

「あいつさてはトイレに飛び込んだな!!?」

 

水音を聞いてカズマはドアを開ける

 

ガチャ

 

ドアを開けた先には50メートルプールでヤカンにクロールを教え込む首領パッチ教官がいた

 

「なんだこれ!!?」

「さあ競いなさい!そしてあたしを奪い合って、幸せのウエディングキ」

 

バタン

 

最後まで言い切る前にカズマは扉を力強く閉めた。ガムテープでしっかり補強して背を向ける

 

「よし、バカは置いてこうぜ」

「うん」

「そうですね」

「あれ!?オレ閉じ込められた!?ゴメン!50円玉あげるから許して!!」ガタガタガタ

 

50円玉で見向きなんてするはずもなく、カズマたちはその場から離れようとした……その時!

 

ガシャーン!!

 

「きゃあああ!!!」

「誰だ!!」

 

大きな何か…モンスターが窓を破壊して屋敷に侵入してきた。ガラスを突き破ってきたモンスターに対してカズマが剣を抜きながら言う

 

カズマ、ビュティ、めぐみんの前に現れたのはガラスを突き破るほどの腕力があるとは思えない薄い体にボロボロの布切れを着た、幽霊のようなモンスターだった

 

「フフ、俺の名は魔王軍Uブロック副隊長、トース!!貴様がベルディア様を倒したボボボーボ・ボーボボとかいう人間の仲間の1人、鬼畜のクズマだな?」

「なんで魔王軍にまで鬼畜呼ばわりされなきゃなんねえんだコラ!!あとカズマだ!」

「というか、なんで魔王軍のモンスターがこんなところに!?」

 

あんまりな評価にカズマはブチ切れる。めぐみんのもっともな疑問に対して、しかしトースはただ鼻息を鳴らすだけである

 

「貴様たちを人質にあの男をおびき寄せて殺してやろう」

 

トースの光だけの目がビュティを捉える。どこからともなく多数の亡霊が現れ、ビュティたちを襲う

 

「ゆけ亡霊どもよ!ヤツらを生け捕りにしろ!!!」

「きゃあああああ!!!!」

 

亡霊たちがビュティたちに迫り

 

シュバッ

 

目に見えぬ斬撃が亡霊すべてを斬り裂き、無念の声をあげ消えていった

 

「な、なに!?」

「お前の相手はオレがしよう」

「誰だ!!!」

(今の声って…もしかして!)

 

ジャーーー……

 

全員が声の方へ向く。声の主はトイレの扉をゆっくりと開け……その姿が月明かりにしっかりと照らされて

 

「「ウンコだーーーーーー!!!!!」」

 

カズマたちの前に現れたのは茶色のグルグル巻きの頭部をした…どう控えめに見てもウンコ頭にしか見えない男だった。インパクト大のその姿にカズマとトースは絶叫した。めぐみんですら引き気味である

 

「無事かビュティ」

「お兄ちゃん!」

「お兄ちゃん!!!?」

 

そしてそのウンコがビュティの兄だということがさらにカズマを混乱させた

 

「このウンコが!よくも邪魔してくれたな!!」

 

トースは訳のわからないウンコに邪魔された怒りで男に向かって急接近する。しかしトースはこのウンコの……ソフトンの実力を完全に見誤っていた

 

『バビロン真拳奥義「ルクセンブルグの雷鳴」!!!!』

「ぐわああああ!!!?」

 

ソフトンは目にも留まらぬ手刀で半透明の体にXの形で傷をつけ、トースに強烈な一撃を与えた

 

「つ、(つえ)え!!!」

「やっぱりすごいよ、バビロン真拳!!」

「ぐはぁ!ば、バカな、こんなウンコが…!!」

 

吐血しひざまづくトースの前にソフトンは立ち、臨戦態勢に入りながら告げる

 

「さあ、憐れな亡霊たちよ。贖罪の儀式を始めようか」

 

バビロン真拳使いの強者、ソフトンがボーボボ組に復帰した

 

(す、すごくカッコいい決めゼリフです!!!)

 

ちなみにその時めぐみんは、ソフトンのセリフに感動していた




さあ戻ってきましたウンコッコせんせー、じゃないソフトン!!果たしてトイレ水の女神様はチョコレート味のソフトクリームを流しきれるのか!!?

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