こんな所に転生させずともいいじゃないか   作:影の泉

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三次試験

 トリックタワーに私達受験生が下りると、72時間以内に下まで降りて来るように告げられた。

 飛行船から降りる時トリックタワーに念で書かれた〝外周から降りるのを禁止する〟という文字を発見した。

 

 塔を観察しているとロッククライマーの受験生が塔の外周を降り始めた。

 素早く降りて行くロッククライマーを見ていると、顔が人面の怪鳥が現れ連れ去られてしまった。

 やはり隠し扉を探すしかないと、隠し扉を探し始めた時首筋にチリリとする殺気を感じて後ろに飛びのいた。

 瞬時に襟首に伸ばされた腕を払うと、払った腕を掴まれ捩じり上げられた。

 

「「「「ヒソカ!?」」」」

 

 ゴン、キルア、クラピカ、レオリオが声を上げる。

 私は殺気を放たれた時点で気付いていたので上を見る。

 

「マドカを放せ!」

 

 ゴンが私を助けようと声を上げた。

 

「今の君達に用はない♠用があるのはマドカだけだ、下で待っているよ♡」

 

「ゴン私は大丈夫だから、下で待っているね」

 

 ゴンに何とか答えると、私はヒソカに担がれて連れて行かれる。

 ヒソカに連れて来られたのは一つの隠し扉だった。

 そこから降りると下には既にギタラクルさんが居た。

 ヒソカが私の後から降りて来るとブザーが鳴り何処からか人の声が聞こえた。

 

『ようこそ〈地獄の道〉へ。その道は三人揃う事で先に進める』

 

 

 

「三人だけだし針抜こうかな」

 

 そう言うとギタラクルさんは針を抜きイルミさんになった。

 

「相変わらず面白いね♡」

 

 面白がっているヒソカを置いてイルミさんが歩き出した。

 

 三人で塔を攻略し出して直ぐにワラワラと囚人が出て来た。

 ヒソカはトランプで斬り殺しイルミさんは針を投げ、顔を変える時の痛みで引かせて行く。

 私は撃ち洩らされた囚人を気絶させて行く。

 

「何だい二人とも殺さないのかい?」

 

「仕事じゃないからね」

 

「殺さなくて良いなら殺さないよ」

 

 ヒソカの質問にイルミさんは抑揚のない声で答えた。

 私は何時もの通りだ。

 

 その後進んでいくと大きな広間に出た。

 ただし私達の居る地点から十メートル下に剣山の様に針というより槍が刺さり、刃の部分が上を向いている。

 

「これだと堅をしていても痛いかな」

 

 下を覗き見て言う私の言葉にヒソカとイルミさんは頷く。

 

「反対側に通路があるからあそこまで飛べば良いんじゃない?」

 

「そうだね♢僕は伸縮自在の愛(バンジーガム)で飛んで行くけど君達は如何する?」

 

「俺は壁を走るよ」

 

「私は重力(グラビティー)で渡る」

 

 そう言うと私達は行動を開始した。

 ヒソカは天井に念を飛ばしてそれを起点に飛び、イルミは壁を走り出す。

 私は重力(グラビティー)で重力を操作して一直線に通路へ向かう。

 

 通路に着いた私達が進むと、また囚人が現れた。

 先程と同じくヒソカは殺し、私とイルミは殺さなかった。

 そんな通路を進んでいくとまたしても大きな広間に出た。

 今度の広間は下に通路がある訳ではなく、同じ高さに通路があった。

 しかし通路の真ん中には穴が開いており、そこにポコポコを泡が浮き出るいかにも怪しい水が張られていた。

 

「いかにも怪しい水と、これは板かな?」

 

 私は脇に置いてあった板を掴むと水の中に落とした。

 そうするとジュワジュワ音を立てて板が溶けだした。

 

「うわー、これ酸だよ」

 

 抑揚のない声でイルミさんが言う。

 酸って……、この場所の材質どうなっているの?

 

「さっきと同じ方法で渡れば良いさ♠」

 

「そうだね」

 

 ヒソカの決定に私もイルミさんも賛成した。

 

 渡った先の通路にはまたしても囚人が居て襲いかかって来る。

 既に単純作業とかした囚人撃退をしつつ私達は会話をしていた。

 

「針山地獄の後は血の池地獄か、酸の池だったけど。次はなんだろう糸かな?」

 

「何その針山地獄とか血の池地獄って」

 

「ジャポンで語られている地獄の話し。地獄の道って言っていたし関係あるのかなと思って」

 

「ふーん」

 

 私との会話しながら、内容に興味がないのかイルミさんの答えは抑揚が何時も以上に少ない。

 

「今までのパターンだとそろそろ次の罠があるんじゃないかい♢」

 

 ヒソカの言葉に通路の先を見ていると通路が途切れていた。

 途切れた通路の所に着くと下を覗き見た。

 

「百メートル位の穴が開いていて、あるのは糸だけ」

 

「こんな糸じゃあ簡単に切れるよ」

 

 私の言葉にイルミさんが補足した。

 

「これじゃあ堅をして飛び降りるしかないね♠マドカは念を使えば行けそうだね♡」

 

「それしかないね」

 

 ヒソカとイルミの会話で今後の方針が決まった。

 ヒソカとイルミは堅、私は重力(グラビティー)を使い穴に飛び込んだ。

 

 二回ドンッと音を鳴らしヒソカとイルミが穴の下に着地した。

 私は重力を少しずつ変え静かに着地をする。

 私達は脇にあった通路を更に下り出した。

 

「人がいるねえ♠試験官かな?」

 

 ヒソカの言葉通り通路の先には人が一人居そうだ。

 通路を通り小さな空間に入ると一人の男がいた。

 

 

 

「ヒソカ待っていたぞ」

 

「ヒー兄知り合い?」

 

「さあ?知らない奴だよ♠」

 

 待ち構えていた人はヒソカの知り合いらしい。……ヒソカは忘れ去っているようだが。

 

「何だと!? 俺は貴様の事を忘れた日はこの一年、一分たりともない!」

 

 そんな言葉と共に二人の戦闘は幕を開けた。

 相手の人は四刀流の使い手で、去年ヒソカが半殺しにした試験官だった。

 ヒソカが相手の四刀流を軽々真似し、相手を殺した。

 

「怪我しちゃった♢マドカ治してくれよ♡」

 

「しょうがないな、手貸して」

 

「はい♡」

 

 ヒソカの手を取り癒しの口づけ(ヒーリングキス)を発動した。

 

「ありがとう♡」

 

 

 ヒソカが相手を殺し小部屋を見ると小部屋の扉の所に『ここを通れるのは一人のみ、他の受験生を殺せ』と書かれていた。

 

「これって扉壊しちゃいけないの?」

 

「それが一番手っ取り早いねえ♢マドカgo♡」

 

「え、私?」

 

「言い出しっぺはマドカだろう♢」

 

 私は肩をガックリ落とし硬をして扉を殴った。

 ガコンと音を立てて扉は吹っ飛んで行く。

 

 

 

『44番、45番、302番第一号~第三号合格。所要時間3時間13分』

 

 そんな声をスピーカーから聞き私達は第三次試験を通過した。

 

 その後私達はトランプをして時間を潰した。

 私達の次にクリアしたのはハンゾーさんで、トランプをしないか誘ったけれど断られた。

 イルミはハンゾーさんの気配がした時点で顔に針を刺し、姿を変えている。今後はギタラクルさんと呼ぼう。

 ゴン達は原作通り制限時間ギリギリにクリアした。

 

『三次試験合格者26名、内1名死亡』

 

 そうアナウンスが流れた。

 

 

 

 




針が顔に刺さっている時→ギタラクルさん
素顔→イルミさん
と表示しています。

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