こんな所に転生させずともいいじゃないか   作:影の泉

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二次試験

 大きな銅鑼の音が鳴り、大男のブハラさんと際どい衣装の女性メンチさんが現れた。

 二次試験は知識にある通り料理試験になった。

 最初の課題は豚の丸焼きで、私は素早くグレートスタンプという大きな豚を倒した。

 鞄からナイフを出し、血抜きをする。ナイフには勿論周をして強化する。

 その間に枯れた枝を探していたら枯れ木を発見した。

 枯れ木を血抜きしているグレートスタンプの元まで運び、今度は内臓を取り除き、皮を剥ぐ。

 枯れ木を薪にして火炎と氷結(ファイヤー&アイス)で火を付ける。

 じっくりグレートスタンプに火を通して、出来上がったグレートスタンプ丸焼きを試験会場に運んだ。

 

 試験会場では既に合格者が出ており、列も残り少なかった。

 列に並び暫くすると私の番になり、持って来たグレートスタンプの丸焼きをブハラさんに渡し合格した。

 

 次の試験はメンチさんの握り寿司だった。

 私は少し考えた後ゴン達と分かれメンチさんの元にやって来た。

 

「メンチさん少しよろしいですか?」

 

「何? ヒントならあげないわよ」

 

 メンチさんはかったるそうに答えた。

 

「いえ、私握り寿司を知っているのですがこのまま試験受けて良いですか?」

 

「知っているならアドバンテージじゃない、何で私に言いに来たの?」

 

「私が作れるのは素人寿司ですから。知っていると分かれば味で判断されそうだったので、事前に聞きに来ました」

 

 訝しげな顔をしたメンチさんは私の答えを聞き溜息を吐いた。

 

「こんな子供に見極められるとはね。そうね、貴女は創作寿司を作りなさい」

 

 メンチさんとそんな会話をしていると遠くの方からレオリオの「魚!?」という声が聞こえて来た。

 その声と共に受験生達が外に駈け出して行く。

 私は調理台に向かうと調味料や道具に何があるか確認してから湿原にある沼へと向かった。

 

 沼は受験生により濁されており水の中の魚が見えなかった。

 沼を遡り川付近になると水は澄んでおり、魚影も確認できた。

 円を広げなるべく大きな魚を探す。

 一匹の魚に狙いを定めると重力(グラビティー)を使い、魚を岸に上げる。

 巨躯を誇る魚には髭が生えており、ナマズと推定された。

 ナマズを素手で持つとヌメヌメして滑ってしまうので、重力(グラビティー)で持ち上げ試験会場に向かう。

 

 調理台にあった塩で滑りを取り、ワタを取って三枚に下ろす。

 身を少し切って食べて見ると泥臭いので、火を入れる事にした。

 頭と真中の骨のある部分は鍋に入れ出汁を取る。

 皮の付いている部分は皮を取り、ぶつ切りにして行く。

 調味料を取り出しボールに醤油、お酒、生姜、ニンニクを入れ混ぜ合わせぶつ切りにしたナマズを投入した。

 

 ナマズの身に味をしみ込ませている間に鍋の様子を見る。

 大分出汁が出てきている様なので、途中で見つけたミツバを千切る。

 味見をしたが毒などは特になかった。

 ミツバを入れるタイミングを計っているとゴンが側までやって来た。随分落ち込んだ様子で。

 

「うわー、良い匂いだね。鍋で何作っているの?」

 

「ナマズの出汁を使ったおすましよ。ゴンは何で落ち込んでいるの?」

 

「実はさ、料理持って行ったらメンチさんにレオリオ並みって言われちゃって……」

 

「ああ、あれじゃあね。味見した方が良いよ」

 

 私はゴン達の持って行った料理を思いだす。

 そのままの魚をご飯で包んだ物が多かった。あれではメンチさんも食べないだろう。

 

「味見?」

 

「料理ってものはね、自分で食べて美味しいって物を出すのよ」

 

「へー、そうだったんだ」

 

「45番良く言ったわ、その通りよ。なのにこいつ等ときたら味見もせずに持って来るのよ」

 

 私の説明にゴンは納得した様な顔をし、メンチさんは同意する。

 声聞こえていたんだ。

 

 その後多少味の滲みたナマズの身を粉を塗し溶いた卵に着け、熱した油で揚げた。

 油を切ったナマズの唐揚げを握った酢飯の上に載せ海苔を巻いて行く。

 幾つか作った唐揚げ寿司の中で良いものを残し味見した。

 鍋の方も出汁が出たのでミツバを入れ完成だ。

 寿司をお皿に、おすましを御椀に入れメンチさん持って行く。

 

 列に並ぶと直ぐ前に良く喋る忍者さんがいた。

 確か名前はハンゾーさんと言ったか。

 列は進みハンゾーさんの番になると、やり直しと言われたハンゾーがキレ、寿司の作り方を大声でバラした。

 あーあ、ハンゾーさんの前に渡したかったのにな。

 私の番になりメンチさんに寿司を渡す。

 

「へー、から揚げにしたのね。それにおすましまで。……シャリが少し硬いわね、から揚げももう少し味をしみ込ませて欲しいわ。でもおすましは美味しかったわ、やり直しね」

 

 流石美食ハンター。私ももう少し味をしみ込ませたかったのよね。

 

 私は調理台に戻ると取り合えず腹ごしらえをした。

 いやだって、お腹すいていると良い案が出ないんだもん。

 

 私が昼ご飯を食べているとメンチさんがお腹いっぱいになり二次試験が終了した。

 

 空からハンター協会会長のネテロさんが降って来て、二次試験のやり直しが発表された。

 ネテロさん登場でメンチさんに向いていたヒソカの殺気がネテロさんに向かった。

 メンチさんはヒソカの殺気を浴びてイライラしていたのに対してネテロさんは糠に釘、暖簾に腕押し、柳に風とまったく効いていない。流石だと思う。

 

 

 メンチさんが二次試験のやり直しを宣言し、クモワシの卵を使ったゆで卵になった。

 メンチさんが実演した後私達はクモワシの卵を取りに行き、ゆで卵を作り二次試験を合格した。

 

 

 

 




以外に二千文字行きましたので、二次試験後の飛行船の話とくっつける予定でしたが切ります。

活動報告も書かせてもらいます。

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