こんな所に転生させずともいいじゃないか   作:影の泉

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少し短いです


エピローグ

 アルカちゃんが疲れて寝てしまうまで私達は話し通した。

 

「それでマドカは何に囚われているんだ」

 

「え?」

 

 唐突なキルアの問いに私は何も帰す事は出来なかった。私が囚われている? 何に? 頭に過るのはヒソカの顔、それにクモのメンバー。

 

「クモ……」

 

 ヒソカに囚われていないと言おうとして出て来た言葉に息を飲む。

 

「マドカ、クモを知っているの!」

 

 ゴンが問いかけて来るが、答える事ができない。

 

「ヒソカ経由で知り合った、って所か」

 

 キルアの問いに首だけで頷く。

 

「俺もつい最近気付いたんだけどな、お前何かに捕まってるぜ」

 

 キルアの言葉に思考する。私は何かされたか? と。考えてみるが憶えがない。

 そんな時心の奥底で声が聞こえた。「クモを裏切るな」と。クモを裏切るってどういう事? 私がクモを裏切ると思ったの? 確かにクラピカにクモの事を話そうか悩んだ事があった。結局クモの事は話さなかったけど。でも最初にクラピカに会った時殺そうとは思わなかった。あれは未来が確定してなかったから? 私は……。

 

「あああああぁぁぁ!」

 

 突如叫び出した私にゴンとキルアがギョッとした。

 今はそんな事に構っていられない。叫んでいる途中確かに感じたのは私以外のオーラ。

 普段は私のオーラに隠れてしまうほど微弱なオーラを、絶になった今感じ取れた。

 首の後ろから少し上に行った所、頭のつけね。

 私は首の後ろに手を回しオーラの籠っている部分を掴んで取り除いた。私の掌に残ったのはシャルの念に使うアンテナだった。そのアンテナは普段使う物より小さく細かい。

 

「私は……操られていた?」

 

「だと思うぜ」

 

 ポロリと漏れた言葉に反応したのはキルアだった。

 

「クソっ! あいつ等マドカを操るなんて!」

 

「ゴンとりあえず落ち着いて」

 

 私がどうすれば良いのか悩んでいると、ゴンが怒りだした。

 ゴンの怒りを目にしてストンと落ち着いた。とりあえずゴンを落ち着かせないと。

 

「マドカは悔しくないの!?」

 

「ゴンが怒っているのを見たらなんだか落ち着いちゃった」

 

「マドカ! キルアも!」

 

 ゴンの問いについ思っている事を告げるとゴンは怒鳴り返して来た。キルアは何故かお腹を抱えて笑っている。

 

「確かにっ。ゴンが怒ると何か落ち着くよなっ。くく、わりい」

 

 キルアは笑いながら喋っている。

 

「ふふふ、何か怒って良いのか分からなくて。そうしたらゴンが怒っているから何か落ち着いちゃって」

 

「二人とも」

 

 私達の言葉にゴンは眉を下げて困っている。

 

「あー、笑った。で、マドカは如何するんだ?」

 

「如何するって?」

 

「クモだよ。如何するんだ?」

 

「ああ、暫く距離を置こうと思う。自分で何をしていいか分からないし」

 

 笑っていたキルアが真剣な顔をして聞いて来たが、私は何を聞かれているのかピンとこず、問い返すとクモの事だと言われた。

 

 そんな話をしているさなか着けていたテレビにネテロさんの写真が写り、ハンター協会の会長を選挙で決める。と流れた。

 

「選挙で次の会長を決めるのか」

 

「日付は四日後、か」

 

 最初にテレビに注目したのはキルアでゴンが日付を見る。

 

「選挙はハンター全員で、って。ゴン、ジンさんと会えるかも!」

 

「そうかハンター全員集まるならゴンの親父も来るな!」

 

「ゴン急いで飛行船のチケット取らないと」

 

 ニュースが流れて行くとハンター全員の投票で決めると流れて来た。キルアと私でゴンを見つめる。

 

「俺、行かないよ」

 

「「ゴン!」」

 

 ゴンの〝行かない〟発言にキルアと私の声が重なった。

 

「だって、まに会う様に行ったらマドカ絶のままじゃん」

 

「私は良いから。シルバさんが家に泊めてくれているし」

 

「駄目! 行くなら皆一緒じゃなきゃ。じゃないと紹介できないじゃん」

 

 ゴンの頑なな態度にキルアと私は顔を見合わせた。

 

「ゴン、マドカは俺が見ているから行ってこい」

 

「やだ!」

 

 キルアが言い聞かせるがまったく反応がない。

 

「……じゃあ、私の絶期間の消える一週間後に飛行船の予約をしましょう。もしかしたらジンさんもハンター協会で待っているかもしれないし」

 

「うん。分かった」

 

 私の代案にゴンは素直に頷いた。

 

「あ、アルカの分もチケット取らないと」

 

 キルアが動き出しそれに私達は着いて行く。ベッドの方から「お兄ちゃーん」という声が聞こえる。

 その声に起こしてしまったのかと私達は振り返るがアルカちゃんが起きた気配はしなかった。私達は小さく笑うとパソコンに向かった。

 

「ジンに会えたら二人を紹介するね」

 

 ゴンの言葉に私とキルアの顔は笑顔になっていた。

 

「あれ? もしかして私のお父さんにも会えるかも」

 

 一度も会った事のない父親の事を思い出し告げる。

 

「じゃあマドカのお父さんに俺達紹介してよ」

 

「うん、良いよ。私の大切な友達です! って紹介する」

 

 私の言葉にキルアが「はずいだろ」と言っているが私とゴンは笑いあっている。お父さんお母さん私にも友達ができたよ。

 




これで完結になります。
ゴンは原作通りジンに会うことになります。レオリオが殴る事はないでしょう(いや、あるかも)。
幼稚な作品でしたが今まで見て下さった皆さんのおかげです。

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