こんな所に転生させずともいいじゃないか   作:影の泉

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グリード・アイランド①

 携帯が鳴り出るとカルトからだった。

 カルトが言うにはクモに入りたいから紹介をしてくれというものだった。

 クロロの電話番号を教え電話を切った。

 

 私は予言にあった通りゴンとキルアに会う為にゴンに電話した。

 ゴンに連絡すると、ある廃ビルに居るらしい。

 ゴンとキルアに会う為に廃ビルに向かった。

 

「このビルよね。ゴンー、キルアー、居るー?」

 

「おう居るぜ」

 

 廃ビルからキルアの声がして、ゴンとキルアが顔を出した。

 

「マドカこっちこっち」

 

 手を振るゴンの元に向かう為、ビルの入り口を潜った。

 ビルの中に入るとレオリオが出て来た。

 

「おう、マドカ久しぶり」

 

「レオリオ! 久しぶり。もしかしてクラピカも居るの?」

 

「いや、行っちまったよ」

 

「そっか」

 

 ちょっと遅かったか。

 

「「マドカ!」」

 

「ゴン、キルア!」

 

 ゴンとキルアがビルを駆け下りて来た。

 そしてヨークシンであった事を話してくれた。

 クモにあった事、グリード・アイランドをプレイする選考会に出る事、必殺技の修行をしていることなど。

 

「マドカ、グリードアイランドの選考会一緒に行かない?」

 

「うん、私も行く」

 

 

 

 オークション最終日、私はゴンとキルアと共にバッテラ氏の選考会に参加していた。

 あの金髪ツインテールはビスケだっけ? うん、強いな。

 簡単な説明が終わり、私達は席に座っていた。

 待っていると後ろの席に座っている男が話し始めた。

 私達は少し話し時間を潰した。

 

 先ずキルアが席を立ち、次にゴンが席を立った。

 ゴンが席を立った後物凄い音がした。

 その音を聞き私も席を立った。

 

「また子供か……。今度は何を見せてくれるのかな」

 

 審査員のツェズゲラさんの言葉に微笑を浮かべる。

 その言葉からゴンとキルアが合格したのが分かったからだ。

 鞄から取り出した石を床に置き〝重力(グラビティー)〟を発動させた。

 ゴツン!

 と音を立てて床にめり込んだ。

 

「何と、その年でこれほどの念を……、合格だ」

 

 扉を開け進むと九人の人間がいた。うち二人、ゴンとキルアの元に向かう。

 

 選考会をクリアし契約書を貰い、一度会場を後にした。

 レオリオと合流し、契約内容を確認する。

 皆と話し、レオリオと分かれ会場へと向かった。

 

 グリードアイランドへ入る為にじゃんけんをして順番を決める事になった。

 うーん、順番はなん番でも良いな。

 ゴンが一番でキルアが十七番、私が十八番となった。

 キルアの次か。

 キルアはゴンにスタート地点で待っている様に伝えた。

 

 グリードアイランドに入り、説明を受けスタート地点に出るとゴンとキルアが揃っていた。

 

「二方向から見られているね」

 

「マドカも気付いたか」

 

「ねえゴン、キルア。二方向に分かれない?」

 

「え?」

 

 私の案にゴンが声を上げる。

 

「行き先が二つあるのなら二手に分かれた方が良いでしょ。ゴンとキルアがペアで私が独りでどう?」

 

「ええ!? 三人で行こうよ!」

 

「そうだな、二手に分かれるか」

 

 ゴンは反対しキルアが賛成した。

 

「マドカは独りで良いんだな」

 

「うん、大丈夫」

 

「ゴン考えてもみろよ、この世界がどのくらいの広さか分からないんだぜ。情報は多い方が良い」

 

「うう、分かったよ」

 

 キルアの説得にゴンは渋々頷いた。

 

「じゃあ二人ともまた今度」

 

 こうして私はゴンやキルアと分かれ一路南に南下した。

 暫く歩くと空を飛んで一人の男が降って来た。

 私の前でバインダーを開き何かしている。

 

密着(アドヒージョン)オン、マドカを攻撃!」

 

 カードを掲げ私への攻撃を宣言するとカードが光、私へ迫って来る。

 ここは〝火炎と氷結(ファイヤー&アイス)〟! 即座に炎の刀を作り光と化したカードを切り裂く。

 炭化し崩れさるカード見た男は動揺しバインダーを捲る。

 

再来(リターン)オン、マサド……」

 

 男がカードを使う前に男からカードを掏る。

 掏り技術向上したな……、嬉しくないけど役に立つんだよね……。

 

「さてと、色々話し聞かせて貰えますよね」

 

 男を脅……、話を聞いた結果プレイヤーと会ったらまずバインダーを出す事。私がカードと言った物が呪文(スペル)カードというカードの攻撃だという事。カードには他に防御、対攻撃、対視、対通など計四十種ある事が分かった。

 男が好意で渡してくれたカードをバインダーにしまい、南下を開始した。

 

 『勝負の街 ルビキュータへようこそ』そんな看板がでかでかと書かれた門を潜り、私はルビキュータに到着した。

 街のそこかしこで勝負事が発生していた。禁止事項はギャンブル、お金を賭ける事だった。

 男から通貨もカードになっていると聞いたので、街を歩き簡単そうな勝負を受けて行く。

 勝負は肉体勝負だけではなく知能戦、所謂ボードゲームも多かった。

 オセロ、トランプ、将棋、ダーツの勝負で勝った所で見知った者の気配がしたのでそちらに行ってみる事にした。

 広場で話しているのは金髪の優男と黒髪に眼鏡の女性、小柄で長髪の男性の三人組。

 

「シャル、シズクさん、コルトピ! 三人もこっちに来ていたのね」

 

「マドカ!? 携帯に連絡しても出ないと思ったらここに居たのか!」

 

 三人組のクモの構成員がこちらを振り返った。

 代表してシャルが話しかけて来る。

 

「連絡って何かあったの?」

 

「お前ヒソカがクモじゃないって知ってたか?」

 

「? クモじゃないって?」

 

 シャルの質問に記憶を探る。

 あー! そっかヒソカってクモのフリをしていただけだっけ。

 正直に知っているとは言い辛いな……。雰囲気的に。

 

「兄は、巻き込みはしても巻き込まれてはくれないから知らない事の方が多いよ」

 

「そうだよなー……。いや、連絡に出ないから気になっていただけだよ。マドカの予言にも不審な点はなかったし。マドカが出て行った後にあった事話すからそこに座りな」

 

 嘘を吐いた。これぞクモ仕込みの嘘の付き方だ。

 クモってさらっと嘘吐くからね、特に知性派が……。何度痛い目にあった事か!

 シャルの話で私がクモのアジトを出てからの事が分かった。

 ヒソカがクモを裏切っていた事、クロロが念を封じられた事、パクさんが死んだことなど。

 ああ、パクさん死んじゃったか……。パクさんには良くしてもらったんだよね……、やっぱり言った方が良かったのかな。……いや、駄目か。

 

「そんなに落ち込むなよ、パクは誰も恨んでなかったからさ。それよかマドカ、お前の念で団長にかかった念消せるか?」

 

「結論から言うと無理だね。火炎と氷結(ファイヤー&アイス)の炎や氷は念を燃やしたり凍らせる事は出来るけどクロロにかかった念は心臓、身体ごと燃やすか凍らせるか斬るかしないといけないからね」

 

「そっか」

 

 シャルも分かっていたのか落ち込む事はなかった。

 

「マドカの予言が俺達とは別行動の方が良いって出たんだ、一緒に行動するのは不味い。ここで別れよう」

 

「うん、じゃあね。シャル、シズクさん、コルトピ」

 

「またねマドカ」

 

 最後に話しかけてくれたのはシズクさんだった。

 シャル達と分かれトレードショップで手に入れたカードの中で要らない物を売り払った。

 地図は男がくれたので買う必要はなかった。

 ショップの小父さんに地図上に書かれているものについて聞いた。

 ゲーム外に出る為のカード離脱(リーブ)を用意する為、港を目指す事にした。

 港があるのはマサドラの西、此処からだとゴンやキルアと分かれたスタート地点の平原に戻り、更に北上する必要があった。

 途中でゴン達とも会えるかもしれない。

 そんな事を考えトレードショップから出ると、一人の男が話しかけて来た。

 

「君、俺達と手を組まないか?」

 

「お断りします」

 

 そう言って通り過ぎようとすると男は更に話しかけて来た。

 

「俺はジスパ、君は念を燃やす能力を持っているんだろう。仲間になれば優遇するぜ!」

 

「結構です。私は一緒にプレイする人は決めています」

 

 どうやら見張っていた人達の仲間らしい。

 というかこの人たいして強そうには見えないのだけど……。

 

「君が言っているのは子供の二人組だろ? そっちにも声をかけている。俺達とくれば合流できるぜ」

 

「あの二人が貴方達と手を組むと言ったら組みましょう。ですから今は失礼します」

 

 ジスパというしつこい男を置いて歩いて行く。

 

「分かった、その子供達は必ず仲間にして後から連絡する」

 

 後ろから声をかけられたが止まらず前に進む。

 ゴンとキルアが仲間に入るかな? 多分入らないと思う。

 それよりまずマサドラに行かないとな。

 今月の末までに天空闘技場に行かないといけないのだよね。今八勝だから次勝てば九勝、フロアマスターに大手をかけた事になる。

 いい加減サボりたいんだけどな……。止めたらヒソカが五月蠅そうだしな。

 はあー、今回戦ったら次は期限ぎりぎりに対戦予約だけ入れてサボっちゃお。まだ負けは0回だし良いよね。

 

 こうしてのんびり歩きながらマサドラを目指し、西に向かい港に出た。

 港の所長を倒し離脱(リーブ)のカードを手に入れ、ゲーム外へ出た。

 

 電波が繋がり携帯に続々と連絡が入って来る。

 クロロを始めクモのメンバーからも連絡が入っていた。

 クロロはクモには連絡を出来ないが、クモでない私には連絡をする事ができるという事か。

 履歴を辿り皆に返信を返して行く。

 ヒソカからもメールが来ていた。

 

『やあマドカ♡僕はクモを抜けたから君も好きにしなよ♢』

 

 余りに自分勝手な物言いに携帯を握り潰しそうになった。

 いけない、物に当たるな。

 何とか自分を諫め返信を送った。

 

『勝手な事言うな!』

 

 

 

 

 




勝負の街ルビキュータは捏造です。
しかし、入口に近い街なので簡単に金策はできるだろうと思いこのようになりました。

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