こんな所に転生させずともいいじゃないか   作:影の泉

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くじら島

 ゴンは念の修行を再開し、一勝してヒソカへの挑戦権を得た。

 ヒソカ対ゴンはヒソカの勝利に終わった。

 内容はゴンの善戦と言って良いだろう。

 発を作ってすらいないゴンがヒソカからポイントを奪ったのだ。

 

 その後ゴンの部屋に行くとゴンがくじら島に招待してくれた。

 お宅訪問はゾルディック家以来か、私の友達の輪も広がって来た。

 八月末にはヨークシンへ行かなければいけないが、嬉しいイベントだ。

 

 飛行船と船を乗り継ぎくじら島に辿り着いた。

 

「ミトさんただいま、友達を連れて来たんだ。こっちがキルアでこっちがマドカ」

 

「まあまあ、いらっしゃい。ミトよ」

 

「キルアです」

 

「初めましてミトさん。マドカといいます」

 

 ミトさんと自己紹介をしあう。

 その後お風呂に入りご飯をご馳走になった。

 

 ゴンの案内でクジラ島を巡り、キツネグマのコンがゴンにお帰りの意味を込めて魚を送ってくれた。

 その後三人で話をした。

 ゴンとキルアは九月にヨークシン行くらしい。あっちで会えたりするかな。

 

 夜、キルアはゴンの部屋、私はミトさんの部屋で寝かせてもらった。

 

 翌朝ミトさんがゴンに小さな箱を手渡した事が分かった。

 その箱はゴンの父親、ジンさんが残したものだった。

 箱はゴンやキルアが力を入れても壊れない。

 キルアが念で開けられるのではないかと気付き、ゴンが練をして箱を開けた。

 これは神字ね。

 壊れた箱の中には更に箱が入っており、中にカセットテープと指輪、ロムカードが入っていた。

 

 まずカセットテープを聞いてみた。

 カセットテープにはゴンへのジンさんからのメッセージが入っていた。

 カセットテープには念が籠っており、聞き終わった後カセットテープに籠っていたジンさんの声は消去された。

 指輪は念の為着ける事はせず、ロムカードを見て見る事にした。

 キルア曰くジョイステ、テレビゲームのロムカードだそうだ。

 ジョイステを知らなかったゴンと私に呆れるキルア。仕方ないじゃん、念の修行とかに明け暮れていたんだから。

 ジョイステを買いロムカードを差してみると、ロムカードいっぱいにグリードアイランドというゲームが入っていた。

 グリードアイランドは市場最高額のゲームで、五十八億だそうだ。

 ハンター専門のゲームだった。

 グリードアイランドって念能力者のゲームだったよね。

 ゲームに詳しい相手という事でキルアが自宅に電話した。兄貴に連絡をつけるといって。

 あ、ミルキさんか。ゴンはイルミさんを想像しているでしょう。

 キルアがミルキさんと交渉してコピーしたロムカードと情報を交換した。

 キルアは二つの情報を手に入れてくれた。

 ハンターの情報サイトとヨークシンシティーのオークションだそうだ。

 

 その日の夜はご馳走だった。

 凄く美味しかったです。

 

 ゴンとくじら島を散策していると銃声が聞こえた。

 ゴン曰く密漁者だそうだ。

 銃声がした地点に行くと、密漁者達がキツネグマの子供を捕ろうとしていた。

 密漁者を倒し、キツネグマの子供を見ると酷い怪我をしていた。

 

「ゴン! こいつはもう助からない。ここで殺してやれ」

 

「嫌だ! 何か助ける手段があるはずなんだ」

 

 苦しまない様直ぐに殺せというキルアと何とか助けたいゴンの言葉がぶつかった。

 

「ゴン、その子助けるから貸して」

 

「はあ!? もう無理だ!」

 

「本当! マドカ!?」

 

 キルアとゴンの言葉が重なりかける。キルアの方が少し早いか。

 ゴンからキツネグマの子供を預かると私は癒しの口づけ(ヒーリングキス)を発動した。

 治ったキツネグマの子をゴンに渡すとゴンとキルアは驚いていた。

 

「マドカありがとう!」

 

「お前の念って重力を操るんじゃなかったのかよ!?」

 

「良く気付いたね」

 

「お前の念少し調べさせて貰ったからな」

 

 私にお礼を言うゴンと私の念を当てるキルア。

 天空闘技場で調べたのかな? 天空闘技場で使ったのは〝重力(グラビティー)〟だけ。

 ゴンとキルアが来てから一度戦ったものね。

 

「天空闘技場で使った能力も今の能力も私の念よ」

 

「マドカお前操作系だよな? って事は今のは元の状態に戻すように操作したってことか」

 

 キルアが何かブツブツ言っているが訂正が難しい。全ての系統を扱えると言いたい所だけど如何しよう。

 

「えーとね、私全ての系統が扱えるのよ」

 

「ええ!?」「はあ!?」

 

 見事にゴンとキルアの声がハモった。

 

「念ってどれか一系統しか扱えないんじゃないの?」

 

「普通はそうなんだけど、私は全ての系統が扱えるのよ」

 

「マジでか!?」

 

「うん」

 

 私は二人に頷いた。

 その後キツネグマの子を森にかえしゴンの家に帰宅したが、道中私は質問攻めにあった。

 

 

 

「ねえマドカ、この島に居る間俺達に念を教えてくれない?」

 

 ゴンの言葉に私は驚いて瞬きをした。

 

「確かに。念に関してはマドカの方が知っていそうだもんな」

 

「私が二人に念を教えるの?」

 

「うん。だめ?」

 

 ゴンの言葉にキルアも賛成している。

 

「私順序立てて教えられるか分からないけど、良いの?」

 

「うん!」

 

 こうしてゴンとキルアに念を教える事になった訳だけど……。自信がないのだけど。

 私の場合実践戦闘が殆どだったんだよね。

 

 二人に少し待って貰い新聞紙とセロハンテープを借りて来た。

 

「新聞紙とセロハンテープで何するんだよ」

 

「ちょっと見てて」

 

 キルアの問いにストップをかけ、新聞紙を丸めて端をセロハンテープで止めた。

 

「チャンバラごっこの棒?」

 

 ゴンもまだ何をするか分からないのかクエスチョンマークを上げている。

 そんな二人を前に周をして新聞紙の棒を振るう。

 私が新聞紙の棒を振ると目の前にあった木の枝が切れた。

 

「「なっ」」

 

「これが応用技の一つ〝周〟よ。オーラの量を増やす作業や練や絶の切り替え何かはゴンとキルアが自分でやってね」

 

「すげー! マドカ今の如何やったの?」

 

 私が木の枝を切った事に驚くゴンとキルア。

 私が説明している間に気を取り直したゴンが私に詰め寄って来る。

 

「オーラを物に込める事を周って呼ぶのよ。ゴンとキルアのオーラ量だとまだ余り続かないかもしれないけど」

 

 私が説明している間にゴンとキルアは新聞紙を取り、棒を作って行く。

 

「これに念を込めるね。……ふーん、そんなに難しくないんだな」

 

「もしかしてヒソカが使っていたトランプも周をしていたの?」

 

「ゴン正解。ヒーに、兄が得意にしている物の一つよ」

 

 ゴンとキルアは直ぐに周を使えるようになった。

 ゴンはヒソカの力の一つに触れられたのが嬉しそうだ。

 ……うん。途中ヒー兄って呼びそうになった。

 意気揚々と周をするゴンとキルアだけど、直ぐにオーラが尽き地面に横になった。

 

 その後ゴン達の修行、チャンバラごっこの念バージョンを見つつ時間が過ぎ、私はゴンとキルアと一緒にくじら島を出た。

 

 

 

 


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