こんな所に転生させずともいいじゃないか   作:影の泉

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キルア視点になります。


キルア

 俺はキルア=ゾルディック、暗殺一家の三男だ。

 人を殺す事に躊躇いはない、暗殺者としても向いているだろう。家族からの期待も俺に向いた。

 だが足りないものがある。

 それは友達だ。

 友達が欲しいと思うようになり、家がまるで鳥籠の様に感じるようになった。

 俺の周りには家族と家に仕える執事のみ。

 家族は暗殺者としての俺に執着し、執事は一歩引いて物事に当たる。

 昔、執事見習いの少女に友達にならないか聞いたが、友達にはなってはくれなかった。

 そんな事を考えている時ヒステリックなお袋と直ぐ上の兄貴を見て無性に腹が立ち、二人を刺して家を出た。

 

 

 家を出た俺は最難関といわれるハンター試験を受ける事にした。

 試験会場はザバン市、調べた通りに定食屋でステーキを注文する。焼き方は弱火でじっくり。

 エレベーターを降りて行くと、豆みたいな奴から100番の番号札を渡された。

 ちぇー、結構早く来たつもりなのに前に99人居るのかよ。

 俺はそうぼやきつつも周りを確認する。

 そうしたら一人やばい気配の奴がいた。44番の番号札を持っている奴だ。

 

「やあ、君ルーキーだろう。俺はトンパ、ハンター試験のベテランさ」

 

 俺の前に四角い鼻の太ったおっさんが現れ、色々説明してくれる。

 俺はそれを右から左に適当に聞き流しながら聞いていた。

 

「お近づきの印にこのジュースあげるよ」

 

 ふーん、毒入りのジュースね。ま、俺には効かないけど。

 くれるって物は貰っておけば良いか。

 

 俺はおっさんと分かれた後、適当に試験会場を歩いていた。すると正面から微かに気配を感じた。

 そこには赤い髪を腰まで伸ばし金の瞳の俺と同じ年か少し年下位の子供がいた。

 名前はマドカ、年齢は俺より二つ下の十歳だった。

 チッ、俺が最年少だと思ったのによ。

 その後マドカと少し話、分かれた。

 

 一次試験が始まり、俺はスケボーに乗り進んでいた。

 暫く進んだ時前方に俺と同じぐらいの子供が二人の人間と話していた。

 仲良し組か。

 そいつらはゴン、クラピカ、レオリオといった。

 まさかレオリオが俺と同じ十代だとは思わなかった。

 

 ゴンと二人前に行く事にして、進むとマドカがいた。

 マドカとゴンが自己紹介し俺達は一緒に走り出した。

 階段を上り出した所でゴンと出口まで競争する事にした。

 絶対俺が勝つ!

 

 ヌメーレ湿原に出て、人面猿という奴が現れた。

 サトツと猿にヒソカがトランプを投げ付けサトツだけがトランプを受け止めた。

 なんでトランプが刺さるんだ!

 

 またマラソンが始まりヒソカが興奮し出した。あれは人を殺す。

 ゴンとマドカを連れ先頭に出た。

 何故先頭に出たかゴンに説明すると、ゴンはレオリオとクラピカに前に来るように叫んだ。

 緊張感ねーな。

 レオリオの悲鳴が聞こえ、ゴンがレオリオの元に戻って行った。

 く、ヒソカに殺される! 俺も行くか? いや、俺じゃあヒソカに勝てない。

 勝てない相手に向かって行くな。そんな兄貴の声が聞こえた気がした。

 くそ、こんなんだから友達ができないんだ。

 そんな俺に気付いたのかマドカがゴンは大丈夫だと言った。

 しかも俺とヒソカは似てないという。どう言う事だ。

 

「おいマドカ、アイツの妹だろ。何とかならないのか?」

 

「無理」

 

「即答かよ!?」

 

 ま、しゃーねえ。

 ヒソカに対抗できる奴なんていないか。

 こうして俺達は二次試験会場に辿り着いた。

 

 二次試験会場からは獣の鳴き声が聞こえた。

 少しするとマドカがゴンを見つけた。

 良かった無事か。

 

 その後豚の丸焼き、握り寿司という料理試験になった。

 豚の丸焼きは分かるけど握り寿司って何なんだよ!

 クラピカのおかげで魚料理って事が分かったが、レオリオが周りにまで聞こえる声で叫んだ。

 何とか寿司の様な物を作りメンチに出したが合格する事は出来なかった。

 マドカが味見と言っていたが、味見って何だ?

 

 結局二次試験の合格者は出ず、会場は騒然とした。

 そんな時飛行船から一人の爺さんが降って来た。

 かなりやるな、親父ともやりあえる。

 その後マフタツ山のクモワシの卵でゆで卵を作る試験に変わった。

 谷に飛び降り卵を取って風に乗ろうと風を待っている時、マドカは崖を蹴ってひとっ飛びに上に戻って行ってしまった。

 何だアイツ猿か!? なるほどヒソカの妹って言うのもあながち間違ってないな。

 無事ゆで卵ができ二次試験を通過した。

 

 飛行船に乗り、俺はゴンやマドカと一緒に飛行船を探検した。

 途中夜景を見つつゴン達と話をした。

 ゴンに両親は何をしているのか聞かれ「殺人鬼」と答えると直ぐに納得した。

 直ぐに信じやがった。面白い奴。

 マドカの話になり、マドカの両親はハンターをしている事が分かった。

 マドカとあって一日も過ぎていないが、マドカは闇の住人だ。ヒソカ程でもないが闇の匂いを感じる。

 そんな時殺気を感じ振り向くと、誰も居なかった。いや、隣から話しかけて来た爺さんだ。素早いな。

 爺さんがゲームをしないか誘って来た。

 そのゲームに勝てばハンターにしてくれるらしい。

 ゲームのルールは飛行船が次の試験会場に着くまでに爺さんからボールを奪う事だそうだ。

 俺が最初に出て、開始早々に肢曲を使った。しかし、簡単に見極められてしまった。

 蹴りを爺さんの足に入れたのに俺の方が痛かった。

 何て硬い身体だ!

 

 ゴンと順番を変わった。

 ゴンは開始早々ジャンプをした。が、天井まで飛び頭をぶつけてしまった。

 せっかく爺さんが油断してたのに。

 マドカは俺とゴンの挑戦を見て参加を諦め、シャワーを浴びに行った。

 

 その後交互に挑んだが一向にボールを取る事ができなかった。

 ゴンと同時に挑みもしたが、あと一歩という所で奪う事ができなかった。

 あと一歩といっても爺さんにかなり手加減されているが。

 ハー、ここまでにしておくか。

 

 爺さんに挑むのを止め廊下に出ると人とぶつかった。

 咄嗟に気が高ぶり殺した。

 シャワーでも浴びるか。

 シャワーを浴びにシャワー室に向かっているとマドカと会った。

 マドカに死臭がすると言われ、良く洗う事にした。

 

 シャワーを浴び終わり広間に行くとマドカは居なかった。何処で油をうっているんだ?

 マドカが帰って来るとヒソカと会話を始めた。

 会話が終わるとマドカはヒソカの膝を枕に寝てしまった。

 オイ! そこで寝るのかよ!?

 

 翌朝ゴンを起こし、飯を食べた所で三次試験会場に到着した。

 

 三次試験会場は大きな塔で、その降り方を模索した。

 ロッククライマーが壁を降りている途中で怪鳥に捕まり、周りから降りる事ができない事が分かった。

 そんな時マドカが飛びのいた。

 マドカの動きは早く俺でも反応できるか分からない。

 しかしマドカは簡単に捕まってしまった。ヒソカだ。

 ヒソカがマドカを連れて行った後、隠し扉を発見し下に降りた。

 

 ゴン達と分かれて攻略かと思ったら同じ道だった。

 『多数決の道』らしい。

 最後の一人はトンパのおっさんだった。足引っ張らなければいいや。

 

 その後多数決をしながら道を進んで行く。

 トンパのおっさんは足を引っ張る気満々らしい。

 

 俺達は闘技場に辿り着き、囚人と試合をすることになった。

 第一試合はトンパのおっさんが出て、土下座して負けた。

 第二試合はゴンが出た。ゴンの試合はどちらが長く蝋燭を灯していられるかだった。

 相手は奇策を使って来たが、ゴンはそれを破り勝つ事ができた。

 第三試合はクラピカだ。クラピカの相手は幻影旅団の元メンバーと言っていたが、あれは嘘だろう。が、蜘蛛の刺青を見た瞬間クラピカの目が赤くなって、あっという間に相手を倒してしまった。

 暫く経ち気絶したままの相手を見て時間稼ぎをしているのが分かった。

 レオリオが確かめようと言った時、相手が試合を申し込んできた。

 レオリオの勝負方法は賭けになった。

 アイツ起きる気がないんじゃないか?

 レオリオの行動でクラピカの相手が起きている事が分かった。

 感心したのもそこまでで、レオリオの奴相手の策にまんまと嵌りやがった。

 結局レオリオの負けで終わった。

 最終試合は俺の番、いっちょやってやるか。

 俺の相手は連続殺人犯だった。

 けど結局アマチュアじゃん、俺元プロだし。

 相手の心臓を抜き去り、あっさり勝負がついた。

 

 進んだ先の小部屋で五十時間過ごす事になった。

 ゴン達と過ごす時間はこれまでになく楽しいものだった。

 

「あーあ、マドカがいたらもっと楽しかったのにな」

 

「そうだな、マドカがいたらもうとっくにここから進んでるな」

 

「おいおい、マドカはお前達の二つ年下だろう?」

 

 俺達の会話にレオリオが加わって来た。

 

「アイツあれでヒソカの妹だ。かなり強いぜ」

 

「そういえばそうだったな……」

 

 レオリオは納得した様な顔をした。

 その後50時間その小部屋で過ごし俺達は進んだ。

 

 更に進んだ先で『長く困難な道』と『短く簡単な道』という選択をする事になった。

 『長く困難な道』は五人で進められて『短く簡単な道』は三人でしか進めない。

 残り時間は一時間を切っている『短く簡単な道』しかない。

 レオリオとトンパのおっさんが争い出した。そんな時ゴンが『長く困難な道』へ行って通過する事ができると言いだした。

 俺達はゴンを信用して『長く困難な道』を選んだ。

 ゴンは置いてある武器で『長く困難な道』から『短く簡単な道』に入る事になった。

 道を壊すとは良く考え着いたな。

 こうして俺達は三次試験を通過した。

 

 四次試験はゼビル島という所での狩りだった。

 引いた籤の相手がターゲット。

 ゴンやマドカとターゲットの確認をするとゴンは44番ヒソカだった。

 ゴンはやる気を見せている。

 俺はターゲットが分からなかったが、マドカが憶えていてくれた。

 簡単な特徴を聞きターゲットを知る事ができた。

 

 ゼビル島に着き次々と受験者が出発して行く。

 俺の番が来て、俺も出発した。

 ゼビル島に着いて暫く、着けられている事が分かった。

 ま、隙なんか見せないぜ。

 相手の元に仲間が現れ、まだ俺から受験札を取ってないのか責める。

 バーカ俺から受験札取れるかよ。

 ん、待てよ。こいつら俺のターゲットじゃないか?

 ラッキー。

 俺は即座に動き相手の後ろを取る。

 手を変形させ相手の首に突き付ける。

 相手は簡単に受験札を渡してくれた。

 いらない札は、っと。

 前と後ろに思いっきり投げ捨てる事にした。

 いやー、良い仕事したぜ。

 後は受験札をタイムリミットまで守れば四次試験通過だ!

 

 

 ゴンとマドカは友達になってくれないかな……。

 

 

 

 

 




少し長くなりました。

ヨークシン編まで書けているので、それまでは毎日投稿予定です。

キルアとの友達フラグが立った模様。
オリ主も友達のいないボッチなので友達を欲しいと考えています。
しかし、オリ主の関係ある人物がヒソカとクモメンバーという時点でお察し下さい。

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