奇跡のなくパーティーに   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
前回……というか、去年のクリスマス回のおまけ編です。短いかもしれませんが、楽しんでもらえれば幸いです。

それではどうぞ。


特別編 奇跡の魔女とのクリスマス おまけ編

穹に誘われて、彼と羅奈が住む世界(カケラ)でクリスマスを一緒に過ごす事になったベルン。

 

「…デパートに着いたのはいいけど……」

「人がたくさんね……」

 

やって来た場所は巨大なデパート。クリスマスなのか、現在進行形で人がたくさん出入りしている。

 

「父さんと母さんが迷子にならないようにとは言ってたけど……今年もこの混み具合か」

「え? ご健在なの?」

「うん。時期的なせいで、僕はまだ中学1年生だからね。まぁ、簡単に言うと……」

 

なんと彼の両親は生存しており、穹曰く『前世の転生体であり且つ本人』だそうだ。

 

なので、穹の両親はベルンの事も憶えてるし、いつか逢えたりしないかな?と年々思ってるそうだ。

 

ベルンとしてもそれは嬉しい事だった。

 

「ちなみに父さんと母さんには泊まり込みでクリスマスデートに行かせた。涙目で遅めの反抗期!?って詰め寄られたけど。主に母さんに」

「穹の事を溺愛してるんだもの。その反応は当然だと思うわよ」

「心配してくれるのは僕としてもありがたいんだけどね? で、前に福引きで当てた旅行券をクリスマスプレゼントって言いながら渡したら、泣かれた」

「いい意味で泣いたんでしょうね。きっと」

 

ちなみにベルンも穹の両親……特に彼の母親の性格は把握しているので、涙目になる理由も解らなくもない。

 

「店内で入ってすぐ迷子になったら大変だから、手でも繋ぐ?」

「どうせなら、こっちの方がいいわ」

 

そう言ってベルンは、穹の腕に自分の腕を絡ませる。自分でやっておいてなんだが、これはこれで恥ずかしい。

 

「えっ、ベルン?」

「…ダメ?」

「だ、ダメじゃないけど……とりあえず、行こっか?」

「……ん♪」

 

そんな事を話しながら、2人はデパートに入っていった。

 

 

 

 

デパート内では親子連れや学生、はたまた使い魔等がデパート内部を歩いていた。賑やかな声が穹とベルンの耳にも聞こえてくる。

 

「なあ、あの男の子が連れてる女の子って……」

「いやいやありえねーって。でも可愛いよな……」

「使い魔かな?」

「だとしてもあんな神々しい使い魔なんて見た事がねーよ、俺……」

 

何か視線を感じるなと思った2人。どうやらベルンの姿が視える人間が偶然居たようだ。その人達は今も穹とベルンの方を興味深そうに見ている。

 

『ベルン、念話で悪いんだけどさ……』

『何? ああ……もしかしてあの男達?』

 

急に念話で話し始めた穹を見て察したベルンも念話で返す。

 

『うん、でもあの様子だと他人の空似だって思ってそう。…って言っても、奇跡の魔女であるベルンに他人の空似もクソもないけども』

『まあでも今なら、お忍びで出かける有名人の気持ちが解らなくもないわね』

『ごめんねベルン。せっかくの()()()()()()()()なのに……』

『っ!?』

 

寧ろ、ベルンとしては穹の口から今行ってるのが『クリスマスデート』という事実が重要で嬉しさが爆発しそうだった……

 

『お昼ご飯、何か食べたいのある? まだお腹空いてないなら、色々と見て回る?』

『そうね、せっかくなら……服を見てみたいわ』

 

穹に訊かれたベルンが言う。単純にこの世界の服に興味があるだけ。もしこの場にラムダが居たら腹を抱えて笑いそうだが。

 

『ベルンが良ければ、僕が選んであげよっか?』

『…あまり派手なのは選ばないで』

『善処するよ』

 

ジト目で穹を見るベルン。彼の性格上、そんな事はしないと思うが偶に……ほんと偶にはしゃぐ時があるのだ。ラムダ達が居る時はともかく、二人きりの時なら全然いいのだが。

 

『そもそも店員が私の事を気づいたりしないかしら?』

『口が堅い店じゃないと、このデパートで店を出すとかできないから、安心してもいいよ? まして今日はクリスマスなんだし』

『穹が言う、クリスマスっていう言葉の絶大な信頼感はなんなのよ……』

『今日くらいいいじゃん』

 

まあ仮にそうなったとしても、穹と二人きりで過ごすクリスマスだし、今日くらいは普通の女の子みたいに過ごしてみようかなと思うベルンなのであった。




読んでいただきありがとうございます。
クリスマスに間に合って良かったです……(せっかくなのでこの日に投稿したかった為)
来年も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。

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