前回の予告通り、今回はあの子とあの子の誕生日回になります。
それではどうぞ。
「穹、あ~んなのです~♪」
「あ、あーん……(なんなのさ、この状況は……)」
今の状況に疑問を抱く穹。何故かというと、現在進行形で羽入にあーんされているのである。
「あのさ、羽入ちゃん? 僕、自分で食べれるんだけど……」
「嫌……でしたか?」
「うっ……嫌じゃないけど……」
上目遣いで言うのは反則だと思う。嫌じゃないが。
「それに今日は休みなのです。なので穹を独占する事にしたのですよ♪」
「……ちなみに何する気?」
「あうあう♪ 恋人や夫婦がする事なのです♪」
あっ、これから何をされるのかを察した……その時だった。
「は~にゅ~う~……!!!」
肩紐型のライトグリーンで胸元にスリットが入ったワンピースを着て、ベルンと同じ綺麗な蒼い髪をした1人の少女が柚深月家のリビングに乱入してきた。
その少女、
「あ。梨花ちゃん、いらっしゃい」
「お、お邪魔しますなのです……」
「ちっ……」
「……(羽入ちゃんの顔が怖く見えるのは……うん。気のせい、気のせい)」
ちょっとだけ助かったとばかりに穹が声を掛けると、先程の表情とは一変して緊張気味な梨花。そしてまるで空気を読めとばかりに梨花に舌打ちをする羽入。心なしか彼女の表情がちょっと怖い……
「ほら梨花ちゃん。そこに立ってないで座って待っててよ」
「穹、何か手伝いますか?」
「大丈夫だよ。2人はお客さんなんだからさ。気持ちだけ受け取っておくよ」
そう言って穹は台所に向かい、梨花と羽入の為にデザート作りをする事に。
「あんた、朝っぱらから抜け駆けなんていい度胸ね?」
「何を言ってるのです。それは梨花が僕や
「それならあんたは年寄りじゃない」
「あうあう! 聞き捨てならないのです! 穹と
「あ、あるわよ! なんだったら、この間も穹と
「あう!?」
作ってる最中、梨花と羽入の喧嘩モドキが背後で聞こえてきたが気にしない事にした。
◇
そしてなんやかんやあって雛見沢から屋敷に無事に戻った穹。
「…ん。穹、やっと見つけた」
「ベルン?」
「ん……」
すると不意打ち気味に背後から誰かに抱きしめられた。その正体はベルンだった。
「どうしてここに?」
「帰ってきたら、穹がいなかったから捜してたの」
「そうだったんだ。僕もさっきまで別の
「ふーん……」
彼女の質問に答えると、ベルンは少し不満げな反応だ。
「……他の女の臭いがするわね」
「気のせいじゃない?」
「じー……」
私、ちょっと疑ってます的な感じで穹を見続けるベルン。
「ちなみになんでそう思うの?」
「女の勘よ」
「それはまた恐ろしいね。勘に頼るなんてベルンらしくないんじゃない?」
「穹の事なら別」
真顔で言い切る彼女。なんていうか……
「……真顔で言うベルン、可愛いなぁ……」
「~~~~~~!!?」
「あ。ごめん、声に出てた?」
「……
穹がそう言うと、照れ隠しなのか、ベルンは穹の首元に甘噛みをする。慣れているが、相変わらず地味に痛い。
「この後、どうする?」
「穹と一緒に居る。穹が居ない間……寂しかったんだから……」
普段はクールで弱音も言わない甘えるのがちょっとだけ不器用な彼女、ベルンは屋敷に戻ってからも相変わらずなのであった。
読んでいただきありがとうございます。
今年も間に合って良かったです……(苦笑い)
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。