奇跡のなくパーティーに   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
前回の続きになります。
前半がクイナ視点、後半が穹の視点に
なります。

それではどうぞ。


宴12 墓場で運動会 後編

クイナです。

私は今、マスターの命令により

妹達とチームを組んで運動会に参加しています。

 

『え~次はプログラム6番、パン食い競争』

 

あら。次の競技の時間みたいですね……

 

「パン!食い!競争!!」

 

六女のベルゼが目を輝かせてる。

確かパン食い競争って運動と食を見事に両立させた

完璧な競技だと何かの文献で読みました。

 

「次のパン食い競争の参加人数は3人だから、ルシファーお願いしてもいい?」

「はい。クイナ姉様」

「あとは……ベルフェとサタンお願い」

「うむ」

「クイナ姉の頼みなら……」

 

ふぅ…これで参加人数は大丈夫ですね。

 

「わっ…私は~!?なんで出してくれないのぉ!?」

 

ベルゼが半泣きになりながら訴えてきた。

本当は出してあげたいけど……

 

「オチが見えてるもの……この理由、ルシファー達も分かるでしょ?」

「「「「「「あー確かに……」」」」」」

「オチって何!?」

 

それはあなたが『暴食』だからよ?

ちなみに、この競技だけ勝敗等は関係なく

純粋に楽しむものみたいです。

ところでパン食い競争なのに何故か『ベルンカステラ』なるモノが

あったのですが……あれはパン類に分類していいんでしょうか?

 

「う…うっ…ぐず……っ」

 

パン食い競争が終わった直後、

やりたかった競技に参加できなかったベルゼが体育座りをしながら泣き出してしまった。

流石に可哀そうに思えた私達は……

 

「お姉ちゃんの手作りパンをあげるからベルゼ泣かないで?」

「うっ…ほんとぉ~?」

「ほら私の分もあげるから!」

「私の分もあげるわよ、だから泣かないの!」

 

結論から言うと妹には弱いんですよ……

私もまだまだ甘いですね……

 

『次はプログラム7番、リレー』

 

次の競技のアナウンスが鳴りました。

しかもリレーですか……

なんかやる気が起きないですねぇ……

 

「みんな、次の競技は私1人でするから少し休め!!」

「ベルフェあなた正気?、無理しなくても……」

「よっ、余裕だ!!!」

 

四女のベルフェは『怠惰』を司るから少し居心地が悪かったのか、

リレーを1人ですると言い出した。

まぁ本人がやるというならやらせてあげようと思い私とベルフェ以外の6人は

応援席に移動する事になりました。

 

「ねぇ、クイナ姉……」

「どうしたのマモン?」

「ベルフェ姉、大丈夫なの?」

 

五女のマモンが私に聞いてきた。

まぁベルフェの事だし……

 

「私も大丈夫だと……思いたいわ、本人がやるって言ったわけだし」

「だよねぇ……」

 

ベルフェ1人で私達8人分を走るのは流石にキツイと思うんだけど……

でもペース配分を考えたり、最初に走る相手次第によっては勝てるかも……

 

「あ。白組は穹様が最初なのね。ベルフェ姉ほんとに大丈夫かな……」

 

マモンがそう言ったのでスタート地点を確認すると、

けだるげな表情をしているマスターの姿が♪

ちょっとベルフェ?、なんで頬を赤らめてるのかしら?

 

「ベルフェ!!!、今すぐマスターの隣を私に変わりなさい!!!、今すぐ!!!」

「「「「「「「えええ!??」」」」」」」

「…クイナ、少し黙って」

「はぁ~い♡」

「「「「「「「えええ!??」」」」」」」

 

『嫉妬』と『強欲』が爆発する私。

でもマスターに黙れって言われたので素直に従う事にしました♪

リレーの結果ですか?

言わずもがなマスター達、白組が勝ちました。

後でベルフェに謝らないと……

 

「あーもーベルフェ姉、何やってんのよ!負けるとかありえない!!」

「うる…さ…ひとりでリレーは無理…だ…ッ」

 

マモンに怒られながらも息切れしながら律儀に答えるベルフェ。

次の競技は確か綱引き?

えっ……リレーをやった後に綱引きとか何の虐めなんですか?

 

「この強欲のマモン!どんな勝負でも勝利をモノにしないと嫌なの!!」

 

マモンは『強欲』を司るから勝負事とかには強い執着を持つ。

『強欲』にはいくつか種類があるんです。

例えば『独占欲』、『知識欲』とかですね。

私の場合は『性欲』も含まれてますが……キャッ♡

コホン!、説明に戻りますね?

数日とはいえ分かった事があります。

こう見えてマモンは主の為なら頑張る凄い努力家なんです♪

 

「見てなさいよ!次は気持ちさえあれば私1人でも勝てるってところ見せてあげるわ!」

 

言ってる事はカッコいいけど、

なんかベルフェと同じ事になってる気がするのは私だけでしょうか?

とりあえず綱引きはマモンが1人で出る事になりました。

 

「…クイナ、さっきからいいの?これ……」

「マスター遠慮なくやっちゃってください♪、マモンなら大丈夫ですから♪」

「クイナ姉!?」

 

結果はマモンの頑張りのあって両者引き分けになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…はぁ、僕もう疲れたよ。

さっきの綱引きだって無駄に体力を使ったし。

 

「たまには体を動かすのも悪くないよね~♪」

「そうねー、ちょっと汗をかくのはウザいけど」

 

そう思ってるのは羅奈とラムダだけでしょ……

 

「僕もう疲れた……」

「私も疲れたわ……」

 

奇遇にもベルンも僕と同じく疲れているようだった。

 

「だいたいワイン片手に高みの見物が何より好きな私が運動会なんかに参加する時点で間違ってたのよ……自分で言うのもなんだけど体力あるほうじゃないし……」

 

いつにも増してイライラしてるベルン。

僕だって同じだ。誰とは言わないがバカの相手をしてたせいもあって

ストレスが溜まっていたからだ。

そしてついに……

 

「「あー疲れた帰りたい帰りたい、帰って梅干し紅茶飲みたい……それでまったりタ●リ倶楽部観たい…疲れた休みたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい……むぐ」」

「うー……」

 

それ以上の事を言おうとしたらラムダと羅奈、クイナに口を抑えられた。

 

「はいはい疲れてイライラしてるからって小さい子供を泣かせないの~」

「穹もマリアちゃんを泣かせちゃダメでしょ……」

「マスター、ストレスを溜めて他人に当たるのはよくないですよ?」

 

あっ、よく見たら確かにマリアが泣いてたよ……

流石に9歳児を泣かしてしまった事に罪悪感を感じた。

反省、反省……

 

「はっ、いつの間にかスコアボードが!!」

「この点差ぁ?やる気あんのぉ~?」

 

今はスコアボードなんてどうだっていいんだよ……

 

「妾の家具なのに情けない…仕方がない!こうなったら妾も参加しようぞ!!」

 

急遽ベアトが参戦する事になった。

赤組に入るのかなと思いきや白組に入ってきた。

ルシファーが理由を聞くと最近、戦人のほうにいる方がしっくりくるという

遠回しに酷い理由だった……

ベアト達が戦人達と話してる間に僕はベルンのところに行き……

 

「ベルン、一緒にサボ……休まない?」

「うん…私もサボ……穹と休みたい」

 

代わりに誰を入れとこうかな?

あ、司会をやってるワルギリアがいるじゃん。

ワルギリアに相談したところ快く引き受けてくれた。

代わりに僕とベルンの2人で司会をやってくれと頼まれたけどね……

 

「「え~それではプログラム8番、玉転がし」」

「ってオイ!?」

 

競技のお知らせをしていたら戦人とマリアがやって来た。

 

「2人で何ちゃっかり休んでんだよ」

「うー」

「いいじゃない少しくらい。ねぇ穹?」

「そうだよ戦人、代わりにワルギリアを入れたから問題ないと僕は思うんだ……」

 

向こうの方ではワルギリアが体操着のサイズが小さくないかと

ラムダとベアトに文句を言ってるのが聞こえた。

いやー賑やかでいいねー……

 

「いや、みんなで力を合わせるのが大事だろ!?なのに2人で途中で抜けるとか……」

 

…だから同じ事を言わせないでよ。

 

「「チッ…だから疲れたから休みたいって言ってんだろうがァ……」」

「………!!」

「休んでていいから真里亞の前でその顔やめろー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな感じで競技が始まった……

 

「ねぇ、穹……」

 

戦人達が玉転がしをやってるなか、

ベルンが話しかけてきた。

 

「…どうしたの?」

「私、少し疲れたから寝ててもいい?」

 

別に断る理由もない。

なので……

 

「うん。いいよ」

 

そう言うと彼女は僕の肩に寄り添い始めた。

しかも腕まで組んでくるというおまけ付き。

 

「…寝ずらくない?」

「平気、こっちの方が私は安心できるから……」

 

僕は抱き枕かと思いつつ、

横目で見るとベルンは綺麗に寝息を立てていた。

よっぽど疲れたんだろう……

 

(次の競技は騎馬戦だったなぁ……どうやってお知らせしようかな?)

 

隣で寝ているベルンを起こさないように気をつけながら、

次の競技の事について考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………穹………………………き……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
こんな調子ですが次回もよろしくお願いします。

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