東方鬼人伝   作:ヴェルディ

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どうもヴェルディです!
毎回書いてる度にこうしたら面白いかなぁとかこうしたら読みやすいかなぁとか考えながら書くのが楽しくなってきました。
今後楽しみなのはエッt……色恋沙汰を書くことですかね
だいぶ先になりそうですけどw


第一章〜授かった力〜
〜勝つ力と守る力〜


第3話

 

 

翠「博麗…神社…?」

 

突然萃香から一緒に行くと言われた神社。

聞いたこともない神社だ。

どうやら幻想郷と外の世界を隔てる結界の中心部みたいなところらしく。

外から来た人は取り敢えず博麗神社に行くそうだ。

 

萃香「ほら、行くぞ!」

 

翠「こんな夜更けなのに大丈夫なのか?」

 

萃香「ん〜、まぁ霊夢の事だし大丈夫だろう!

それに歩いて行くからつく頃には朝だろうしな」

 

ん?てことは夜通し歩くってことか?

歩くのは好きだからいいとして夜通し?

体力が持つかなぁ…

 

そんな事を考えながら俺は腰を上げて萃香について行った。

歩いている途中、黙りっぱなしってのも詰まらないので幻想郷についていろいろと聞いてみた。

人里がある事。

紅魔館という屋敷があること。

命蓮寺という寺がある事。

香霖堂という外の物が売っている店があること。

様々な妖怪、幽霊、人がいる事。

聞けば聞くほど幻想郷の社会は割としっかりしていた。

そもそも種族が違うのに情報を交換しあったり

新聞があったり

事件が起きればそれを解決する人がいたり

 

翠「結構しっかりしてるんだなぁ…」

 

萃香「だろぅ?昔はこうじゃなかったんだけどね

そこの博麗神社の現巫女、霊夢のおかげさ!」

 

どうやらその霊夢という人物は今の幻想郷のシステムを作り上げ

妖怪と人間とを和解させた

とにかく凄い人物だそうだ

 

翠「なぁ、その霊夢って人も強いのか?」

 

萃香が余りにも褒めるものだから気になってつい聞いてしまった

 

萃香「霊夢か?そりゃもう強いぞ

ただあたしや妖怪みたいに単純な力が強いんじゃない

あれは…守る力だよ

力無き者が、それでも護りたいと想う者が

編み出した本当の強さ

そうあたしは思ってるよ」

 

守る力…本当の強さ。

その響きに心を惹かれた。

すこし湿っぽい話になって話題がなくなってしまった

何か話さないと…

 

翠「そ、そういえばさ」

 

萃香「ん、なんだい?」

 

翠「幻想郷の人の中には能力…?

を持ってる奴がいるって言ってたけど、萃香もなのか?」

 

能力持ち、男子なら憧れる。

なによりカッコイイ

自分だけの特別な能力

何度妄想の中で描いていたことか

 

萃香「もちろんあるよ

あたしは「密と疎を操る程度の能力」

ってのをもってるよ!」

 

翠「密と疎?」

 

萃香「まぁ言っても分からない

ほら!」

 

そう言うと萃香が隣から消えた

と思ったら目の前にいた。

余りに突然の事で尻餅をついて驚いてしまった。

 

翠「うおっ!?」

 

萃香「あははっ!大丈夫かい?

驚かせてすまないね

簡単に言うと質量を操れるのさ

極限まで少なくして霧状になったり小さくなったり

逆に大きくして巨大化したり

そんな能力さ」

 

そんな能力って…程度で済むものなのか?

しかしすごい能力だ。霧状って物理攻撃無効じゃないか。

 

萃香「ほらっ、手貸すよ」

 

萃香が俺を起こそうと手を貸してくれた

その時、

萃香の後ろから何かがやってきた

暗がりで見えにくい上

音もなく、とても速く迫ってくる

明らかに人の形をしていないし

殺気を感じる。

萃香を見ると俺を起こそうと気付いていない

 

 

…守らなきゃ…

 

あってまだ少ししか立ってないけど

 

…守らなきゃ…

 

萃香が鬼でどんなに強くても

 

…守らなきゃ…

 

初めて、手を差し伸べてやると言ってくれた人だから

 

…守らなきゃ…

 

俺は強くないけれど

 

……守らなきゃ!

 

翠「萃香!危ない!」

 

俺は萃香の手を掴み

もう片方の手で勢いよく体を起こした。

萃香の手を掴んだまま手を横に振り

萃香を横に飛ばした

次の瞬間

音もなく向かってきた何かが

俺に勢いよくぶつかり、大木に押し付けた。

 

翠「…っ!」

 

萃香「翠!」

 

余りに一瞬の出来事で痛みは無かった。

俺は自分の体を見ると

角のようなものが右胸を貫き

下半身が喰われていた。

 

萃香「なんで!言っただろう!あたしは鬼で強いんだって!」

 

徐々に痛みを感じはじめ

出血も多く、意識が薄れ始めた。

残った力を振り絞り、萃香の方を見て

なるべく笑顔で答えた

 

翠「…ったから…

初めて…手を差し伸べてやるって言ってくれたから…

二年前に友人が死んで…

先月、育ての親が死んで…

その後も俺のせいなのか…多くの人が死んで…」

 

カスカスの声を振り絞りながら喋っているなか

何かは俺の体を喰い続けてる

萃香は…額から汗を流し焦っているようだ

 

翠「もう…俺の周りで人が死ぬのは嫌なんだ

思い出や…恩があるやつは尚更な…

最後に…誰かを守る事が出来て

よかった…よ」

 

もう意識を保つのが限界だ

血はダラダラと流れ

もうすぐ下半身も噛みちぎられる

俺もここまでかと思ったとき

急に何かが咬むのを止めた

隣には萃香がいて両手で何かの口を広げていた

 

萃香「まさか鬼が人間に助けられるなんてね

言っただろう?手を差し伸べてやるって

翠の事…気に入ったよ!」

 

萃香が何かの口を勢いよく大きく広げると

俺の体をが一瞬浮いた。

何かの牙が外れたのだ。

その刹那、萃香が蹴り上げた

その小さく華奢な体からは想像出来ないほど

重い音がし、何かの顎が吹き飛んだ

そのまま体を捻りもうひと蹴り

何かは粉微塵になった

そのまま萃香は落ちる俺を受け止めた

俺の体から牙が外れ、落ちるまでの間に

これだけの動きをしたのだ

 

萃香「大丈夫かい…」

 

萃香はなるべく表情には出さないようにしているが

心配している様子がわかる

俺を抱えている手が震えている

幸いまだ意識はある

 

翠「へへっ……なんとかまだ生きてるよ…

もうダメそうだけどな…」

 

萃香「全く…無茶するよ

鬼を助ける人間なんて聞いたことがないよ」

 

翠「鬼も何も…関係ないさ…

森で倒れてた俺を助けて…

飯も…くれた…それだけで十分だ…」

 

流石に意識が遠のいてきた

呼吸をする、目を開けている事さえ

疲れてきた

こっちに来て短いけど

生まれて初めて

本当に守ることができた

 

翠「……守る事に…強さはいらないんだな…

 

そこで俺の意識は途絶えた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翠「萃香!危ない!」

 

 

…初めて人に助けられた

人に忌み嫌われ、妖怪からも恐れられ

妖怪と人とが和解した今こそ

嫌われる事は亡くなったものの

 

助けられたなんてことはない

 

ずっと独りだった

強いから大丈夫だと思われていた

あたしも自分の強さに酔っていた

 

萃香「鬼も何も関係ない…か」

 

あたしは不思議な感情を抱いていた

手を差し伸べてやる

鬼は嘘はつかない

けどそれとは別に……

たとえそう言っていなかったとしても

助けたい。そう思っていた

 

萃香「はぁ…仕方ないねぇ」

 

あたしは近くに落ちていた何かの牙を拾い上げた

なるべく傷口に泥が入らないよう

翠を下ろし、拾った牙を

あたしは掌に刺し、血を流した

その血を傷口に流し込み

あたしの血を分け与えた

あたしは翠を抱きかかえ

博麗神社へと向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

暖かい

ただその感覚だけが体を包んでいた

体は動かない

今度こそ本当に死んだんだなと思った

けど何処からか声が聞こえる

 

……ーい

 

ぉーい……

 

…………おーい!

 

うっすらと輪郭が見えてくる

だんだんと意識がしっかりしてきて

視界がはっきりとする

 

翠「……あれ、萃香……

俺って死んだはずじゃ…」

 

目の前には萃香がいた

俺が声を出すと途端に笑顔になって

 

萃香「お、やっと起きたか

まだ生きてるよ」

 

体を起こそうとすると激痛が走った

 

翠「い"っ!」

 

萃香「あぁ!まだ起きるんじゃないよ

怪我は治ってないんだから!」

 

体を見ると包帯が巻かれていた

噛みちぎられたと思っていた足は

まだ繋がっていて

貫かれたはずの右胸も何故か塞がっている

 

翠「ここは一体…俺は何でまだ生きてる?」

 

あたりを見回した所

和室にタンスや机が置いてある一部屋で寝ていたようだ

 

萃香「ここが博麗神社だよ

で、なんで生きてるかは…」

 

???「それは私から説明させてもわうわよ」

 

突然襖の向こうから声が聞こえてきた

麩が開き、声の主が現れる

 

紅白の衣装を身にまとい

頭には赤いリボン

お下げにも赤い筒(?)のようなものが二つあっり

茶髪でロングの少女だった

 

霊夢「初めまして。私は博麗 霊夢。霊夢でいいわ

萃香から話は聞いているわよね」

 

翠「進来 翠だ。翠でいい」

 

霊夢「そう翠。で、貴方が生き延びてる理由だけど

萃香に感謝しておく事ね

面倒な事にはなったけ

あなたの命を助けた事に変わりはないわ」

 

萃香があの怪我を?どうやって?

 

霊夢「今の貴方には萃香の血が流れているのよ

所謂鬼の力ってやつね

それに伴い、貴方には鬼力(きりょく)が備わった

その鬼力のおかげで再生能力が劇的に上がったのよ」

 

翠「そう…なのか?萃香」

 

萃香「へへっ…まぁね」

 

萃香はすこし照れくさそうに

でも内心は嬉しそうに微笑んだ

よく見ると手には包帯が巻かれていた

きっとそこに傷を作って血を流したんだろう

 

萃香「でだ霊夢

翠の世話なんだが…」

 

そうだ、俺はこれからどうすりゃいい

でもきっと霊夢の事だ

真面目そうだし優しそうだし

居候させてくれるに違いない

うんうんそうだ

 

霊夢「嫌よ面倒臭い

目が覚めて動けるようになったら

出てってもらうわよ

食費がかさむ」

 

前言撤回

かなりのめんどくさがりだ

食費がかさむ?食費がかさむって言ったか!?

 

霊夢「だいたいね萃香!

あんたのせいで外に返す事も出来ないのよ!」

 

萃香「えぇー!ケチんぼ!」

 

ん?外に返せない?

帰れないってことか?

それはそれでもいいんだが何故だ?

 

翠「えっ、何で?」

 

そう聞くと霊夢がため息をついて答えた

 

霊夢「翠、貴方に鬼の力が混じった所までは話したわね

萃香が貴方に血を分けたことで

貴方も厳密には人じゃなくなったのよ

さしずめ半人半鬼(はんじんはんき)ってところね

そんな人じゃない人を外に出せると思う?」

 

それを聞いた俺は驚いた

半分人間で半分鬼らしい

その後霊夢から傷口を見てみろ

と言われたので見てみると

さっきまで激痛が走っていたのに

もう何ともない。傷跡こそあるものの

完治している

 

翠「治…ってる…すげぇ…」

 

傷は完全に治り

もう動いても不自由ない

 

萃香「おっ!治ってる!良かったぁ…」

 

元気になった俺を見て萃香は安堵していた

どうやら結構心配してくれたらしい

そこまで気にかけてもらえると何だか照れてくる

 

霊夢「さ!動けるなら出てってよね!

こっちも忙しいんだから!」

 

そう言いながらも出ていく前に

ご飯を用意してくれていた

やっぱり霊夢は優しい人のようだ

 

……

 

ご飯も食べ終わり

出ていく支度を整えていた時

萃香が話しかけてきた

 

萃香「なぁ翠」

 

翠「ん?なんだ?」

 

萃香「翠は鬼も何も関係ない

って言ったよな

それは…その

これからも仲良くしてくれるってことか?」

 

萃香は少し不安そうに聞いてきた

ずっと独りで嫌われてきたからだろう

それは俺も同じだった

 

翠「もちろんだよ

萃香は俺を助けてくれたんだ

自分の体を使ってまでな

俺ももっと仲良くなりたいって思ってるよ!」

 

そう言うと萃香は嬉しそうに笑った

そして俺に手を出してきた

 

萃香「な、なら握手してくれるか?

大丈夫だ、力加減は出来ると思う」

 

昔の事もあるのか少し震えていた

だけど俺はその手をしっかりと

握って握手した

感謝の気持ちも込めて

 

翠「よろしくな、萃香!」

 

彼女は満面の笑みで

力強く握り返してきた

その力は確かに鬼の力がだったが

その手はとても優しく暖かいものだった

 

 

 

 

外に出ると境内と鳥居が見えた

鳥居まで歩き、神社を出ようとすると

霊夢が声をかけて止めてきた

 

霊夢「そういえば一つ言い忘れていたわ

翠が半人半鬼になったことで

貴方にも能力が備わったのよ」

 

翠「能力…?」

 

それは嬉しい事だった

能力!ついに俺にも!

高鳴る気持ちを抑え

霊夢にどんな能力か聞いた

 

霊夢「えぇ、輸血元が萃香だから

似通った能力よ

さしずめ……」

 

 

「密とを操る程度の能力」




第3話!
話がポンポン思いついてストーリーがおかしくなってないか
後半ネタ切れするんじゃないか
そんな不安でいっぱいです汗
遂に翠にも能力が来ましたね
密を操るとな
果たしてどう扱っていくのか!
それではまた!

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