成層破戒録カイジ   作:URIERU

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デュノアが周囲から見たらどうかっていうことに関して
周囲から見たらデュノアは男だったわけだから、初めは男として馬の合う一夏と仲良くしていただけで、女性になったらカイジが良くなったんやなtって、うん、そういうことにしておこう。


カイジ、隠影……!

浜辺へと出てきたカイジ……そこではクラスメイト達がわいわいと遊んでいる……

空いているビーチパラソルを探すために辺りを見回し……

周囲に人も少ない静かな場所へと向かうのであった……

 

「(それにしても、入学当初も感じてたっけ……こんなキャピキャピとした空気……違和感……俺に合ってねぇ……この手袋の下……お日様に晒せない傷跡……居場所が違う……そういう感覚……しかし、それが悪くないとも思えている……か)」

 

カイジはビーチパラソルの下……騒がしい空気にうっとうしさを感じながら……

のんびりと時を過ごしていた……

 

「お~、かーくんも来たんだね~。部屋に閉じこもるかと思ってたけど」

 

「その恰好は……一体なんなんだ……?」

 

突如としてかけられた声に首を向けると……そこには着ぐるみ……かの、電気ネズミ……

 

「特注の水着だよ~!キャストオフもできるけどね~」

 

「へ、へぇ~……ずいぶん特殊なご趣味なこって……まぁ俺の事は放っておいて……遊びに行けよ……時間は有限だ……」

 

「う~ん、海には入れなくても浜辺で遊ぶくらいはできるでしょ?のんびりするのに飽きたら一緒に遊ぼ!じゃあね~」

 

そう言いふら……ふら……っと女友達のいる場所へ帰っていく布仏であった……!

 

「(やっと行ったか……それにしてもおせぇな……人を呼んでおいていつまで待たせるんだか……ん?海に入れないの言ったっけ、か……?)」

 

布仏ものんびりとしているように見えて……カイジが手袋をどんな時でも……

外さないのは当然見ている……故に海に入りたがらないことも看破……!

 

「お待たせしましたわ、カイジさん」

 

「ん、あぁ……いいってこと……存外浜辺も日当たり……風通しが良くて悪くはない……」

 

「それで、おほん。ど、どうかしら、わたくしの水着姿は……」

 

不自然な咳払い……そして尋ねる……求めている、感想を……カイジから……!

 

「(もう、試着したところ、見てるし……いまさら何を言えっていうんだよ……)いいんじゃ、ないか……試着室で見たときより……いいと思うぞ」

 

女心など露とも分からぬカイジ……クズみたいな回答である……

 

「カイジさんに気の利いたお言葉は求めておりませんけれど……まぁ、褒められただけでもよしとしますわ。次はもうすこし、女心を学んでくださいましね」

 

不満げに言いつつも、満更でもない笑みを浮かべるチョロリア……!

 

「僕たちはどうかな?って、ラウラ。僕の後ろに隠れてちゃ見えないよ?」

 

「いや、しかし、やっぱり恥ずかしい……」

 

次に現れたのはデュノア、ラウラのペア……!しかし、ラウラはデュノアの背に隠れている……!

 

「なんていうか、イメージカラー……セシリアの水着を見たときも思ったけど……ISとおんなじカラーリングなんだな……!そういうの、分かりやすくていいと思うぜ……!」

 

カイジの率直な感想……セシリアはブルーの青色の水着……

デュノアは橙色……ラウラは黒色……それぞれのイメージカラー……

 

「カイジ君の感想にちょっとでも期待した僕が馬鹿みたいだ……」

 

「師匠……この私でも今の回答が駄目駄目なことは分かるぞ!」

 

恥ずかしがることはやめ……背から出てくるラウラ……!

最早まともな返答を期待するべくもなく……諦めたのである……

 

「いやいや、筋違い……勝手に期待して、期待外れなんて……そりゃねーって……織斑にでも頼めよ……そんなことは……」

 

「それでは意味がないのですわ」「そういうことじゃないんだよ」「師匠……」

 

三者三様呆れた声……謀略、知略に長けても女の扱いは知らぬカイジ……!

 

「さて、カイジさん。すこしお頼みしたいことがあるのですが」

 

「……なんだ?」

 

「これ、塗っていただけませんこと?」

 

セシリアの手には日焼け止め……女性の必需品……夏の日差しは容赦なく肌を痛める……

若いうちに気を使っておかなければ……歳をとって一気に老け込み……肌荒れ必至……!

 

「なんだ、そりゃ……」

 

が、カイジに分かるわけもなく……首をかしげて不審そうに小瓶を眺めていた……

 

「もう、海と言ったら日焼け止めは定番ですわ!どうしても一人では塗り切れないんですの、そこを塗っていただけるだけでも」

 

「(あぁ、そういうこと……手袋越しで塗るってのはなぁ……右手一本で塗る、か……?いや、だめだ……どうあがいても、俺の体は……まだ、血のマニキュア……その一部は残ってる……こいつらの目に晒していいもんじゃねぇし……こんな手でセシリアの事を触りたくもない……いや、触るべきではない……やはり、ここは……俺の居場所では……)すまないな、デュノアにでも頼んでくれ……俺はちょっと風にあたって来る……」

 

カイジにとって、この手は血に塗れているもの……

消せない傷を負い、一般人には見せるべくもない手……

その手で彼女たちに触れることを忌避するカイジであった……

 

「あ、カ、カイジさん?」

 

有無を言わさず……背を向けてふらふらと離れていくカイジ……!

 

「どうやら師匠にはどうしても手袋を外したくない理由があるようだな」

 

「わ、わたくし、やらかしてしまいましたわ。カイジさんが手袋を外さないようにしていることなど分かっておりましたのに……」

 

うなだれるセシリア……せっかくの夏……一面の青い海……

まだ若い彼女が……浮かれてしまって……いつもならしないこと……!

気遣いを忘れてしまうこと……それを誰が責められようか……!

 

「ほら、セシリア。カイジ君のこと追わないと!」

 

「しかし、わたくしにはその資格は……」

 

「師匠から教わったぞ、人の大事なことは謝罪をすることだ!と。ここで自責の念に駆られていても意味がない。師匠を追って、謝って、許されて、それで解決だ!」

 

生きる、カイジの教え……!人と人が和解するためには……ただ反省するだけでは駄目……

反省して、かつ、必要となる……謝罪が……誠意を込めて……!

 

「そ、そうですわね。みなさん、ちょっと失礼しますわ」

 

「あ、肩掛け持って行ってセシリア。さすがに水着のままで飛び出すのはちょっと……」

 

どんな時でも的確にフォローを忘れない……そんなデュノアであった……!

 




主人公がはしゃげない海とか何書けばいいんですか……

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