成層破戒録カイジ   作:URIERU

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カイジ、交友……!

週末……セシリア、カイジお買い物……!デート……羨ましい……!

しかし、カイジ……いつもの緑のシャツに黒ジャンパー……おしゃれっ気ゼロ……!

比べてセシリア……白いワンピースに薄手のピンクのフリース……

日除けに青いリボンのついた帽子……オシャレ……清涼感あふれる美少女……!

道行く人が不審がる……並んで歩く姿に疑問……!

 

「もうカイジさんたら、淑女を待たせるなんて紳士の風上にも置けませんわよ」

 

レゾナンスへ最寄駅から歩いて向かう二人……ぷん……ぷん……と怒るセシリア……!

 

「いや……俺、紳士って柄じゃないし……それに、ちゃんと5分前……5分前行動……時間は守ってる……!」

 

カイジは本来なら遅刻していたはずだが……それを許さないのが同室者、布仏……

休日はお互い惰眠を貪り……朝遅く起きるのが通例……

布仏は眠りながらも……カイジのベッドにフォークを突き刺していたという……

 

「紳士でなくても、男性ならば女性を待たせないよう、30分は前についておくべきですわ。わたくしですら15分前には来ていますのに!すっぽかされたかと心配しましたわ」

 

セシリアも相手に要求するだけのことはあり……時間ぴったりではなく……

自身もちゃんと早めにつく……そういった行動は心がけていた……

 

「約束は守る……ほら、もう行こうぜ……今更言っても仕方ないだろ……」

 

「もう仕方ありませんわね……今日は臨海学校のために色々買って回りますわよ」

 

今日の買い物……それは臨海学校に向けた準備のため……

主目的は水着……カイジに選んでもらうため約束を取り付けたのだ……

 

「……あ?臨海学校……?なにそれ……」

 

「まぁ、把握されてないんですの!?」

 

当然驚くセシリア……学生ならば皆楽しみにするはずの泊りがけの旅行……

 

「(ISバトルは存外楽しめる……金は賭けていなくてもそれはそれ……自身の命のこともあるが……純粋に勝負事は楽しい……そして勝負事以外、特に興味が沸かない……)悪いな、忙しかったんだ……で、なにすんの……?」

 

「校外実習のようなもので、企業などの各種装備のテストを領海内で行うのですわ。自由行動日もありますから、その時は自由に遊べますわよ」

 

「(自由にっつっても、臨海学校……ていうことは海だろ……俺にとっては完全に鬼門……抜け出して競馬場にでも潜り込むか……監視が厳しいよなぁ……)そうなの……それにしても学生がやることかね……装備のテストなんて……」

 

競馬場に潜り込む……そもそもまだ未成年だぞカイジ……!

 

「将来的にはIS関連の仕事に進むことになりますから、そのことを考えたら悪くはない経験だとは思いますわよ」

 

「ふーん、そういうこと……まぁ使えそうな装備の発見には……なるかもな」

 

「そうですわね、カイジさんは色々と奇策を思いつかれますから。とはいえ、専用機の武装もあるわけですから、難しいこともあるでしょうけれど」

 

「(装備は取り回しに難はあるが、AICにも有効で俺のAFCにも干渉しにくいのが一本、あとは腕部の砲、あれはモーションがでかいんだよな……凰の衝撃砲に近いものがあるが、丸わかりっていうか……AFCの直接攻撃使用は……俺の集中力では……厳しい……)まぁ、拡張領域に二本くらいは、後付装備できるから……自分の弱点を補ったり……策に使えるものを探すくらいか……」

 

現状の自身の専用機……後付け装備なしでは決めてに欠ける状態である……

 

「いつか、模擬戦をしてみたいですわ。来週にどこか都合があれば、してみませんこと?」

 

「(AFCはレーザーには、弱いんだよなぁ……あと遠距離機にも……)そうだな、俺も早めに……専用機の動きに慣れる必要がある……!」

 

特殊兵装AFC……AICと同じくエネルギー兵器には弱い……

実体弾相手には特異な使い方ができるのだが……

 

「約束ですわよ。さて、着きましたわ!」

 

「(水着売り場……考える限り最悪のパターン……)あ、あぁ……女性物の売り場に入るのはまずいから……外で待ってるよ……」

 

「あら、なんでついて来てもらったと思っているんですの?選んでもらうためですわよ?」

 

当然、カイジが外で待つことなど許さないセシリア……

女性がわざわざ買い物に誘い出し、水着売り場へ来た……

となれば当然、求められる……意見……評価……判定……!

 

「(無茶を言うな……俺の私服を見ろ……センスなんてない……!しかも、女性物の水着……無理……無縁……俺には……)いや、いいのを選んでやれる自信ないし……恥をかくぞ……」

 

「カイジさんが、いいと思ったものを言ってくれたら良いのですわ。でも、適当に返事するのは許しませんわよ」

 

「……分かったよ……セシリアには射撃訓練で世話になってる……ちゃんとするって……」

 

「……いまはそういうことで構いませんわ」

 

セシリアとしては当然納得がいかない返答……しかしこれはいつものこと……

今ここで強くいったところで変わるものではない……諦めつつあるセシリアであった……

 

水着試着~感想シーンはカット……!挿絵もなしにそんなこと……狂気の沙汰!……

というか描写能力がない……!童貞丸出しの水着の如く……構造など知らない……!

 

そして幾着目かの試着を終えたところで……カイジ、当然疲労……

 

「疲れた……一体何着目なんだ……ちょっと休憩……後で再開……!」

 

そう言い、ささっと逃げていくカイジ……だが、しかし……捕まる……!

 

「ちょっとそこのあなた」

 

「……あ?」

 

「男のあなたに言ってるのよ。そこの水着、片付けておいて」

 

声をかけてきたのは見ず知らずの女……初対面……!女尊男卑の風潮が作り出した象徴……!

 

「……分かった、片づけとくから……とっとと行きなよ……」

 

「ふん、自分の立場分かってるじゃない」

 

そう言いながらも、どこか不満げな女……しかし、相手が従った以上立ち去るしかなかった……!

その場面を影から見つめるセシリア……安易に出ていっていいものか……悩んでいた……

 

「どうして、何も言わず従われましたの……?」

 

「みっともない、って思うか……?」

 

「いえ、そういう訳ではありませんが、不思議に思えまして」

 

カイジのこと、考えがあってのことだと思うも……どこか解せない表情のオルコット……

 

「波風立てない……そういうやり方……それに、見てろ……あれを……」

 

水着を片付け終えたカイジ……女性の立ち去った方に目を向ける……

どこかイラついた表情で歩く先……そこにはトレーに食事を載せて歩く男性店員……

その店員へとぶつかる女……明らかに自身からぶつかっていった……それは明白である……!

 

「自分から、ぶつかっていきましたわね」

 

「明らかに、そういう輩……逆らえばどうなるか分かったもんじゃない……セシリアが出てきてくれれば……俺は反抗してても……恐らく無事……安泰……でもそれは、なんていうか卑怯……自分が助かる……そういう前提での行動……虚勢……俺は一人の時と……同じ行動を取った……それだけ……」

 

ぶつかられた男性店員はひたすら謝っている……店員であることを考えれば……

誰しもがそうするところではあるが……どうみても理不尽な状況であった……!

聞こえてくる言葉からは……弁償やクリーニング代など……

自分の非は一切認めぬ……厚顔無恥な行動と言えた……!

 

「……情けない世の中ですわ……っと、あの男性を助けに行かなくてはなりませんわね」

 

「(あいつ、よく見たら三好じゃねぇか……こんところでなにやって……って、バイトか……運がないっていうか、なんていうか……)先に俺が、行く……あいつ、顔見知り……あとから、出てきてくれ……!」

 

「……?分かりましたわ」

 

セシリアをその場に残し、カイジは騒動の場へ近づく……

尚も謝り続けている三好……縮こまり哀愁を漂わせる姿となっていた……

 

「なぁ、ちょっといいか……?最初から見てたけど、ぶつかっていったのはあんた……思いっきり真横からタックルするみたいに……店員なら周囲を見て歩く……それは必要かもしれないけど……流石に理不尽……今さっきのは……!」

 

「カ、カイジさん……!?」

 

声をかけてきた相手を確認し……つい名前を呼んでしまう三好……!

 

「(やっぱり……これだから……ったく……)馬鹿、三好……!」

 

「な、なによあんた……さっきの男じゃない、今度は逆らうっていうの!?ていうか知り合い?だから庇ってるんでしょ、あることないこといって。身の程をわきまえなさいよ!警備員を呼ぶわよ!」

 

「(やっぱり、こうなったか……セシリア、来てくれ)」

 

当然、こうなる……相手が知り合いなら……庇っていると難癖をつける……

カイジは女に見えないよう手招きをする……やはり一人では土台無理……

 

「あの、よろしいかしら?」

 

そう女性に声をかけるセシリア……完全に初対面を装う……

 

「あら、あなたも見てたんでしょう?この男たちが私を嵌めようとしていたのを!証言に協力して頂戴」

 

三好からは絶望の光景……セシリアも女尊男卑は捨てたとはいえ……

ある種高飛車な……お嬢様然とした風貌は変わらない……

この場で現れて自分たちの味方なわけがないのである……!

一方女は我が意を得たり……水を得た魚……といった様相である……!

 

「少し恥を知るべきですわね。最初から見ておりましたが、あなたの非は明らかでしてよ。衝突事にどっちか一方だけが悪いということもないですけれど、あなたのほうに非はありましてよ」

 

「な、なんですって?」

 

援軍……しかし誤射……いや、偽……援軍と見せかけ……実は敵……!

 

「警備員を呼ぶのならお好きにしてください。イギリス代表候補生、セシリア・オルコットとして、この男性を弁護致しますわ」

 

「っな、あなた、代表候補生なんて……なんでISを動かす女性が、こんな男の味方をするのよ!」

 

「逆にISを動かせそうにもないあなたが、そこまで男性に偉そうにしているのも滑稽ですわね。ISを動かしている女性がすべて女尊男卑などという、愚かな考えはお捨てなさいな。さぁ、どうされますの?」

 

これはどうにも不思議なことである……どうあがいても力そのもの……

訓練でもしていなければまずまず敵うべくもない……

しかし、制度に守られた彼女たちは……そんなことを意に介さなかった……

 

「わ、わかったわ。私が悪かったわよ。それじゃあね」

 

流石に相手が悪い……周囲の空気もセシリアが出てくるまでは……無関心……

触らぬ神にたたりなし……そういう様相だった……だが、それも変わりつつある……!

悔しそうにしながらも……早々に立ち去っていく女であった……!

 

「謝罪をし忘れてますけれど、そこまでしたらこじれますわね。ねぇ、カイジさん?」

 

本来ならあの女性にも必要……謝罪……だがあの手の女が頭を下げるなど……

そうそう容易いことではない……当然こじれることになるのだ……

 

「ありがとよ、セシリア……俺だけじゃ、やっぱりどうにもならなかったな……」

 

「か、カイジさん、これって……?」

 

「まぁ、助かったってこと……で、オルコットは俺の連れ……いや、逆か……?まぁいい……それにしても、お前……どんくさいっていうか……呼ぶなよ、俺の名前……!知らんぷり……初対面……!そういう体にすりゃ……もうちょっとましだったろうに……」

 

しかしこれは半ばカイジの予想通り……セシリアと一緒に行けば……

セシリアごと知り合い判定されかねない……

それでもセシリアがいれば問題は大きくならなかっただろうが……

 

「す、すいません、カイジさん……あ、あと、ありがとうございます」

 

「俺じゃねぇって……礼を言うべきなのは……こっちのオルコットにだ……!」

 

セシリアが一人の時にどうしていたか……それは神のみぞ知ることだが……

カイジがいなくてもこのように動いたことを望むところである……!

 

「あ、そ、そうでした。本当に今回はありがとうございました……あなたがいなかったら僕、どうなってたことか……!」

 

「構いませんことよ。あれも女性とISが作り出してしまったものですから。あなたもお気をつけになってくださいまし」

 

「て、天使……いや、女神……め、女神様だ……!」

 

「さすがにそれは持ちあげすぎて恥ずかしいですわ!もうよいですから、頭をお上げになってください」

 

今の世の中……あの状況で、救いの手……まず差し伸べられない……歪んでいる……!

そこに舞い降りれば……だれもが天使……女神に見える……!そんな世界……!

 

「は、はい。でも、ほんとうに、ありがとうございました。あのまま騒ぎになってたら首になってたかもしれませんから……」

 

「仕事、ちゃんと頑張ってるんだな……三好……!」

 

みんな三好並びに45組の面々の年齢……それはわざわざ聞かないで欲しい……

そんなところの設定など一々考えたくもないのだ……!

例え不自然でも受け入れてもらうしかないのである……!

 

「はい、あ、僕の働いてる店、すぐそこのフードコート……ピザとかイタリア料理扱ってる店なんですけど、良かったらぜひ寄って行ってください……!サービスしますから……!」

 

「あぁ、昼飯はそこで食べさせてもらう……もう行った方がいいぜ、三好……!」

 

「はい、待ってますから、必ず来てくださいね……!」

 

そう言い、三好は仕事場へ……後に残る二人……!

 

「こんな、当たり前……一昔前までは、あそこで誰かが救う……いや、そもそも、こんなこと……起こらなかったってのに……これが普通になっちまった……嫌な世の中だぜ……」

 

例えどのように不合理なことであっても……女性を相手にしていては自らも泥をかぶる……

リスクに対しての見返りは自らの心を満たすのみ……本来人助けとはそういうもの……

利を求めて行うものではない……故にそのリスクが高まれば……人は尻込みするものである……

そして特にそのリスク……それが自らの社会的地位を危機に晒しかねないのだから……

 

「全くですわね。それでは買い物の続き、水着はいいのが二つ見つかりましたから、決めていただけますこと?それが終わったら、先ほどの三好さんのお店でお昼にいたしましょうか」

 

「いや、休憩できてな……」

 

「……♪」

 

黙ったまま手を繋ぎ、引っ張っていくセシリア……カイジに抵抗するすべ無し……!

 




デートなのに全然いちゃいちゃしてない?カイジにとってはお買い物だから……

そういえば8巻に「私たちは何をしているんだ……。守るべき生徒達に戦わせて、私たちは……」とかいうセリフにさらには子供を戦場に立たせるなど、どんな事情であっても許されないとか書いてあったんご。君たちが福音戦でしたことを僕は忘れていないよ……!

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