師匠19票 カイジ7票 お兄ちゃん系6票 先輩4票 パパ3票 嫁2票 先生2票 旦那様1票
投票もすくなくなってきたので、師匠で決定いたします!
「これで、一件落着……したのか、伊藤……?」
流石に疲労困憊……頭を回す余裕もない千冬……普段は凛としている千冬も……
生徒の前でさえ……隠せない……疲れた様子を……!
「ひとまずのところ、はな……黒幕が誰かが分かっていない以上……解決とは言えないが……」
「それは、確かにそうだな……お前の言っていた国のリストだ……あくまで私の目を通しての、だがな……会議を録音することもできない……そして、その情報は……本当に危険なものになりかねない……国家間の陰謀を暴く恐れすらある……!」
千冬は、これを渡すことを当然躊躇っていた……パンドラの箱……!
「十分、それは理解している……!ラウラに降りかかる火の粉……奴に生き方、国を捨てさせた以上……アフターケア……しておく必要がある……!(ISという武器までは捨てさせられなかった……綺麗ごとでは通らないことが多すぎる……!代表候補生、専用機持ち……自衛手段……ドイツへの一応の所属……という形をとること……ラウラのあまりにも危険な立場……出生を守るためには最低限必要だった……!)」
「本当にありがとう……ラウラを救ってくれて……まさかここまでの事態に発展するとは、全く予想もつかなかった……この世界の人の在り方……その闇の深さに吐き気がしてくる……私にできることがあれば……何でも言ってくれ……力になろう……」
今回の事態は国家間の陰謀……真犯人は不明……しかし、確実にいる……!
VTシステムをラウラのISに仕込み……ドイツもろとも謀殺……
そうしようとした国家が……あのIS委員会代表国の内部に……!
「俺も、こんな大立ち回りをすることになるなんて……あの時、あんたを挑発してなかったら……考えたくもねぇな……」
「確実に最悪の事態……もうとっくに考え付いてるところに……落着していただろうな……何者かに巻き込まれたことすら分からず……謀殺されていたことだろう……さて、今日はもうゆっくり休め……お前の使っていた訓練機はこちらで返しておく……」
「……え?あぁ、そういえばすっかり忘れていたな……そんなこと……あれ、俺はいつ……打鉄を外したっけ……?」
アリーナから出て、今の今まで気の入りっぱなし……
いつ外したのかなど記憶になかった……しかし、思い出そうとしても……
カイジには打鉄を外した記憶が思い出せなかった……!
「……確かラウラを受け止めて、それから……私が近寄って行った時に……自分で解除していたはずだが……いや、待て……私も話の進め方がおかしかったな……そもそも訓練機は紛失、盗難予防のため……基本的に待機形態には移行できない……しかし、アリーナに打鉄を置き忘れ……これもまずない……」
打鉄が消えた……紛失……盗難……いや、そもそもがおかしい……
紛失のしようがないのだ……だが、カイジ気付く……腕に違和感……ないものがある……!
「(なんだ、この時計……いや、文字盤がない……時計ではない……?少なくとも俺はこんなもの……買った記憶もつけた記憶もない……)なんだ、これ……知らねーぞこんなもん……いつ、俺はつけたんだ……?」
「なんだと……?確かにお前がそのようなアクセサリーを……つけている姿など見たことはないが……まさか、いや……それがISの待機形態などということは……あるまいな……?」
「……いやいや、いくらなんでもねーだろ……それは、常識で考えて……」
そう言いさし、口を紡ぐカイジ……自分はいまさっき超常現象を経験……
ラウラの精神世界……常識で考えること……それはIS世界においては……
馬鹿馬鹿しい……この一言に尽きる……!
「こう、何もない所から打鉄を纏うような感じで……ISが展開できないか試してみろ……?」
千冬も半信半疑……言い切ることもできず……疑問形……!
なにがしかのバグで……訓練機の待機形態に移行……
その可能性を……一蹴することもできなかった……!
そもそも学園の訓練機……その待機形態は時計型ではないのだが……!
ひとまずカイジ、試す……!自らがISを纏っている姿を……想像……!
「まさか、どうなっている……?打鉄ではない、黒緑色のIS……?」
「(一体どういうことだ……?ラウラのVTシステムのようなものが積まれて……いや、そんなわけはないか……とにかく、何かこいつの情報を……)機体名は……シュワルツァールド……?分からねぇ……Schwarzwald……何か分かるか……?」
「Schwarzwald……シュヴァルツ・ヴァルト、ドイツ語で黒い森、と意味する……鬱蒼とした黒い森で、そう、その機体色のような……そんな感じの森だ……そういえば、VTシステムの泥は……跡形もなく消えていた……ラウラの機体に戻ったのかと思っていたが……まさか、お前の纏っていた打鉄に……?」
「吸収された、っていうのか……?だが、VTシステムそのものは……ラウラのISに確かにあった……まさか、この機体にもVTシステムがコピー……?」
「システムが勝手にコピーして移る……などとは考えにくいがな……単純にVTシステムによって形成された……あの泥だけが、吸収されたと見た方がいいだろう……いや、それだけでも……理解の範疇を超えているが……とりあえずそのISは預かる……調査しなければならない……!」
「それは、分かってる……なんか起こす前に解除……消すイメージ……だが、これの情報は俺にも知らせてくれよ……?流石に機密事項は通らないからな……?」
イメージ……自分の生身の姿……カイジ、ISを解除……!千冬へと手渡す……!
「分かっている……今更そんな言葉が通じるとは思っていない……というよりは、協力してもらうことになる公算が高い……私が、展開できない……!」
「は……?何言ってんの……?」
「一応起動と情報の確認だけはしようと思って……試しているが拒否……無反応なのだ……!」
「まさか、俺しか展開……できない訳……?たまたま、調子が悪いとかではなく……?」
千冬は無言で待機形態のISを渡す……カイジ、意図を察知……再度展開……解除……!
「私自身のIS適正が急になくなり……ISが纏えなくなった……という可能性もそれは零ではないが……ほかの人間にも試させる必要がある……なんという問題を起こしてくれたのだ……」
がっくりと……うなだれる千冬……学園の訓練機が……意味不明な変化を遂げたのだ……!
「俺だって泣きてぇよ……こんな訳の分からないことに……巻き込まれるとは……」
これからの事を考え……当然うなだれる二人……!
とても長い一日は……まだ終わりを告げない……!
翌日、放課後……千冬とカイジ……!
「ひとまず……学園の教員全員、起動は出来なかった……いわば、伊藤の完全専用機になった……とも言えるな……」
「……は?いやいや、それでも初期化とかできるだろ……?」
「それは、可能だ……だが、調べたところVTシステムの残滓などは……発見できなかった……少なくとも危険性はない……そして、性能は第三世代機で……特殊兵器とされるAFCというものもあるようだ……学園側は特異例としてデータ採取のため……この機体をお前の専用機にしたいと考えている……」
「(専用機を持てれば……自衛の手段にはなる……専用機を持っているがゆえに……狙われることもあるかもしれないが……元々男性操縦者として狙われてる……この際関係ない……!それに、こういうワンマンの機体……ある種貴重……俺の付加価値も上がり……研究所送りにはされにくくなる……!)分かった、やればいいんだろ……全く面倒ごとばかり……」
「(ちゃんと、自分に利があるということを……考えてから返答したな……抜け目の無さは……この状況でも変わらないか……普通なら専用機が与えられる……自分しか動かせない……正しく男のロマンのような……男の子というのはそういうものだと……そう思っていたが……やはり、こいつは……)すまんな、だがなまじメリットがない訳でもあるまい……」
「っは……なんのことだか……さっぱり分からねーな……!」
「そういうことにしておこう……とりあえず手続きを済ませるか……(しかし、シュヴァルツヴァルト、黒い森とはな……西欧民話ではたしか……盗賊から幽霊、魔物といった類のものが蠢き悪魔や魔女が住み着く……そんな異界として描かれていたな……魔窟とでもいうべき、そんな闇を抱え込んだ、いや具現化した機体というのか……?)」」
カイジ……ついに得る……第三世代型専用機……シュヴァルツ・ヴァルト……!