成層破戒録カイジ   作:URIERU

36 / 91
推理パート4


カイジ、謀殺……!

じり……じり……と皆が……動きを待つ……

一夏はデュノアに抑えられていたが……千冬が出てきてから諫められ……

様子を見守るようになっていた……しかし、その目に納得の色は見られない……!

そして、痺れを切らしたのか……一人の生徒が千冬へと話しかける……!

 

「織斑先生。早く、対処しなくてもよろしいんですか?」

 

「この件は……伊藤に任せている……いまはまだ、動くな……!」

 

千冬とて一刻も早い対処の必要性……そんなことは百も承知……!

しかし、カイジの立ち位置が危うい……!

ISを纏っているが……黒いISの目の前で手を当てたまま棒立ち……!

 

「お言葉ですが、一生徒に任せる状況ですか?私、ならいざ知らず、それも貴重な男子生徒に」

 

VTシステム……IS世界における闇の一つとも言える存在……!

今回トレースされているヴァルキリー……千冬、初代モンドグロッソチャンピオン……

彼女は雪片しか装備せずに優勝した……それ故雪片しか装備していない……

射撃武装がない分……周囲への被害を……抑えられる……

が、近接武装一本で優勝した……その手腕は恐ろしいものがある……!

攻撃されたらそれに反応する……が、いつその動きを変えるか……それは不明……!

無尽蔵に暴れ出したら……千冬がいるとはいえ……どうなるかは分からない……

故に、彼女が早く処理をしたい……と考えるのは当然であった……!

 

「奴は、私やお前よりも早く……この事件の真相に辿り着いていた……いや、それだけではない……私たちよりも深い所にまで……辿り着いている可能性さえある……」

 

千冬も頭を巡らせ……カイジの言っていたこと……その意味には辿り着いた……

彼女とて……カイジの言葉がなくても……その答えには……行きつくところであったが……

カイジの回答……真相への辿り着く早さは……尋常ならざるものがあった……!

 

「そんな、いくらなんでも馬鹿なことを。彼自身が、何か勘に聡いということ、普通とは違うものを持っていること、それはわかります。悪い意味で捉えて欲しくはないですが、いじめられて引きこもりになっていた彼に、私たちを差し置いて先に真相へ、さらに先へたどり着くことなど不可能です」

 

もちろん、彼女の立場……その特殊性……それらを考慮すれば……

彼女の言葉は……当然……また日本国内の事で言えば……

自分たちが……後れを取る相手はまずいない……そういう自信もあった……!

故に、千冬の次の言葉……それは衝撃的……彼女の仕事……その自尊心を傷つけた……!

 

「お前の組織の事は……当然信頼はしている……その情報の精度や裏の事を知れる……という意味ではな……だが、伊藤の事に関しては……もうその情報を信じてはいない……」

 

自身も調査に関わった……その情報が否定された……それは愕然たるものである……

 

「っな!」

 

「ともかく、私が今回の部隊の指揮官だ……意見をする自由は認めているが……その意見を聞き入れるかは……私が決めることだ……」

 

話しは終わったとばかりに……背を向けて……見つめ直す……!

その先には……ボーデヴィッヒの黒いISと……全く動かないカイジの姿……!

カイジの身に異変……それが少しでも見られれば……即座に動くつもり……!

しかし、全く身じろぎをしない……故に動きが取れないのであった……!

 

 

そして数分か……いや数十分か……誰も分からない時が流れた後……!

 

「動き始めた……?総員警戒を怠るな……!」

 

銅像のようになっていた二機のIS……突如として動きを見せる……!

 

「ボーデヴィッヒのISを……覆っていた泥が落ちていく……?」

 

地面にドロ……ドロ……!と、流れていきどこかへと……消えていく泥……!

そして見えてくる……ボーデヴィッヒの姿……!

まるで投げ出されるような形になった所を……カイジが受け止める……!

ぐったりとして力ない様子……人形のような彼女の容姿……それも相まって……

まるで死んでいるかのような……そんな印象を周囲に与えた……

 

「ラ、ラウラは無事か!?」

 

千冬とて……ボーデヴィッヒのことは……気に掛けている……

珍しく狼狽えたように……ラウラの元へ駆け寄る千冬……

 

「慌てなさんなって……気絶してるだけ……だが、やることが山積みだ……それも迅速にな……!」

 

カイジのボーデヴィッヒ救出作戦……そのためには各国が動き出す前……

とにかく……今回の首謀者よりも……先手を打つ必要があった……!

 

「迅速に……一体なんだ?」

 

「ひとまず……周りの奴らを下げろ……あんたがよく言う……極秘事項って奴だ……!そして、俺は言ったよな……解決し切れるかは分からねぇって……だから、あんたの力を借せ……ラウラを助けたいならな……!」

 

カイジでは限界となる部分……そこには千冬の……ネームバリューを使う必要があった……!

 

「……分かった。みんな、下がれ……ひとまず問題は収拾し……」

 

「待て、まだ、問題は収拾していない。VTシステムは起動したまま……そういうことにする……!未だ事態が収拾していない……それが肝になる……だから、当然、通信制限……および、関係者をアリーナから出すな……!」

 

アリーナの物理防壁は降りているため……内部の状況はまだ知られていない……!

 

「っな!?内部に裏切者がいると……そう言うのか……!?」

 

「甘いこといってんじゃねぇ……!裏切者……内通者……その可能性を疑うのは……常識だろうが……!だから、俺は言った……あんたの協力がいると……これがその一つ目……!」

 

カイジの考えている通りなら……事態が収拾したことがばれれば……

確実にIS委員会がボーデヴィッヒのIS……VTシステムの回収にやってくる……!

例え内通者がいなくても……人の口に戸は立てられない……カイジはそれを知っていた……!

 

「っ……!分かった……この事は他言無用だ!念のため……アリーナには通信制限をかけた……及び関係者は沙汰が降りるまでここで待機……!」

 

「っな、どういうことですか……!?」

 

当然教員の中からは不満の声が出る……自分たちが疑われている……それと同義であるからだ……!

 

「この事態の収拾には慎重さが必要とされる……別に諸君らを疑っているわけではない……迅速な事態の解明、収拾のために必要なことだ……!」

 

今回の教員部隊の指揮官は千冬……そうである以上、指示には従わざるを得ない……

 

「次にIS委員会や……今日来ている各国の代表の動きを鈍らせろ……!そして、すぐさまVTシステムを解析……信頼できる奴に、だ……!現状ではVTシステムに触れた……俺とラウラだけは証言できるが……材料としてはまだ弱い……VTシステムに干渉した奴がいるという……確実な証拠が欲しい……!そして、交渉……!この問題を起こした奴とな……!」

 

この問題を起こした奴……そう言われた千冬は当然……VTシステムを発動させた者……

現在逃走中の……偽者であろうドイツ担当官……その事だと捉える……!

 

「解析は山田君に任せよう……彼女はああ見えて優秀だ……山田君なら……お前も信用できるだろう……?そして、問題を起こした奴……といってもすまんが……まだ犯人は見つかっていない……!」

 

期待に応えられなかったか……そう思い千冬は唇を噛みしめる……!

だが、カイジの口から意外な言葉……!もはや千冬の理解を超えていた……!

 

「そうじゃないって……いるんだぜ……?見つかってる、もう犯人は……!」

 

「一体、何を言っているんだ……?お前は……」

 

カイジの策謀が動き出す……!果たして、ボーデヴィッヒ……その運命は……!

 




次回、解答パートは3月16日朝6時の予約投稿となっております。

活動報告にラウラ解放編 推理・解答パート用
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=144059&uid=156312

活動報告内部、一応読んでもらえると嬉しい事項

次回、カイジが解答パートに入ります。読者様にもカイジと同じ答え(行動や交渉内容、提案など)に辿り着けるだけの情報は、手に入っているようにはしています(多分抜けはない、はず)

そして、ここの解答パートではネタバレになってしまうコメには返信が難しいこともあるため、解答パートでは、ネタバレになりそう、これが答えじゃね?と思うコメは、感想より出来れば活動報告にコメントをしてもらえた方が嬉しいです。もちろん感想欄でも構いませんが、返信が雑になる可能性が高いということだけは謝っておきます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。