君はルールを守る人?破る人?   作:3148

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ラランテスのタイプ一致リーフストームC6段階上昇でテッカグヤ確定3発という計算結果をみて、テッカグヤを見ただけでラランテスを選出できなくなったため初投稿です。

オリジナル設定、オリジナルキャラ、物語中盤から擬人化等、苦手な方はブラウザバック推奨です。

それでも良いという方は、どうぞお付き合いください。

※追記 ヒトミの挿絵を追加しました。カリキリが上手く書けなくて凹みます、もうちょっと頑張らないとなぁ。


第四話

 

【挿絵表示】

 

 

 

 「来たわね」

シェードジャングル入口にて、キャプテンが仁王立ちしていた。普段と雰囲気が違う、表情に笑みはなく、殺気立っているのではないかと勘違いする程。

「シェードジャングル、草の試練、準備はよろしいですか?」

「勿論」

キャプテンの後をついていき、ほぼシェードジャングルの真ん中まで歩く。

「普段の貴方が、ここで訓練を行っていることを鑑みて、前座の闘いは不要と判断させていただきました。貴方の覚悟を、見せて頂きます」

ヒトミはその言葉に違和感を覚える。すでに試練が始まっていると気付いたのは、迫りくる影を見たときだ。

「草の試練、開始!」

「しゃらんら!」

 

シェードジャングルの主 ラランテスが現れた!

 

ヒトミは背後を振り返るまで、全く気付く事が出来なかった。はなかまポケモン、ラランテス。カリキリの進化系にして、専用技 ソーラーブレードの使い手。その恐ろしさをその身に感じる。

(Sが低いってのは、カマキリと同じで気配を誤魔化して近づくのに特化してるってことかよ!)

「カリキリ、頼んだぜ!」

スピードはラランテスの方が早い、先手は主がとる。そしてラランテスの持ち物は、パワフルハーブ。

「しゃらんら!」

二つの鎌から、光の剣が伸びる。莫大な光と熱量を帯びたそれをまっすぐ振り下ろす。

草タイプ ソーラーブレード

「……カリキリっ!」

ところどころ傷ついてはいるが、倒れてはいない。

「れんぞくぎりだ!」

「きゅ!」

虫タイプ れんぞくぎり

反撃にラランテスに傷を付ける……がダメージは浅い。再び力を溜め始めるラランテス。

 

「もう一度ソーラーブレードは受けきれないでしょうね」

主との戦いを見つめるキャプテン。これまで幾度も最初の一撃で沈んでいくトレーナーを見てきた。相性が良い相手でさえも、体力が足りなければ高威力一致技を受けきれずに倒れる。主力を失ったトレーナーが出来る事は少ない。その点、半減とはいえ一撃を受け止めた事は、やはりあのカリキリは訓練は充分だということだろう。

「素早さを強化してるラランテスに、先手を取ることはできないわ」

ゲームで言えば二段階上昇、すなわち倍の速度で動く事が出来る。ただでさえ、足の遅い種族なのだ、カリキリがそれに間に合うはずがない。もう一度光の剣が振り下ろされる、最初に一撃よりもチャージに時間がかかったが、これで終わりのはずだ。

 

 砂煙が捲き上がる中、ソーラーブレードをまともに喰らったカリキリの姿はボロボロだった。

「カリキリ、れんぞくぎりだ!」

「きゅ!」

ボロボロではあったが、体力はしっかりと残っている。先ほどの一撃を耐えきった。

「しゃらんら!」

もう一度、ソーラーブレードのエネルギーを蓄える。

「カリキリっ、こっちだ!」

「きゅきゅ!」

ヒトミは小型の瓶のふたを外し、白い液体をカリキリの口に流し込む。極度に栄養が圧縮されたそれは、代謝を活性化させ、植物であるカリキリの姿はソーラーブレードを喰らう前の姿になり、体力は全回復していた。

「しゃらんら!」

「れんぞくぎりだっ!」

「きゅきゅ!」

カリキリの行動はラランテスの後になる、それは間違いない。だが、一つだけラランテスより先に行動する方法がある。それはトレーナーの道具の使用だ。ソーラーブレードが確定一発の範囲でないのであれば、回復アイテムが間に合えば倒れる事はない。

(急所さえなければ、だけどな)

三度目のソーラーブレード、確実に受けきれている。喰らった後にれんぞくぎりを当て、チャージ中に回復をする。草タイプ様に調合してもらった特製モーモーミルクだ、ほぼゲームと同じ回復量を見せてくれている。

「きゅきゅ」

回復が遅れれば、間違いなくカリキリは倒れてしまう。回復するタイミングもこれまでなんども訓練した。手元さえ狂わなければ遅れることはないだろう。

「しゃらんら!」

4度目のソーラーブレードが振り下ろされる。ソーラーブレードのPPは5、このラランテスがそれに当てはまるのかどうかは確証はないが、あれだけ高威力の技を使い続けるのは負担が掛かるだろう。カリキリのれんぞくぎりのダメージの蓄積も間違いなく溜まっている。ヒトミが四つ目の瓶に手を伸ばした時、それが現れた。

「しゃらんら! しゃらんら!」

シェードジャングルの主は 仲間を呼んだ

 やせいの ポワルンが 現れた

炎タイプ にほんばれ

(最悪だ!)

このタイミングで日本晴れをされてしまえば、チャージに掛かる時間は短縮されてしまう、そうなれば回復が間に合わない。攻撃を中止して、いまから回復するべきか、判断に戸惑う。

「きゅきゅ!」

ヒトミが指示するよりも早く、カリキリは飛び出していた。確かに攻撃を受けた後は反撃する様に訓練はしていた。その通りにカリキリは動いた、作戦を信じて、勝利を信じている。

「いっけぇー! カリキリ!」

(引けない、俺が折れる訳にはいかない! 行動は変えない、ただ信じるだけだ)

五度目の光の剣が輝き、振り下ろされる。

 

 五度のソーラーブレードによって、周囲の草はなぎ倒され、地面が抉られている。その中心にいるカリキリの姿はあった。

「しゃ……らんら」

大技を連発したラランテスも無事ではない、これまで受けた攻撃は確かに、ダメージを蓄積している。

「きゅ……きゅ!」

「……カリキリ」

カリキリは ヒトミを悲しませまいと こらえた!

カリキリは ピンチで 泣きそうだ!

「最後だカリキリ、やっちまえぇ!!」

「きゅ!」

ボロボロになりながらも立ち上がったカリキリの一撃が、ラランテスに突き刺さる。

「しゃ……らん……ら」

それはポケモンの習性で、瀕死状態になると小さくなり回復するまで待つという現象だ。

「ってことはつまり……」

先程までいたポワルンは、立ちあがったカリキリに怯えて逃げていってしまっていた。

「きゅ~……」

ポテン、とカリキリが仰向けに倒れた。最後の力を使いきったと言わんばかりに、動かない。

「ちょっ、待ておい……ほら口あけて」

特製のモーモーミルクを流し込む。少々咳き込んでしまったが、充分回復したようだ。

「きゅきゅ♪」

「よかった~……どうなるかと思ったぜ」

すっかり元気になったカリキリの頭を撫でる。バトルでほこりまみれになった体をブラシで綺麗にする。

「おめでとうございます、草の試練完了です。お見事でした」

ウスユキが現れて、お辞儀をする。

「はは……カリキリが頑張ってくれました」

「貴方も十二分に、よくやりましたね。無理はなさらず、休息を」

ソーラーブレードのあおりを受けて、服もあちこち破け、ボロボロだ。深い傷はないが、打撲や擦り傷だらけになってしまっている。

「……それは?」

「げんきのかけらです。瀕死状態のポケモンは、小さくなった状態で少しずつエネルギーを蓄えて、いずれ元に戻ります。そのエネルギーを凝縮したものを与えると」

眩い閃光の後には、疲弊はしているものの元の姿に戻ったラランテスがいた。

「応急手当に近いですが、復活します。しかしまぁ、戦闘中に道具を使うとはよくそんな無茶な事を思い付きますね」

「トレーナーなら、誰でもやってるでしょ?」

「平凡なトレーナーであれば、ポケモンの技の前に怯え、足が竦むでしょう。貴方のそれは歴戦のトレーナーの言葉です」

キャプテンの賛辞の前に、ヒトミは胸が躍る。

「歴戦のトレーナーなら、怪我もしないでしょ。もっと精進します」

「ふふっ、いずれ私ともお手合わせお願いしますね」

「きゅきゅ?」

「しゃらんら」

二人がそんな話をしていると、ラランテスがカリキリに近づいていった。しゃがみ込んで、二匹の額が触れ合い、光が生まれる。

「……これは?」

眩い光は、二匹のポケモンを包み込み姿が見えなくなる程に輝いていた。光は眩しいが、温かくまるで太陽の様な光だった。

「珍しいですね、ララが相手を認めるなんて」

やがて光は少しずつ収まり、二匹が姿を現す。

「しゃらんら♪」

「しゃらんら♪」

おめでとう! カリキリは ラランテスに 進化した!

「う、うおぉ!!」

「しゃらんら♪」

進化したラランテスがヒトミの胸に飛び込んでくる。一m程度の大きさになっているので、受けきれずにマウントポジションをとられる形になる。

「すげー、すげーよお前!」

「しゃらんら、しゃらんら」

お互い喜びを分かち合い、讃えあう。これこそ、ポケモントレーナーと人間との絆が深まった瞬間だった。

 

 「それでは、一度お見せしたと思いますが」

それは、草Z技のポーズだった。花が芽吹き、開花するようなイメージのその動きは生命力に溢れている。

「そして、これを」

渡されたのは緑色に輝く石の中に草のマークが刻まれた草Zクリスタル。

「Zストーンについては、今頃ライチさんが手配してくれてるはずだから、やってみてね」

「ありがとう、試練を達成できたのもウスユキさんのおかげだよ」

「ふふーん、ちゃんと弁えてるじゃない。私のララちゃんも、手加減してあげたんだから」

「しゃらんら?」

主のラランテスが首を傾げる。

「改めておめでとう、草の試練を突破した事を、キャプテンウスユキの名の下に、認めます。けれど貴方にとっては、島めぐりの試練の一歩目となります。これからさらに過酷になる試練ですが、カプ・テテフの加護があらん事を」

どうやら、ウスユキなりの試練突破の祝福の言葉らしい。手にしたZストーンの重みを再確認して、今は一時の休息につく。

 




読了ありがとうございました。ここから先はポケモンのステータスになりますので、飛ばしてもらっても問題ありません。

シェードジャングル 主
ラランテス
はなかまポケモン
アローラ図鑑No.144
特性:リーフガード
Lv:35
実数値:H104 A89 B78 C71 D78 S47(94)
かっこないは二段階上昇数値

ラランテス ソーラーブレード
ダメージ:60~71
回数:確定二発

カリキリ れんぞくぎり
ダメージ:18~22 
回数:乱数五発

ダメージ計算はポケモントレーナー天国様の計算機を使用させていただいております。

ちなみに、五発目のソーラーブレードを耐えたことについてはもちろんポケリフレの効果としてありますが、実際行動順だとラランテス→ポワルン→カリキリとなるので、五発目のソーラーブレードは二ターンかかるはずなのですが、まぁ、エネルギチャージできたら撃てるよね、ということでポワルンの後に行動してます。その代わり、命中精度が悪くなった、威力が十分ではなかった、それもあったため、という設定ですが、まぁ、カリキリが頑張ったというだけでもいい気もします。

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