晴れパでドレディアの仲間作りあたりでしょうか? この辺は思いついたらダブルにはまるかもしれません(笑)
オリジナルキャラ、オリジナル設定、擬人化等苦手な方はブラウザバック推奨です。
それでも良いという方は、お付き合いください。
ヒトミが目を覚ますと、ポケモンセンターの医務室だった。カーテンで仕切られていて、周りに人影はない。体を起こそうとすると、激痛と共に腹部に重みを感じた。
「ははっ……気持ち良さそうに寝てやがる」
ひなたぼっこをするかのように、ヒメとラフィがポケモンの姿で眠っていた。
「感謝しなよ、ずっとあんたのこと看病してたんだから」
その言葉と共にカーテンが開かれる。出てきたのはプルメリだった。
「あ、姐さん。ここは?」
「マリエシティのポケモンセンターだよ。食欲はあるかい?」
返事代わりに腹の虫が応える。
「体は正直だね、ちょいと待ってな」
そういうと、見舞い品の中から果実を取り出し、器用に果物ナイフで皮を剥いていく。
「え~と、ちなみにウルトラホールまでは覚えてるんだけど、その後はどうなったんです。というか、俺って結構眠ってたりします?」
「三日、此処来た時は、出血多量で生きるか死ぬかってとこだったね。マリエ庭園で倒れてるの巡回中の人に見つかって緊急搬送で今に至るって感じ。ちなみに、ウスユキが帰る時に擦れ違って、あんたがいたはずの所に向かったら誰も居なかったからね。とんだ無駄足を踏まされたって訳だ」
最後の一言に明らかな怒りが含まれていた。
「まぁ、こうやって目が覚めたんだから、それは帳消しってことにしてあげる」
そうして果実を剥き終わり、丁寧に果肉の部分だけ切り出す。
「はいよ、食べれるかい?」
「アザ―ス」
そう言って、手を動かそうとした瞬間激痛が全身に走り、ヒトミはうずくまる。
「つっ……いや、姐さんの剥いてくれた果物を口にしない訳には」
ヒトミの訳のわからないプライドが、激痛を堪えて手を動かそうとする。
「馬鹿、無理すんじゃないよ」
プルメリはそういうと一旦皿を下げる、折角の好意を無駄にしてしまうなんて、とヒトミが呟く。
「はい、口開いて」
「……えっ」
「えっ、て。痛むんだろ、こういう時くらい甘えな」
一瞬、呆然とした表情になるヒトミ。
「もしかして、あーんですかぁー!?」
「馬鹿言ってると帰るよ」
プルメリの顔が僅かに紅潮する。
「あーん」
もぐもぐという擬音と共に果物を咀嚼する。プルメリに食べさせてもらっているからか、純粋に果物の味に喜んでいるのかは分からないが、非常に幸せそうな表情をしている。果物を食べ終えると時計に目を向け、プルメリが立ちあがる。
「じゃあね、ゆっくり療養するんだよ」
「え~、姐さん帰っちゃうの? 俺寂しいよ」
「そろそろウスユキが来るのさ、あたいがいると騒がしくなっちまう。じゃあね」
プルメリはそっ気なく帰ってしまった。二人が揃うとどうしても喧嘩になるので、その配慮からだろう。それから程なく、ウスユキが病室に入ってくる。
「……ヒトミィィッィ!」
ウスユキの勢いに危険を感じたヒトミだが、今体を動かすことはできず、無抵抗にとっしんをくらうことになる。
「アッーー!??」
そうしてヒトミは、失神した。
「へぇ、じゃあさっき起きたばっかりなんだ」
「起きたばっかりで失神しましたけどね」
ヒトミが痛みで気絶して数分、三途の川が見えた等と呟きながら、半泣きで目を覚ました。
「それより、一体何したらそんな大怪我するのよ」
ヒトミの背中の傷自体はふさがっているらしい。火傷の跡は残っているが、内部の血管や内臓、それと脊髄に付随する神経系も、むしろ以前より丈夫になっているのではないか、と医師は言ってる。と言う訳で足は動くが、そのバランスが悪く、当分激痛とリハビリの日々が続く、ということだ。
「いやぁ、ちょっと無茶しちゃって」
「無茶やってんのは、毎度のことでしょ。全く、ストライクに襲われたって、そんな怪我しないよ。しかも、傷口を焼いて塞ぐなんて……馬鹿じゃないの?」
馬鹿なのは否定しません、と反省する。ウルトラホールに計画もなく突っ込んだ時点で無茶だったと、ヒトミはすでに後悔していた。命あって五体満足なのが不思議なくらいなのだが。
「ほんと……本当に心配したんだから」
「ごめん……ごめんな」
少し前に会っていた友人が、死にかけているという連絡が来たら、誰だって心配するだろう。なにより、あの状況でウスユキは一人残してと自分は離れるという選択をしたのだ。
「大丈夫、ウスユキの所為じゃないよ。それにほら、五体満足で帰って来たんだから、結果オーライ、だろ?」
心配性のウスユキは責任を感じずにはいられないのだろう。それはヒトミも理解していて、心配しないでほしいと慰める。
「……うん。帰って来てくれたから、許してあげる」
そういってウスユキが、手を握る。抱きついたらまた失神してしまうので、手で妥協するということらしい。ウスユキの手の温度が伝わり、ヒトミは安堵の表情を浮かべる。
「それで、話は戻すけど。何があったの?」
「それが、俺にもさっぱりなんですわ」
「……はぐらかしてない?」
嘘はついてはいない、解明するのはこれからなのだ。
「いきなり変なところに移動したと思ったら、見た事も無いポケモンに出会って。まぁ、そいつにやられたんだけど、闘ってたらまた最初の現象で……あとはマリエ庭園に落とされたみたいだけど。そん時には、気絶してたから、その辺は俺もわかんない」
「なにそれ、本当なの、それ?」
「う~ん、スリーパーにさいみんじゅつかけられてたって方が現実味があるかな。あれが本当に現実だったのか、正直あんまり自信ないし」
うーむと、ウスユキが困惑する。ヒトミの説明だと、伝わらないのも無理はない。
「まぁ、不思議体験したってことね。しっかし、試練の時から無茶ばっかりしてるけど、本当に気を付けてよね」
「アイサー、命あっての物種だからねぇ」
「茶化さないの。本当に……まぁ、いいわ。そろそろ、面会時間終わっちゃうし、また明日来るね」
「えっ、明日も来てくれるの?」
むっ、ウスユキが顔を顰める。
「なによ、来ちゃ駄目なの?」
「いいや、忙しいのに悪いなと思って。あ、でも来てくれるならウレシイ、ウレシイよ」
溜め息をついて、ウスユキが出口へ向かう。
「リハビリだってあるんだから、誰か来ないと大変でしょ。また明日」
そう言って出ていってしまった。ウスユキの優しさに応え、すぐに体を治さなければと意気込むヒトミだった。
それから、リハビリ期間は特に何も起こらず、順調に快復していった。ライチに怒鳴られたり、ハラに鍛錬不足だと怒られたり、マオとスイレンとカキにお見舞いに来て貰いしたけど、心配してくれる皆に感謝を述べるヒトミ。ウスユキとプルメリは交代で毎日来て、身の回りからリハビリまで手伝っていた。ヒメは数日口を聞かず、ラフィは一日ずっと泣いてそばを離れない、ヨワシは身の回りの世話を焼いてくれていた。
読了ありがとうございました。今回はポケモンのデータなどはありません。
今回はここまで、次回もよろしければお付き合い頂ければ幸いです。