君はルールを守る人?破る人?   作:3148

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某サイトにて、アマージョの育成論はあるのにラランテスの育成論がなかったので初投稿です。

オリジナルキャラ、オリジナル設定、擬人化等苦手な方はブラウザバック推奨です。

それでも良いという方は、お付き合いください。


第二十四話

 プルルルル

「姐さん、なにかありました?」

「なんだい、寝起きかい?」

真夜中まで馬鹿騒ぎをしていたので、もう昼だと言うのに、ヒトミは爆睡していた。電話がなければ夕方まで寝こけていたかもしれない。

「ちょっと昨日飲んでまして……」

「別に構いやしないけど、二日酔いでフラフラとかは止めておくれよ」

そう言われると頭を押さえる。呑み過ぎた訳ではなさそうで、充分にアルコールは抜けているようだ。

「いや、大丈夫みたいっす。ポータウン集合っすか?」

「いや、今回はあたいがそっちに行くよ。シェードジャングルでの依頼だからね」

「ういっす、準備しときます。ちなみにどんな依頼っすか?」

電話の向こうからがさがさと資料をさぐる音がする。エーテル財団がらみの依頼らしい。ちなみに、前のヒトデマンもエーテル財団の研究に使われてたかもしれない。というか、研究施設との繋がりはそこしかないのだから。

「ウルトラホール? についての研究材料調達っぽいね。詳細はあたいが読んでも分からないから、ヒトミが確認してくれるかい?」

「あ~、なるほど。それでシェードジャングルっすね。準備しときます」

頼んだよと言う言葉と共に電話が切れる。材料調達ということはボール研究関連だろう。材料調達で目処がまだついてないんのだろうか。財団の資料に目を通すと、研究費と材料費で目ん玉飛び出る額になっていたため、失敗したらザオボーの首が物理的に跳ぶ可能性まである。ヒトミにも責任感があるのか、そういった依頼を断る事が出来ないでいる。

 

 「うわぁ、資料内容ざっくりしすぎだろう。ザオボーさんも相当切羽詰まってんな」

「え、なんて書いてあるんだい?」

「要約すると、それっぽいのを見つけて来て欲しい、ってさ」

プルメリが渋い顔をする。

「なんだい、要領の得ない内容じゃないか」

「そりゃまぁ、研究進んでない部分だしねぇ」

草木を掻き分けながら、とりあえず歩きまわる。アマカジやカリキリが時に飛びだすが、プルメリとヒトミが一緒に倒して進む。

「あ、ヒトミじゃん。なにしてんの?」

キャプテンのウスユキが出てきた。どうやら、主のラランテスの世話をしてたみたいだ。

「いや、ちょっと探し物をね」

「へぇ~、また何か悪い事してんじゃないでしょうね」

その言葉にヒトミは少し驚くが、悪い事はしていないと弁明する。

「スカル団と一緒にいたりとか、悪い噂立ってるんだから、気を付けてよね」

ヒトミはウスユキにはスカル団に所属している事は隠している。ウスユキがスカル団を嫌っているので言いだせないのもあるが、基本的にスカル団以外には隠している。プルメリも今日はスカル団のタンクトップはきていないし、スカル団としての知名度もないので、ウスユキが気付く様子も無い。

「……って、プルメリじゃない、なんでヒトミと一緒にいるの?」

いぶかしむ様に見つめられる。

「あれ、なんか不味かった?」

「島めぐりの時にね、相性がよかったから楽勝だったけどね」

悔しそうに顔を歪めるウスユキ。

「あの時からララも成長したんだから、今は負けないけどね」

「どうだか、あたいだって強くなってるんだからね」

二人はバチバチと火花を飛ばしあってる。トレーナーは皆好戦的なのはなぜだろう、と困った顔でヒトミが二人を諌める。

「ははは、今日は探し物で来てるんだから、バトルはまた今度にしてくれると有難いんだけど」

「ちっ、まぁ手間取っても仕方ないしね」

「へぇ~、逃げるんだぁ。まぁ、今日のところは見逃してあげる」

「……絶対ぼこぼこにしてやる!」

「やってやるわよ!」

「だから! また今度にしてくれよ!」

 

 喧嘩腰の二人を収めるのに時間がかかり、へとへとになったヒトミと、不機嫌な二人がそこに立っていた。

「ふんっ、これ以上ここにいたらまた喧嘩になっちまうね」

そう言って、プルメリは別方向へ行ってしまう。

「ね、姐さん!」

「心配しなくても、なんか見つけたら連絡するよ。あんたも、必要な時は呼びな」

振りかえることなく、手だけ振って草むらの向こうに行ってしまう。

「べぇーっだ、今度こそコテンパンにしてやるんだからっ!」

「ウスユキさんも、大人気ないっすよ」

そう言われると、ウスユキも少し冷静になった。

「まぁ、キャプテンになった時にいの一番に負けた相手だから仕方ないかもしれないけどね」

「ふにゃあ! なんで知ってるのさ!?」

プルメリから聞いているので、仲が良くないという話も聞いていた。

「言う通り、まだラランテス育ってなかったみたいですし、いいじゃないっすか」

「でもぉ、悔しかったもん……」

キャプテンでも、色々あるんですね、と分かったような言葉で濁す。二十歳目前なのに、ウスユキの子供っぽさが抜けないのは、彼女の性格であり、もしかすれば調書でもあるかもしれない。

「もう! その話はなしだから! 探し物って何?」

「あ、そうそう、それで来たんだった」

ヒトミはこれまでの経緯は伏せながら、試練の主について聞いてみる事にした。

「ん~、その辺はシェードジャングルの主に選ばれた時から、そのオーラを纏う訓練をしてるから、どうやってとかはちょっと分からないかなぁ」

「えっ、前任から教えて貰ったりしないんですか?」

それが分かればいいんだけどねぇ、とウスユキは困ったように話す。

「うちだとカプ・テテフ様に選んでもらって、そのポケモンがいつの間にかオーラを纏えるようになってる、って感じだから」

もしかすればカプが力を与えてる可能性もある。そうなると守り神に力を借りるしかないが、気まぐれな守り神が容易く手を貸してくれるとは思えない。

「あ、でも、ララがいつもいるところならあるよ! 日当たりが良くて、なんかすっごくぽかぽかしてて、いたらなんかこう、やるぞっ、て気分になるとこ」

ふわっとしすぎだと、つっこみを入れるヒトミ。ラランテスなんだから日当たりが良いところは好きだろうが。

「……まぁ、行ってみましょうか」

当ても無くさ迷うよりかはマシだと呟く。藁にもすがる思いで、ウスユキについていく。

 

 「へぇ、こんなところがあったんだ」

ウスユキに言われるままについてくると、開けた場所に、太陽が差し込み、周囲に草木が生い茂り、湧水が小さな水たまりを作り、ラランテスが気にいるのも分かる。

「ふふ、良い場所でしょ? 私も良く来るんだぁ」

ん~、と背伸びをするウスユキ。確かに、一息つくには丁度いいかもしれない、心地好い空気と温かい日差しにヒメを出したら一日中ひなたぼっこしてそうな雰囲気だ。休憩がてら散策していると、ラランテスがその中心で日の光を浴び始める。

「ふふっ、ララもやっぱりここが好きなんだね」

光合成しているだろう、そう思ってみているとヒトミは違和感を感じる。

(空間が歪んで見える?)

まるで蜃気楼のように、ラランテスの周囲が歪んで見える。それはまるで、極小のウルトラホールに見えなくもない。

プルルル

「あっ、ライチさん? えっ、キャプテン会議するって? もう、急に言われても困るよ~……うん、うん、分かった今から向かうね」

ライチからウスユキに連絡があったらしい。

「ごめんね、ヒトミ。私ちょっと用事が出来ちゃったから、行くね」

そう手を振って、ララと一緒に離れていってしまった。ぽつんと一人残されたヒトミは、むしろ好都合だった。

「試して……みるか」

右手にはめた、Zストーンを構える。神経を集中させ、Zポーズをとる。いつものように力が集まる感覚と、それが繋がる感覚を覚える。しかし、いつもと違うのは繋がる先が、この空間の中心ということだ。不安定で小さいが、ウルトラホールが現れれた。やはり、主ポケモンはウルトラホールの力の恩恵を蓄える事でオーラを纏う様になるのだ。そういう場所がアローラ地方には幾つかあるのだろう、だがそれは普段は小さく、目で確認出来る様なものではないのだろう。恐らくポケモン自体も力を蓄える場所程度にしか理解できていないはずだ。

「っと、考え事ばっかしてる訳にはいかないか」

今にも消えてしまいそうなウルトラホールに飛びこむ。吸い込まれる様な感覚と、上下がさかさまになり、ぐるぐると三半規管がおかしくなる様な運動をして、やがてヒトミの意識が遠くなる。

 




読了ありがとうございました。ここからはポケモンのデータになりますので、興味のない方は飛ばしていただいて問題ないです。

カリキリ
かまくさポケモン
アローラ図鑑No.143

アマカジ
フルーツポケモン
アローラ図鑑No.171

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