君はルールを守る人?破る人?   作:3148

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ラランテスのサブウェポンをきゅうけつ、かわらわり、つばめがえし、しっぺがえし、どくづきと考えていたらしっぺがえしをギルガルド、ブルルにどくづきを撃つくらいであとは特に考えなくてもいいかな、という結論に至りました。火力も耐久もあるともないとも言えないラランテスに悲しみを抱いたので初投稿です。

オリジナルキャラ、オリジナル設定、物語中盤から擬人化等、苦手な方はブラウザバックを推奨します。

それでも良いという方は、お付き合いください。


第十一話

 ある晴れた日の真昼、ハラの朝の鍛錬を終え、ヒトミは住宅街へと足を向けた。今ではクリーン屋さんとして、少しの賃金とご飯を奢ってもらう代わりに、落書きを消す日々を送っている。洗剤が切れたのでいつもの店に向かう。

「いらっしゃいませー、あ、いつものやつですね」

「よろしくおねがいします」

もう店員さんにも顔を覚えてもらい、ヒトミが来たら洗剤を渡してくれるようになった。あまり高価なものではないが、この店員はいつも笑顔で対応してくれる。

「今度、僕にもコツ教えて下さいね」

「企業秘密だよ」

そう言って代金を支払う。今日はたまたまセールの日で安く購入する事が出来た。もう少し買いだめするべきだっただろうかと呟く。これから足を運ぶのに荷物が増えるのは良くない、一つでも安く買えた事を喜ぶべきだなどと言い訳するかのように呟きながら店を出る。街路地を歩いていると、ペンキ塗りたてと書かれている柵がある。ヒトミが最初に落書きを見つけた所だ。道行くおばあちゃんが挨拶をする。ヒトミは挨拶を返してすれ違う、方向からして役所の方へ向かうのだろう。はしゃぐ子供たち、観光に来た浮かれているカップル、ライドポケモンのムーランドに乗って、ゆったりと走るのも、どれもヒトミには見慣れた光景だ。流れに逆らう様に目的地へ、インターホンを鳴らして名前を告げる。

「あぁ、やっと来てくれたか。家の裏のかべなんだ、頼むよ」

一言謝ってから、敷地内に入る。頼まれたのは三日前、他にも依頼があったから中々来る事が出来なかったのだが、ようやく来る事が出来た。持ってきた洗剤とタオル、そしてハブラシとタワシ、修復用キットもバッグに詰め込まれている。

「この壁なら、修復は必要ないかな」

稀に一緒に塗料がはがれてしまう家もあるので、タッチアップする事もしばしばある。頼まれているのは壁を綺麗にするということだ、部分的に色が変わってしまっては台無し、仕事としては下の下だ。手間が増えることはなさそうで、陽気に鼻歌交じりにお仕事に取り掛かかる。洗剤をタオルにしみ込ませ、壁に直接当てる。洗剤がドーブルの塗料にしみ込むのを待って、タワシで優しくこする。なるべく傷がつかない様に、溝や細かいところは歯ブラシで、丁寧に綺麗に仕上げていく。最初は中々上達せず、あとで怒られた事もあった。やさしいおじいちゃんは、仕方ないね、としょんぼりしていた事にヒトミは衝撃と後悔を覚えたのだろう。細かいことからこつこつと、見てもらった時のお客様の笑顔が何より大切なのだと、壁磨きを通してヒトミは成長していった。

 額に汗が流れる。作業にはそれほど時間が掛からなかった、大体一時間弱といったところだろうか、目の前には周りの色と変わらない元通りの壁があった。それは仕事をやり終えた証拠。家の主に報告する為、改めてインターホンを鳴らす。

「丁度良かった、家にあがってくれ」

壁の仕上がりに満足した主人は、コーラとピザを分けてくれた。出前を頼みすぎたらしく、よければ食べてくれということだ。

「御馳走様でした、失礼します」

「もう食べ終わったのかい、もう少しゆっくりしていけばいいのに」

御主人の厚意には申し訳ないけれど、笑顔で返す。

「行くところがありますので、申し訳ありません」

それなら仕方ない、と御主人は手を振って送り出してくれた。まだ日が暮れるには時間がある。颯爽と目的地へと足を向ける。

「今日は、ついてるな」

 

 

 

 揺れる草むら、荒い息遣い、相当の距離を走って来た。足にも自信がある、下手な事をしないように、慎重に立ちまわってきたはずだ。それなのに、今恐怖に追われている。相手は自分の事を知っている、間違いない。どれだけ距離を離しても、気付けば近くに居るのだ。鼻が効くのか、あるいは耳か、それともこちらの行動パターンを読まれているのか。なんにせよ、逃げるのも限界が近い。どうしてこんなことになったんだろう。身に覚えはない、最近周りが騒がしいのは知っていた、変わりものだと呼ばれ、周囲から注意を引いていたのも知っている。だからこそ、細心の注意をもって行動してきたのに、逃げても逃げても追いかけてくる。呼吸する度に肺が痛む、足ももうボロボロだ、捕まればどうなるか分からない。嫌だ、嫌だ、こんなところで終わりたくない。誰か、誰か助けてくれ――

「つっかまえたー!!」

ああ、とうとう人間に捕まってしまった。

 

 

 

 「……また、なにしてたのさ」

マーレインが呆れた様な目でヒトミを見る。見るも無残な姿でうきうきと歩いていたら、無視するかかなり迷った様だが、声をかけない訳にはいかなかったらしい。

「これを見てくれ!」

「ぼろぼろに服が破れてて、髪が乱れてほこりまみれに、おまけにはっぱや木の枝のアップリケが付いてるね。とてもじゃないが君のファッションについていける人はいないと思うよ」

頭を抱えるとふっふっふとヒトミは笑うのを止めない、とうとう気がふれたかとマーレインが呟くとこしからボールを取り外す。

「捕まえたんだよ、ドーブル!」

手にしたボールの中には、確かに犬の姿のポケモンが収まっていた。

 

 「お預かりしていたポケモンは元気になりましたよ!」

「ありがとうございます!」

一度ポケセンにきて、一旦モーテルに戻り、シャワーを浴びて着替えて戻ってきた。ボールの中には確かにドーブルの姿がある。二階の休憩室にいきドーブルをボールから出す。

「くぅぅん」

出てきた瞬間、椅子の下に隠れた。行動からこのドーブルの性格は臆病だとわかる。

「ほら~、怖くないぞ~」

ヒトミがポケ豆を取り出し、目の前に差し出すと更に椅子の奥に引っ込む。とりあえず、一粒置いて、手を下げる。見えない位置まで下がってみたら、今度は見える位置まで出てきた。ポケ豆は確保しつつ、こちらへの警戒は解いていない。どうやら、近づくのも難しいらしい。

「……分かったよ」

横に置いてあった椅子を取ってきて、ドーブルが見える位置に座る。

「これから長い付き合いになるんだ、一時間だって二時間だって、待つさ。当然だろ?」

パートナーとして選んだのはヒトミで、無理矢理言う事を聞かせるという育て方は今までしなかった。これからも、それは彼の性分なのだろう。

 

 気がついたら、日が暮れて夕日が部屋を赤く染めている。ヒトミはどうやら椅子に座ったまま眠ってしまったらしい。夕方と言う事は、2時間程だ。だというのにドーブルはまだ元の位置から動かない。

「……ポケ豆は食べたんだな」

ヒトミが起きた事に気付いて、ドーブルもこちらに目を向ける、相変わらず警戒心はそのままだが、逃げる事もしないらしい。

「ちょっと待てよ……ほら」

ポケ豆をもう一つ、ポケットから取り出す。どうやら取りに来ることはないらしい、目の前に置いて、また椅子まで戻る。

ガブガブガブ

今回は早速食べた、どうやらポケ豆は気にいったらしい。もう一つ取りだすと、再び反応した、ピクリと体が動いたのでゆっくりと近づいて、目の前にポケ豆をチラつかせて。

「わふっ」

「わふっ」

視線がポケ豆に固定されて釣られて動くようになった。

(いやぁ、ポケリフレって偉大なんだな)

今度は手に持ったまま食べた。やっと警戒を解いたようで、ヒトミが頭を撫でると嬉しそうにドーブルは尻尾を振った。

 




読了ありがとうございました。ここから先はポケモンのデータになりますので、興味のない方は飛ばしていただいて問題ないです。

ヒトミの手持ちポケモン
ラランテス
ヨワシ
ドーブル←New!

ドーブル
性格:臆病
特性:ムラっけ
覚えている技
スケッチ

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