ある人々の話をしよう   作:締切り3秒前

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※独自解釈の色合いが強いです
※「善き人々の話をしよう」を美しいままで終わらせたい人は読むのは推奨しません
※CCCより、あるAIがゲスト出演しています
※鬱です
※主人公が報われていません



※もう一度、この話はメリーバッドエンド、主人公に救いがありません


我々が見るその人の面は、時々現れる選択肢だけ
それが本心からのものだと、誰が言ったかな――


ある主人公の話をしましょう

――ある主人公の話をしましょう

 その人は、どこにでもいる普通の人でした。

 ただ友人と笑い、泣き、怒り。

 そんな普通の日々を生きて、普通に死んでいくはずの、無辜の民の1人でした。

 ですが、そんな人生に転機がやってきます。

 それは、ほんの少しの分かれ道。ただ、ある適性があった、たったの48人の中に入ってしまったが故の、分かれ道。

――その日から、一般人(名無しさん)特別な人(主人公)になりました

 自分がいなければ、自分が動かなければ、皆消えてしまう。主人公は懸命に走り回ります。

 その背中を押す(背の荷物)は、周囲の願い。様々な世代の英雄や、職員が、そして後輩がともにいたのだとしても、最終的に主人公が動かなければ、何も始まらないのです。

 結局、最後に決めるのは主人公。他は、ヒロインやキーパーソン以外は、変わっても気づかない、普通の人。

――自分だって、前まではそっちだったのに

 そんな本音をひた隠し、主人公は頑張ります。そんな姿は、きっと大人たちには励みになったのでしょうね。

 どんな敵にさえひるまず、時には思いもよらない策で状況を切り抜けていくその姿は、きっと光り輝いていたでしょう(ボロボロだったでしょうに)

 そんな主人公に、皆は次々とサポート(重荷)をかけていきます。

 

 

 

 限りある道具以外にも、その場でできる応急処置を彼らから教わりました。

――痛みを誤魔化すやり方があったら

 持ち帰った聖遺物から、サーヴァントに活かせる術式を開発してもらいました。

――カルデア(安全地)から指示を出せる術があったら

 主人公が英雄をサポートできるように、新たな魔術礼装を開発してもらいました。

――自分以外が、彼らをサポートできる魔術礼装があったら

 醜い本音は隠します。隠して隠し続けて、ありがとう、助かります。と言います。

 だって、それが主人公らしい(皆の望む姿)でしょう?

 ある看護師は言いました。何かを救い続けるという偉業は、いっそ狂っていないとできないのだと。彼女は、主人公の心の真実に気づいていたのでしょうか。それは、分かりません。

 主人公の言葉は、ずっと、人類最後のマスターらしい言動(脆い意地で作り上げた仮面)で。そこに、はたして本心が存在していたでしょうか。

 

 

 

 無垢な後輩(ヒロイン)が呼びます。マスター、先輩と。

 ある天才(人でなし)が呼びます。君、マスターと。

 英雄たち(特別な人たち)が呼びます。マスター、友、母、我が子、雑種、安珍様、主――と。

 名もなきスタッフ(無辜の民)が呼びます。カルデアのマスター、人類最後の希望と。

 マスター、マスター、マスター。

――あれ、あれあれ?

――あなたの名前、なんでしたっけ?

 ちゃんと呼んでくれていた凡庸な人(唯一の友)は結局、非凡な人(他と同じ)で、最後に大切なこと(特大の荷物)を置いて消えていきました。

 今のあなたは、ただの主人公。

 

 

 

「――そう、今のあなたはもう、主人公(まともじゃない)なのです」

 そう言い切る私に、主人公は苦笑しています。いつもの、穏やかな(仮面を被った)笑顔です。それが大変いじらしくて、憎々しい。

「あなたはセンパイではありません。だってセンパイは特別でしたから」

 唯1人、あの世界で気づいてくれた。

 あの人が別の誰かになっていたら、きっと自分は生まれていないでしょう。そして、生まれたのだとしても、きっとあそこまで私は執着することはありません。

「ですが、あなたのポジションは違います」

 魔術を知らない人間。特別な出自を持たない、ただのサブ。

「あなたは、生きたいがために頑張ってきました」

 センパイもそうでしたけど、あなたの隣には誰もいない。いえ、逆ですね。

「あなたの隣には、周囲には英雄たち(人でなし)が多すぎたんです」

 強いつながりを持つ後輩?――彼女は、結局主人公の為に命を投げ出せる特別な人(非凡な人)だった。

 サポートをしてくれるスタッフ?――彼らは、結局謝罪しながらも自分に押し付けるしかできない一般人(遠い人)だった。

 それを指摘しても、主人公は言います。できるのは自分だけだった、ならば、しなければいけなかった――仕方のない、ことだったのだと。

 その張りぼてに、溜息を1つ。もしも、主人公(凡人)の隣に立ち、その心情に共感できる同じ立場のマスター(普通の人)がいたならば――

 

 

 

――なんて、考えても仕方ないんですけどね

 ふと浮かんだ考えをかき消して、私は話を締めくくります。

「貴方はセンパイとは違うし、私はあの少女とも違います。あなたはただの凡人で、それなのに世界を救ってしまった愚かな人。だから――だから、私は、あなたが嫌いです」

 

 

 

――ある主人公の話をしましょう(ある哀れな人の話をしましょう)

 

――その人は世界を救いました(世界はその人を変えてしまいました)

 

――その人は救世主になりました(その人は仮面を被りました)

 

――その人は沢山の人に囲まれて幸せそうです(その人は本心すら分からなくなりました)

 

――その人は(哀れな人は)平凡な日常を守ったのです(普通の日々を忘れてしまいました)

 

――めでたし、めでたし




我々が見てきたその人の面は、全てペルソナによるものだったなら

話の発端は、CCCコラボの発表でした

BBがぐだに会った時、絆レベルが上がり切った時、どう話すのだろうと考えたのが始まりです

それに加えて、とある投稿サイトにて、「ぐだがマスターと呼ばれ過ぎて名前を忘れる」というイラストや「名前を呼ばれなくなって、一般人としての自分を無くしていく」という小説を読み、この話は出来上がっています

思いついたままに書き切ったので、ふんわりとしていたり、納得がいかない部分があるかもしれませんが、自分の中のぐだの評価は「哀れな人」です
ごく一般的な感性の持ち主なら、かの看護師が言ったように「狂わずにはいられない」
かの王が見たぐだもまた、「作られた主人公(一般人)」だったなら
そしてぐだの本当の心が、ペルソナに侵食されてしまっていたなら
そんなことを、考えてしまうんです

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