アカメが斬る!第三勢力   作:マスターM

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出会い
チェルシー


フリーウイングとナイトレイドが同盟を結んだ数日後

この日は珍しくフリーウイングに動きはなく皆アジトにいた。

 

「そう言えばイエヤス今日タツミが来るんだろう?」

 

「はい!スザクさんの指導が見たいと言ってました」

 

「って言ってもな今日はする事ないんだよな・・・」

 

「じゃスザクさんの昔話聞かして貰ってもいいですか?」

 

「私も気になる」

 

「俺も」

 

「それに私達に会う前、チェルシーを仲間にした時の事も気になる」

イエヤスに続いてアカメ達もスザクの昔話に興味があるのか、イエヤスに同調した。

 

「ならタツミが来たら懐かしい昔話するか」

そう言いタツミが来るのを待った。

一時間経った位にタツミがやって来た。

 

「こんにちは。スザクさん今日はよろしくお願いします!」

 

「ああ。と言っても今日はする事が無いから、俺の昔話をするがいいか?」

 

「はい。むしろ興味あります!」

 

「ここではなんだリビングに行くか」

 

「はい」

全員をリビングに集めエア達がお茶を用意し終わってから口を開いた。

 

「あれはアカメ達と会う少し前の事だ。俺は当時持ち手のいない帝具を集めていた。後に仲間になる奴に渡すためだ」

 

 

 

 

 

 

 

数年前

 

スザクは原作知識と風の噂でガイアファンデーションのある辺境の領地に入った。

 

「確か宝物庫にあった筈、夜侵入するか」

スザクは夜になるまで町で適当に過ごした。

深夜見聞色の覇気で人がいない所から侵入して、覇気を頼りに宝物庫に向かった。

宝物庫に入ると少し進んだ先にガイアファンデーションはあった。そして近づいてくる気配も感じた。

 

「だ、誰!?」

その人物チェルシー。灯りを持っていてその灯りがスザクを照らした。

スザクはすぐに駆け寄りチェルシーの口を手で塞いだ。

 

「大声を出すなよ?出したら殺す」

スザクが脅すとチェルシーは首を縦に振った。

 

「俺はただ持ち主がない帝具を回収しに来ただけだ」

 

「ガイアファンデーションの事?でも断念、持ち主はもういるわ」

 

「何?まさか・・・」

 

「そう私が使える」

 

「既に使い手がいたか・・・」

 

「残念でした。もう此処に用はないね、帰ったら?」

 

「いや、ガイアファンデーションは諦めるがまだ帰らん」

 

「どうして?」

 

「太守を殺す」

 

「ッ!?本気?私が太守に言っちゃうかもよ?」

 

「ほう、ならお前も殺さないとな」

 

「ええ!?ちょっと待って私は太守は仲間じゃないわよ、あんなのと一緒にしないで!!」

 

「・・・知っていることを話せ。それで決める」

 

「分かったわ。私の部屋に行きましょう」

 

「いや。俺が借りている宿屋だ。理由は分かるな?」

 

「・・・ええ」

 

「よし行くぞ」

スザクはそう言うとチェルシーをお姫様抱っこして駆け出した。

 

「え、ええ!?ちょっと下ろしてよ!!」

 

「ダメだ。こうする方が早いからな」

スザクはチェルシーを抱えたまま窓から飛び降りた。

 

「いやああああああああ!!!」

チェルシーは思わず目を瞑り悲鳴をあげた。

しかし落下せず空に浮いていた。

 

「へ?」

チェルシーがおずおずと目を開けると特級危険種のワイバーンに乗っていることに気が付いた。

 

「貴方が飼いならしたの?」

 

「いいや創ったんだ。俺の帝具で」

 

「貴方も帝具使い?」

 

「ああ。思考創造アイキャップ俺の帝具だ。効果は自分が考えた物を創れる」

 

「成程ね」

チェルシーは帝具の事を聞いて納得した。

 

「でもそんな事教えても良かったの?」

 

「ある程度こちらも腹を割って話さないとフェアじゃないだろ?」

 

「それもそうね」

数分ワイバーンで飛ぶと宿屋の近くで降りた。そして宿泊している部屋にチェルシーを入れた。

 

「先ずは自己紹介だな。俺の名はスザク。ただの旅人だ」

 

「ただの旅人があんな無茶しないわよ。私はチェルシーよ」

お互い簡潔に自己紹介をし、スザクはチェルシーから太守のしている事を聞いた。賄賂は当たり前、狩りを獣ではなく人で楽しむ畜生であると。

 

「お前はどうしたいんだ?」

 

「・・・私だってどうにかしたいと思った。でも女一人ではどうしょうも出来なくって、次第にその光景を見る事に慣れていく自分に嫌気がさした。虚無感で魂が死にかけていた時にガイアファンデーションを見つけた。見て直感で感じたわ使えるって、私はそれを使って太守を殺そうと思った。けど・・・」

 

「踏ん切りがつかなかったか?」

 

「ええ・・・」

スザクの問いかけにチェルシーは頷いた。

 

「・・・チェルシーお前俺の仲間にならないか?」

 

「え?」

唐突な言葉にチェルシーは顔を上げた。

 

「俺の本来の目的を話す。俺は帝国でも革命軍でもない第三勢力を作ろうと思っているんだ」

 

「第三勢力を?」

 

「ああ。帝国を内と外から変えていく」

 

「でもどうやって?」

 

「まず帝国に残っている良識派を大臣から守る。あとは帝国軍と革命軍と戦える戦力を整える」

 

「整えるってどうやって?それに戦うなら訓練もしないといけないし時間はかかるわよ」

 

「アテはある」

 

「アテって?」

 

「帝国の暗殺部隊。その部隊を俺の勢力の中枢にする」

 

「そんな事が可能なの!?」

 

「五分五分だな。他にもアテはあるが帝国暗殺部隊100名は一番確保したい。帝国と革命軍相手に戦える理想の戦力だ。チェルシーお前は世直しをしたいと思っていないか?」

 

「ええ思っているわ。でも・・・」

 

「もしお前がやるにしろ、やらないにしろ俺は受け皿になってやる。2日後俺は太守を殺す。どうしたいかはお前が決めろ」

 

「もし、私が貴方について行ってのメリットは?」

 

「メリットは少ないかもな、そうだな・・・全てが終わった時俺に出来る事なら何でも聞いてやる。まあ出来る事限定だかな」

 

「ほぼメリットが無い上に危険てことね」

 

「そうだ。2日後に会おう」

 

「考えておくわ」

そう言ってチェルシーは帰って行った。

 

 

 

そして2日後

スザクが城の中庭に行くと・・・

 

「それがお前の選択だな」

 

「ええ。私はスザク、貴方の仲間になる。これは今までの弱い私との決別よ」

チェルシーの手には血に濡れたサーベルが握られており、そばには首を刎ねられた太守が転がっていた。

 

「歓迎しよう俺の最初の仲間チェルシー。そして約束しよう事を終えるまでお前が生き残れよう色々と教えよう」

スザクはチェルシーの頬に付いている返り血をハンカチで拭きながらそう言った。

 

「うん。よろしく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってのがチェルシーとの出会いだ」

 

「あの時は正直ここまでとは思っていなかったわ。何だかんだ言ってスザクに付いて来て正解だったと再認識したわ」

 

「その後に私達と会ったのね」

 

「ああ。コルネリア達に会うまでチェルシーに暗殺の事を教え革命軍にスパイとして入ってもらってから、コルネリア達を仲間にしたんだったな」

スザクは懐かしそうに言った。

 

「さてと、話していたらこんな時間か」

外を見れば空が薄っすらと沈んでいた。

 

「今日は俺が作ろう、食いたいものがあれば買ってこい」

スザクがアカメに財布を渡すとアカメと数人がアジトを飛び出していった。

 

「さて、あるもので何か軽く作っておくか」

 

「手伝うわよスザク」

 

「じゃ行くか」

 

「ええ」

過去の話をした事でスザクとチェルシーはもう一度気を引き締めた。


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