「あの、スバル君、そんな目で見られると、照れてしまいます」
「バルス、レムが可愛いのはわかるけど手元がおるすよ」
「あぁ、わりぃ」
そんな会話と共に今日の仕事は終了、あとはそれぞれ自由に過ごす時間、スバルは部屋に戻ると最近始めた日課へと取りかかる。
「袖口の部分がちょっと難しいな」
彫刻刀を片手に丁寧に形を作る。
作業机の上、そこには粘土で作られたメイド姉妹がいた。
次の日。
「バルス、ラムの袖口に何かついているのかしら」
「いや、何もついてないぞ」
「そう、あまりじろじろ見ないでくれる。バルスが移るわ」
「どんな状況だよ」
そして夜。
「できた!」
改心のできである。
そこには見事に粘土で造られたメイド姉妹があった。
「今の俺ならパックとエミリアたんもう少しうまく作れそうじゃね」
少し前に完成させたエミリアとパックを眺めていると。
「なるほどね、やけに最近ラム達をじろじろ見ていると思ったらそういうことね」
と、ラムは机の上の作品に目を向ける。
「何か、怒る気が失せるわね。そんなにうまく作られると」
「いつの間に後ろにいたのかよ!て言うか、やけに素直に褒めるじゃねえか」
「ラムはいつでも素直な良い子よ」
「そうかい」
「エミリア様に大精霊様、ラムにレム。あれ、ロズワール様とベアトリス様は?」
「あの二人は作るのが難しそうだからな」
「確かに、ロズワール様の偉大さを表現するのは難しそうね。バルスごときにできるものではないわ……これもらうわ」
とレムの人形を手に取る。
「そんなに気にいったのか?」
「えぇ、ロズワール様のも上手くできてたらそれももらってあげるから頑張りなさい」
「相変わらず上からだな」
「それじゃあラムは行くわ、眠いし」
「おう、じゃあな」
次の日の朝
「スバル君、レムの事、よく見ていてくれているのですね。照れます」
顔を赤く染めてそんなことを言うレム。
「ラム、見せたのか?」
「えぇ、見せたわよ。もうラムの物なんだから見せるのは勝手よ」
「まぁ、別に良いけど」
「スバル君、レムも負けていませんから。いつでもレムはスバル君の事を見ています」
さらっとそんなことを言うと、
「昨日、寝ないで作っちゃいました」
と、手で指し示した先、廊下の一角。スバルの姿をした粘土細工が並んでいる。
「レム、ラムのやる気に関わるから片付けなさい」
「うぅ、そうですね。さすがに部屋に飾ります」
「何でレムが俺の入浴スタイルを知っているんだ」
「さぁ、どうしてでしょう」
人形を抱えて部屋に戻るレム。
「なぁ、姉様や」
「何?バルス」
「鬼って徹夜でも働けるのか」
「えぇ、余裕よ」
レムの部屋を今度家宅捜索させてもらう特に本棚辺りを。そう心に決めた。
ラムの扱いが公式ですら不遇な件。
まぁ、レムが好きなのは私もそうなんだけど。