自分とおんなじぐらいの女の子を助けた程度の記憶です。
では、どうぞ。
――――なのはside――――
『明日学校帰りに動物病院にフェレットの様子を見に行きませんか?』
「送信っと。」
アリサちゃん、すずかちゃん、八幡君にメールを送り携帯を充電器に置く。
今日は寝ようと思ってベットへ向かう途中にキィンという甲高い音がしてつい耳を塞いでしまう。
『聞こえますか?僕の声が聞こえますか?』
(この声…、今日も聞こえた声…)
『聞いてください…。僕の声が聞こえる方…お願いです、力を貸して。』
その声を聞いた私はすぐに家を飛び出していた。向かう先は今日フェレットを預けた動物病院。
動物病院に着いた私の耳に耳鳴りのような甲高い音が聞こえる。
「またこの音…」
つい耳を塞いでしまった私だが、数秒と立たないうちに風の音や人の生活の音がこの世界から消えたことに気づいた。
不思議に思いあたりを見回していると、病院の庭の方で黒い塊が昼間に助けたフェレットを襲っていた。
黒い塊は庭の壁や木を壊しながらフェレットを追いかけている。
(助けなくちゃ!)
そう思って庭の方へと行く。黒い塊の攻撃をよけてこちらに飛んできたフェレットを受け止める。
黒い塊はムカデのような形をとり、こちらへ突進してきた。
「きゃっ。」
私はしりもちをついてしまったがそれをよけることが出来た。黒い塊は勢いそのまま玄関に突っ込んでしまい身動きが取れないようだ。
「なに?一体何?」
「来て…くれたの?」
胸の中にいるフェレットがしゃべる。驚いて変な声を出してしまった。
「えと…なんなの?一体何が起きてるの?」
しゃべるフェレットに質問しながら起き上がった。
「あの、お願いがあるんです。ぼくに少しだけ力を貸して。」
「ふぇぇ?!」
フェレットの顔は真剣そのものだった。私はとりあえず黒い塊がはまってるうちにその場を離れた。
「お礼は必ずしますから!」
フェレットはそう言った。
「お礼とか、そんな場合じゃないでしょう。」
過去に私を助けてくれた白銀の髪の女性も何も言わずに私を助けてくれた…。そんなことを思い出しながら走っているとフェレットが腕の中から飛び出す。
「今の僕の魔力じゃあれを止められない。だけど…あなたなら。」
「魔力?」
聞きなれない単語につい聞き返してしまう。
「ウオオオォォォォォ!」
動物病院の方からあの黒い塊の叫ぶ声が聞こえた。
(きっと、すぐに私たちを探しに来る…それなら)
「どうすればいいの?」
「これを」
そういってフェレットは私に首から下げていた赤い宝石を渡してくる。私が宝石を手にすると宝石が輝き始めた。
「それを手に目を閉じて…心を澄ませて。」
私が集中すると宝石が脈動する。
「管理権限、新規使用者設定フルオープン。」
また、宝石が脈動する。
「繰り返して、『風は空に、星は天に』」
「風は空に、星は…天に」
「『不屈の心はこの胸に』」
「不屈の心はこの胸に」
心が澄んでいくのが分かる、そして次に何を言うのかも
「『この手に魔法を』」
「この手に魔法を…、レイジングハート、セーットアーップ!」
『Stand by,ready.Set up.』
宝石…レイジングハートから機械的な声が聞こえピンク色の光に私が包まれる。そして光は天へと上る。
『初めまして、新しい使用者さん』
「へ?あ、あ…初めまして。」
レイジングハートに話しかけられ驚きながらも返事を返した。
『あなたの魔法資質を確認しました。デバイス・防護服ともに最適な形を自動選択しますがよろしいですか?』
「えっと…、とりあえず、はい!」
そして、なのはは着ていた服ではない、白い服―バリアジャケット―を着ていた。
「えぇぇ」
(あ、あの人と同じ白色なんだ)
服装が変わっていた事にも驚くが、過去に助けてくれていた人が着ていた服―巫女服―と同じ色で少し嬉しい気持ちになった。
だが、嬉しいのもつかの間、屋根の上には黒い塊がいてこちらへ攻撃してきた。その攻撃をなのはが飛んでよける。そうして高町なのはの戦闘が始まった。
―――八幡side――――
『―――聞こえますか?―――』
八幡が家でイメージトレーニングをしていたところ広域念話が聞こえる。
「白、今のは昼間の動物病院からか?」
『はい、主様。どうしますか?向かわれますか?』
「一応行ってみるぞ。…武装―白影―。」
八幡は、銀髪狐耳の巫女服姿の女の子に姿を変え、窓から飛び出す。
「やっぱこの姿には慣れないな。」
『お美しいですよ主様。』
そんな、他愛もない話をしながら八幡は動物病院へと向かった。
「やっぱりというか、なんというか…、巻き込まれてるなぁ…。」
高町なのはから、魔力が解き放たれるところを透明化の魔法を使いながら見ていた。
「しかし、こんだけの魔力を持っていたとはな…。」
『ですが、主様には及びません!』
手元の白が強く言ってきた。…俺としてはどうでもいいんだが。
「それで白、あそこにいる黒いのはなんだ?」
『主様は最強なんですから!…え?えっと…ロストロギアの異相体だと思われます。』
(こいつの評価はなんでこんなに高いんだよ…)
「まぁ…、助けたいのは山々だが、魔法にかかわっちまった以上今後も戦うことは多くなるだろうから今回は見学するぞ。」
『わかりました。主様が出て行っちゃうと一瞬で終わっちゃいますもんね。』
(いやだから…なんでそんなに評価高いんだっての。まぁ仮想戦闘で慣れてるし、戦闘スタイルの関係上早く終わるだろうけど…)
「高町の魔力なら、初めてだろうと大丈夫だと思うけどな。」
そんな話をしながら八幡は姿を消したまま戦闘を見ていた。
(魔法障壁の強度も結構ありそうだし、あの単発の射撃魔法も威力あるな。鍛えれば相当なものになるんじゃないのか?)
そんなことを考えていると高町が撃った射撃魔法で3体に分裂した敵が逃走を図った。
(このままじゃ、逃げられちまうがどうする?)
俺は、敵が本当に逃げないように捕縛魔法の準備をしておく。高町はデバイスに何か言うとこのあたりで一番高いビルの上へと着陸する。
(何をするつもりだ?…あーなるほど砲撃魔法でもするつもりか)
俺の予想は当たっていたらしく高町が砲撃体制に入る。そして…。
「一撃で三体同時封印って…、あいつ初心者なのにスゲーことやりやがるな。」
『八幡様でもあんなの簡単に…「そういうのはいいって、ああいうのは素直に称賛しとくもんだ。近接型の俺じゃあ一体ずつしかできないからな。」…わかりました』
なんでこいつはこんなにも張り合おうとするのかなぁ…。
高町はデバイスの中に今回のことの発端となったロストロギアを収納し、変身を解除した。
(さて…無事解決したようだし、帰るとするか…―――⁉)
「高町の近くになんか居やがる!」
高町なのはのいるビルを何かがよじ登っていくのを見た八幡は固有魔法を発動させ、すぐに彼女のもとへと向かった。
――――――なのはside―――――
私がレイジングハートでジュエルシードを触るとジュエルシードはレイジングハートの中へと入っていった。
そして、変身する前の服装へと戻りしりもちをついてしまう。
「大丈夫?」
「大丈夫…だと思う。」
心配して駆け寄ってきてくれたフェレットにそう言い、微笑みかけた。
――――――その時、私の座っていた地面がはじけた。
下からの衝撃で私はビルの橋の壁に叩きつけられる。
「きゃぁ!」
レイジングハートがとっさに衝撃を緩和してくれたのか痛みはほとんどなかった。私が目を開けるとそこには鎌を持ったムカデの胴体をしたものがいた。
「ジュエルシードの異相体⁉まだいたのか!」
フェレット君は、私とは反対方向の壁で驚いている。ムカデは鎌を大きく振り上げて私へと振り下ろした、私はつい後ろを向いて目を瞑ってしまう。
(あぁ…、なんだか似ているな)
そんなことを思った。過去にもこんなシチュエーションがあったなと…。
そして、私が変身する間もなく鎌が私へと振り下ろされた…
―――目を開けると、鎌だけが私の目の前を落ちていくのが見えた。
「…え?」
不思議に思って、先ほどのムカデがいた位置に視線を戻すと、二年前に私を助けてくれた女性が立っていて、ムカデは鎌を切断されて苦しんでいた。
――――八幡side―――――
「―――
瞬動は八幡が
「あっ、あの!」
「少し待ってて、アレを先に倒しちゃうから。」
高町なのはが声をかけてきたので、先に倒す旨を話しムカデへと意識を集中させる。
ムカデはまだ、暴れている。その隙に八幡はムカデとの距離を素早く詰め、白影をムカデの胴体へと突き立てる。
「――封印。」
そう八幡がつぶやくとムカデが白い光に包まれ形を崩していく。
その後に残ったのはひし形の宝石だった。
八幡はその宝石を手に取り、少しばかり見る。
(これが、ロストロギアか…。随分とエネルギーを秘めてるみたいだな。)
『わかるんですか主様?』
(なんとなくだけどな、まあこれはあのフェレットが集めてるものっぽいし渡してやるか。)
「これはあなたが集めているものでしょう?」
…と八幡はなのはにその宝石を投げる。
「ふぇ!?」
なのはは驚きつつジュエルシードをレイジングハートで触れ、ジュエルシードを収納した。
フェレットはなのはのそばへと駆け寄り俺を見ている。
(まぁ、いきなり現れたらそりゃ驚くのも当然か…。)
「このあたりにはもうさっきのような異相体はいないわ。また変身したところ悪いけどもうといても大丈夫よ。」
「え?あっはい。」
そういうと、備えとして変身していたなのはが変身を解く。
「それと、そこで魔法の準備をしているフェレット君もね。私から何かするつもりはないから。」
そういって、白影を鞘に納める。
「あのっ!二度も助けてくださってありがとうございます。」
「二度?」
俺は今回しか高町を助けたことはないと思い首を傾げた、
「えっと…、二年前の夜にサソリみたいな黒い怪物に襲われそうになった時です。」
(驚いた…、樹毒から助けた少女が高町だとは思いもしなかった。)
驚きはしたが、その驚きを隠し頭を撫でてやる。
「あの時の女の子だったのね、それが魔導士になってたなんて驚きだわ。」
「私高町なのはって言います。魔法を知ったのも使ったのも今日が初めてなんです。」
「僕はユーノ・スクライアって言います。」
高町と、そばでやり取りを見ていたフェレットが名乗る。
(これって俺も名乗らなきゃ怪しいよな…、八幡じゃばれるしどうしようか…)
『私の名前でいいんじゃないですか?主様』
(なるほどな…、助かる)
「私のことは
ニコリと微笑んでそういうと二人は少し呆けてしまう。いい人を演じるのはとても疲れるなぁとか思っていると、
「じゃっ、じゃあ!私のことはなのはって呼んでください!」「僕もユーノって呼んでください」
二人が声を大きくしながらそう言ってくる。俺はその気迫に負け「ええ…。」と答えてしまった。そして、今が夜遅くということを思い出して
「二人とも、もう遅いから帰りなさい。おうちの人も心配してるでしょう?」
といって、話を終わらせた。高町が帰り際に、
「また会えますか?」
なんて、上目遣いでいうもんだから
「ええ、あなたが望むならきっと会えるわ。」なんて返事をしてしまった。…上目遣いはずるいと思った。
二人を見送り、俺も家へと変えることにした。
――――なのはside――――
今は家のベットで横になって今日の出来事を思い出していた。
変身して戦ったこと…、ユーノ君からジュエルシードについての話を聞いたこと…、そして過去に助けてくれた憧れの女性―白さん―にまた助けてもらったこと。白さんには頭を撫でてもらったり、褒めてもらったりしてとても嬉しかった。
(撫で方がなんだか八幡君みたいだったなぁ・・・。)
そんなことを考えつつ高町なのはは眠りについた。
一方、比企谷八幡は今日のこと、八幡として高町なのはを撫でてやったことと先ほどの白として高町なのはを撫でたことを思い出し…、
(何やってんだ、俺はぁああああああああああ!)
…ベットで悶えていた。
――――――――とあるビルの屋上に金髪の少女が立っていた。
月明かりが彼女の金色の髪を美しく照らす。
「第97管理外世界、現地名称『地球』…、母さんの探し物『ジュエルシード』はここにある。」
『Yes sir.』
そして物語は進んでゆく。
どうもゲルです。
やっと魔法少女リリカルなのはになった!!
全っ然!ストーリーが思いつかない!やばいですよお…
これやりたい!っていう八幡オリストのアイデアばかりが加速している!!
気づいた補足などはちょくちょく入れていきます。
まぁ、これからもアイデアひねり出して投稿していくので本作品をどうぞよろしくお願いします。
あ、ご意見ご感想ご要望ご質問もドキドキしながらお待ちしております。
では、さらば!