ポケモン×ボイスロイド ボイスポケット   作:SOD

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この小説は健全であり恋愛要素とかはありません。
仲間意識とか絆の類です。


9 きりたんです。ゆかり。

ゆかり「死肉の焦げた臭いがしますね……」

弦巻マキと琴葉葵のバトルが引き分けに終わり、ライディーンのかみなりが直撃したオーキドがぶすぶすと焦げている様子を見て、ゆかりは鼻を摘まんだ。

 

オーキド「の、のお。ゆかりくん。

老人の悲痛な姿を見て言うことがソレ?」

 

ゆかり「どうせ棺桶に片足突っ込んでんですから、火葬の予行演習みたいなもんでしょ」

 

オーキド「酷い……あんまりじゃ。グスッ」

 

ゆかり「んで、マキさんは引き分けたと?」

マキ「うん。葵ちゃん強かったよ。」

ゆかり「ふーん」

大して興味も無さそうに葵を見る。すると、葵は少し怯えた様子でマキの背に隠れた。

 

マキ「葵ちゃん?どうしたの」

葵「すみません弦巻先輩。わたし、ちょっと、その……」

 

茜「ごめんな、ゆかり先輩。葵ちゃんは、ちょっと人見知りやねん」

そう聞くと、ゆかりは欠伸しながら応える。

ゆかり「ふわぁ…そうですか。」

茜「悪いように思わんといて、ゆかり先輩。

その分内ウチがめいっぱい抱きしめたるさかいな!」

ゆかり「いや、いりませんから。マジで」

もう一つ欠伸すると、観覧用のベンチに腰掛けた。

茜「ほんでも…ゆかり先輩」

ゆかり「おら、あなたの対戦相手はもうフィールドに立ってますよ。さっさと行かないと、ずんだ餅がカビ餅になるでしょう。」

ずん子「おいゆかり、まずはアンタからやってやりましょうか」

ずん子の威嚇に見向きもせず、シッシッと手を払い欠伸をする。

ずん子をいつまでも待たせておくわけにはいかないので、茜は『またあとでな。ゆかり先輩。』と言うと、バトルフィールドへ向かった。

マキは自分の後ろに隠れる葵の面倒を見ている。

 

ゆかり「……………ふわぁ~」

 

ようやく静かになったと思いながら、一人独占状態のベンチに横になると…、

 

きりたん「さっきからやたら欠伸してますね、ゆかり。」

 

きりたんがゆかりに声をかけた。

 

ゆかり「やっと泣き止みましたか、ガキ。」

きりたん「きりたん。」

ゆかり「あ?」

きりたん「もしかしたら貴女のビート板には記憶と言うものが無いのかもしれませんが、私の名前は東北きりたんと言う名前なんですよ。結月ゆかり。」

ゆかり「いや誰のビート板にも記憶なんてもんがあるわけねえだろ--誰がビート板だクソガキ」

きりたん「きりたんです。ゆかり。」

ゆかり「ガキで充分です。」

きりたん「ならゆかりが覚えるまで言い続けましょう。いくら年増で衰えていても、忘れられないほど言い続けます。」 

ゆかり「ずんだのところへ行け。鬱陶しい。」

きりたん「バトル中にトレーナーのところへ行けるわけ無いじゃないですか、バカですか?それとも阿呆ですか?」

ゆかり「ぶん殴って良いですかクソガキ」

きりたん「きりたんです。ゆかり。

ところで少し頭上げて下さい。ビート板が邪魔で座れません」

ゆかり「座る場所に胴体は関係ねえだろうが!!」

 

キレるゆかりをはいはいと流すと、きりたんは「頭上げますよ~」とゆかりの頭をゆっくり持ち上げ、その下に座り、ゆかりの頭を自分の膝に乗せた。

 

ゆかり「なんだこれ」

きりたん「膝枕です。」

 

ゆかり「状況の名前なんざ聞いてませんよ。

何人の頭テーブル代わりに膝に置いてんですか。肘置きにでもする気か」

 

きりたん「いいから貴女は少し寝て下さい。

さっきから欠伸の声がうるさくてずん姉様の美声が聞こえないんですよ。」

 

ゆかり「テメエから湧いてきて図々しいガキが」

 

きりたん「きりたんです。ゆかり。

寝なくて良いなら、私にバトルの解説して下さい。」

 

ゆかり「は?バトルの解説??」

 

きりたん「ええ。ずん姉様の素晴らしいバトルを実は間近で見るの初めてなんです。だから解説してください。

貴女に負けた私では、貴女より強いずん姉様のバトルを理解するのは難しいでしょうから。」

 

ゆかり「おいサラッと人をずんだ以下にするな」

 

きりたん「本当はずん姉様本人に聞きたいところですが、ご多忙ですし、弦巻先輩は葵ちゃんに忙しいようですから。

貴女を選びます。ゆかり。」

 

ゆかり「いや、選んでねえからソレ。消去法な上に嫌々じゃねえか」

 

きりたん「じゃあ消去法で嫌々。

そういうことでよろしくお願いします。」

 

サラリとゆかりの髪を撫でながら、きりたんは微笑み

 

 

きりたん「--私の……初めてのお師匠さま」

 

 

弟子入りを宣言した。

 

ゆかり「……………………。」

 

きりたんに対して返答しなかったゆかりは、寝るのを諦めてきりたんの膝枕で仲間のバトルを観戦することにした。

 

 

 

 

マキ「よかった……二人とも、なんとかやって行けそう。」

葵「弦巻先輩、どうしましたか??」

マキ「ううん、何でも無いよ。葵ちゃん。

二人とも何だかんだで似たもの同士だなって思っただけだよ。」

 

 

 

 

そう口にするマキは、太陽のような眩しい笑顔だった。

 

 

 




単体の押しはマキときりたんなのですが
カップリングはゆか×きりが好きなような気がする。
続いてマキ×ゆか。


ゆかりときりたんにスポットが向けられるのは、単純に好きだからでは無い断じて無い。
こいつらめっちゃ動かしやすいから楽してるだけなんです。(なお悪い)

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