ポケモン×ボイスロイド ボイスポケット   作:SOD

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この作品はキャラ崩壊しないように頑張っています


39 やっぱ無理!!助けて!!

テレポートで目の前に現れたのは、かつての仇敵。

元ロケット団の幹部、エスパー少女のナツメだった。

 

ナツメ「フフフ……ご苦労様、東北じゅん子。

お前の悪の素質と、ポケスキル。実験段階のダークポケモンを試用するには充分だった。」

 

そう言うと、ナツメのバリヤードが、バトルが終わって電池が切れたように佇むずん子をねんりきで崩れた校門の瓦礫に向かって跳ね飛ばす。

 

マキ「ずん子ちゃん!!」

 

ナツメ「用は済んだ。後はゆっくり死になさい。」

 

 

ガコンーー!

 

 

瓦礫の山に落下して、鈍い音が、一つ聞こえた。

 

 

マキ「嘘……っ」

 

 

ナツメ「あの子はとっても役に立ってくれたから。ひと思いに殺してあげる。

 

辛いでしょうからねぇ。自我を奪われて操られて、友達のポケモンをポケスキルで洗脳して、戦闘殺戮マシーンのダークポケモンにする手伝いまでして、挙げ句、お友達の結月ゆかりを間接的に殺したんですもの!」

 

下卑た笑いが、マキの耳を刺す。

 

だが、マキはナツメではなく、ずん子の元へ駆けだした。

 

 

マキ「ずん子ちゃん!」

 

 

ナツメ「あらお優しい。けど甘いわよ。」

 

ナツメが指をパチンと鳴らすと、バリヤードがサイコキネシスでマキの自由を奪おうとする。 

 

 

ブライト『やらすかよ!!』

 

 

スイッチが入ったままのポケリンガルから、マキのピカチュウ。ブライトの声が叫ぶ。

 

マキから飛び上がったブライトは、両頬の電気袋からバチバチと発電し、一瞬の内に電気を尻尾に移動させる。

 

ブライト『エレキボール!!』

 

バリヤード『ぎやっ!?』

 

直線で放つ電気の球がバリヤードに当たる。

 

 

ナツメ「ほう。トレーナーの指示無しに戦うつもりか?」

 

 

ブライト『要らねえよ。テメエらは俺がぶっ飛ばす!!』

 

 

研ぎ澄まされた雷のピリリとした音がほお袋から鳴る。

コレまでの態度から一変して荒々しい雰囲気で、ブライトはナツメ達を見る。

 

 

ナツメ「だったら来なさい。七年前、手も足も出なかったピカチュウに何が出来るのかしら!?」

 

 

ブライト『じゃあ行くぜ!こうそくいどう!!』

 

 

小さな四つ足で素早く走り回り、ナツメの周囲を動き始める。

 

ナツメ「バリヤード、『ひかりのかべ』よ。

何するつもりか知らないけど、これでピカチュウの攻撃など無力にーー」

 

ブライト『かわらわり!!!』

 

パリン。踏みつけられた氷の膜のようにあっさりと割られた『ひかりのかべ』と同時にバリヤードがダメージを負う。

 

ナツメ「なっ!?」

 

ピカチュウ『喰らえや…ワイルドボルト!!!』

 

バリヤード『ギャアアアアーー!!??』

 

雷の塊となったピカチュウが、自分への反動を全く厭わずに、自分自身をバリヤードに叩き込んだ。

 

ナツメ「このピカチュウ、近接戦闘型なのか!?」

 

 

ブライト『アイアンテール!!!』

 

 

突っ込んだバリヤードを踏み台代わりに、今度はフーディンへ突撃するブライト。

 

ナツメ「不味い、フーディン!!『ワンダールーム』!!」

 

特殊な空間を生み出し、フーディンは紙耐久のぼうぎょの数値と、とくしゅぼうぎょの数値を入れ替え、ブライトのアイアンテールを両手のスプーンで受け止めた。

 

ブライト『10まんボルト!!!』

 

ナツメ「サイコキネシス!!!」

 

ワンダールームの効果を知っているブライトは、順次に攻撃をとくしゅこうげきに切り替えて応戦する。

 

電気と念派がぶつかり合うが、フーディンのとくしゅ値の方が高く、マトモにぶつかり合えばピカチュウの方が劣った。

 

 

ブライト『ちっ…』

 

 

ソレをしっかり把握しているブライトは、放った10まんボルトで僅かにサイコキネシスの勢いを殺しただけで回避に移った。

 

ナツメ(このピカチュウ…物言いが粗暴な割に、知性的にバトルを組み立てている……!!)

 

2対1において最も重要なことは、1番強い方を倒すのでは無く、1番自分の力や動きを阻害する相手を倒すことにある。

 

何故なら、相手のエースを2対1で倒そうとすると、サポート役が邪魔をして、結果相手に良いようにさせてしまうのことを防げないからだ。

 

最初はエースを壁役にして、準備が出来たらサポートが補助に回り、エースが全開で戦う。これが基本的な最強パターンになる。

 

この時サポートのバリヤードを倒すために多少ダメージを負ってでも、エースをこれ以上強化させずに済むなら儲けものなのだ。

 

更にナツメの驕りと慢心。

 

種族値的には相当な弱者であるマスコットや愛玩動物的役割に近いピカチュウを舐めていた。そこに速攻を仕掛ける。

 

理に適った行動だった。

 

 

ナツメ「フーディン。このピカチュウは強い、ここからは慢心せず、一人の強敵として迎え撃つぞ!!」

 

フーディン「フーディンっ!!」

 

 

 

 

ブライト(うわぁ…逆上して暴れてくれれば良かったのに冷静になっちゃったよ……さすがジムリーダー兼ロケット団幹部。

 

困ったなぁ…………ボク一人で何処まで時間稼ぎ出来るか。

精神的に打たれ弱いのがマキの1番の弱点なんだよなぁ……早く立て直してくれないかなぁ……)

 

 

 

ブライト「ピ、ピッカァ~」

 

そして、実はマキがずん子の元に走り出した辺りからずっと

 

 

 

『一人じゃ勝ち目無い。無理!!!!だれが助けてーー!!!』

 

 

という気持ちで一杯だったのに強気な演技までするこのブライトは、相当な役者でもあるのだった。

 

 

 

 




ブライトの心情については、日本語字幕が張られた『名探偵ピカチュウ』の予告編動画で
檻に入れられてリザードンと戦う際の
『やっぱ無理 助けて!』
の画像から考えました。


名探偵ピカチュウ。ストーリーは普通ですがね、ポケモンリアルに動いたらこうなるのか~感はあって勉強になりましたよ~

ポケモンバトルに出血や打撲やら、リアルな描写を入れることで緊迫感を出したいと思っていますが、読んでみてどう思いましたか?

  • 緊迫感が出ている
  • かえってバトルに集中できない
  • その他(コメントで教えて下さい)

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