廊下を少し行くと、寮生用の簡易的なポケモンの回復装置が設置されている場所に着く。
ゆかりは無造作に自分の持つ
マスターボール。モンスターボール。ムーンボールの3種類。
通常、トレーナーは市販のモンスターボールや、精々スーパーボールくらいしか持っていない。まして、ゆかりのムーンボールはS級レア。マニアに売れば6桁は行くだろう。
ゆかり「…………。」
全部のポケモンを回復し終えると、ボールを腰にセットすると、少し場所を避けて壁に背を預ける。
すると、今度はずん子が回復装置に五つのボールを置く。
モンスターボールが一つとフレンドボールが4つ。
ずん子「…………。」
2人は回復中に一言も話をせず、ずん子の回復が終わると、フリーザーをボールに戻し、校門へ向かって歩いて行った。
Side:弦巻マキ&琴葉葵
マキ「お待たせーごめんね葵ちゃん。1人にしちゃって」
葵がピカチュウと一緒に進んでいると、葵を迎えに来たマキと出会った。
葵「いいえ、大丈夫です。それより、何があったんですか?」
マキ「うん。ブライトが聞こえてた音、きりたんちゃんのハガネールのアイアンテールだったよ」
葵「あ、本当にバトルしてたんですね。
きりたんちゃんが見つかったってことは、お姉ちゃんもいたんですか?」
マキ「うん。初等部の生徒の音街ウナちゃんって言う子に、校門に案内して貰ってるよ。私たちも行こう」
葵「はい。分かりました。」
マキはブライトを拾い上げると、葵と一緒に校門へ向かった。
これにより、学園に来ていた弦巻マキ、結月ゆかり、東北ずん子、琴葉茜、琴葉葵、東北きりたんの6名全員が校門前に集まることになった。
きりたん・茜・ウナ
ウナ「で、あれからもう30分たったウナ~」
きりたん「やっべえですね。小学生だけで30分もステイさせるとか、車の中とかだったらもうアウトですよ。
……きりたん」
茜「最近は涼しくなってきたし、車の中で蒸し焼きになることはないんやないかな~茜」
ウナ「遊び盛りのjsに30分も大人しくさせとくとか拷問に等しいウナ。虐待ウナ」
きりたん「申し訳ありませんねえウナちゃん。きりたん。
…………やっぱりこの言葉の語尾に名前付ける遊びは、ウナちゃんだけが有利過ぎると思うんです。」
茜「せやな~。けど、しりとりもやってしもうたし、もう出来ることがなー」
何もせずに待っているという時間は子供にとっては中々辛いものがある。
30分間ひまな時間でだらけていた。
ゆかり「そんなに暇なら、ポケモン図鑑でも開いて勉強しておきなさい。」
きりたん「それもいいんですけど~ウナちゃんは図鑑持ってませんよ。」
ゆかり「そんなことですか。ほら。私の図鑑です。」
ウナ「ありがとウナ。ところでどちらさま?」
ゆかり「結月ゆかりです。」
ウナ「あーきりたんのお師匠さまか~。
きりたん、ほらほら。だらけてるとまたにげられるよ?」
きりたん「ん~?」
ウナ「き~り~た~ん~ゆかり師匠いるよ!!」
きりたん「ゆかり~?……………はっ!?ゆかりいいいぃぃー!??」
ゆかり「五月蝿い…」
茜「あ~ゆかりさんやー。やっと見つけた~」
きりたん「今までどこにいたんですか!?
校門に来れば会えると思ってたのに」
ゆかり「少し黙りなさいガキ。」
きりたん「きりたんです!ゆかり。
一体いつになったら覚えられるんですか」
ゆかり「はいはい。これからアンタの姉と戦うんですから黙って見てなさい」
きりたん「え?ずん姉様と?何で??」
茜「おお~ずん子先輩とのバトルかぁ~
見とってええ?ゆかり先輩」
ウナ「ウナもー!」
ゆかり「……まあ、どこに居るか分からないより視界に入ってた方が良いか。」
ずん子「……きりたん、なるべく離れていてね。」
それまで近くにいたものの口を開かなかったずん子がきりたんに言う。
きりたん「………ずん姉様…?」
何か違和感を感じたきりたん。
お互いに間隔を開けて約40メートル。向かい合う。
ゆかり「……準備は?」
ずん子「ええ。」
互いにボールを握る。
ウナ「高校生のバトルって、こんなに雰囲気暗いの……??」
きりたん「ずん姉様……ゆかり……」
茜「ゆかりさん……」
ずん子「行きますよ……ゆかり!!」
ゆかり「ーー来い。」
互いに、ボールを投げ放った……
ゆかりとずん子の最初のポケモンは何が出るでしょう?
両方当てられたら何か良いことがあります。
チンケな達成感とか