ポケモン×ボイスロイド ボイスポケット   作:SOD

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コメントを貰えると投稿したくなる。
これは投稿者の性ですな。





…………まあ、それはそれとして、ポケモンって生き物な訳ですから、当然生死は存在するわけですよね。
別に関係無いけど。



21凄惨

きりたん「戻って、ハガネまる。」

 

ハガネまるが戦闘不能になる直前、きりたんはハガネまるをボールに戻す。

レベル差はほぼ倍、更にアドバンテージだったハズのステータスアップすら、相手に並ばれた。

じだんだ一発でも、ハガネまるにはかなりの痛手。

とくせいの“がんじょう“が無ければきりたんが負けていた。

その事実に、きりたんは歯噛みする。

 

ツツジ「今のメレシーのじだんだの威力は……!?

なるほど…やはり、何らかの補助ワザでハガネールのステータスを上げていたのですね。

素晴らしいですわ、きりたんさん。やはり貴女は才があります!」

 

小学生がここまでハガネールを扱えることは無い。

既にポケモンの扱いだけならエリートトレーナーレベルだ。

 

きりたん(ちっくしょう……!!)

 

だが、きりたんにとって目の前の女の賛辞など、こおりなおしほどの価値も無い。

 

きりたん(ハガネまるが勝てない以上、今のメレシーに勝てるポケモンなんていない…わたしの、負け?)

 

ボールに収めたハガネールを見ながら、きりたんは考える。

 

 

ウナ「きりたん、次のポケモン出さないのかな?」

茜「……さすがに、もう諦めるしかないやろな。」

 

きりたんでは勝てない。もう誰もがそう思った。

 

きりたん「……くそっ!!」

 

茜(さっき飛ぶ時に乗って来たエアームドは、バトル用のポケモンでは無いやろし、仮にそうでも、ひこうタイプを持つ以上、岩タイプに対してあんまり有利にも働かん」

 

 

目に涙をため、顔が歪むほど眉間にしわが寄る。

悔しさで、不甲斐なさで…何よりも怒りが湧く。

 

 

きりたん(くそっ!!くそっ!!くそォッ!!!勝てない。わたしじゃ、勝てない……勝てない!!

畜生、あんなやつなんかに、ゆかりがバカにされたまま終わるくらいならいっそーー)

 

きりたん「……………あ」

 

 

()()()()()()…………勝てない。

 

頭に血が上ると兎に角周りを顧みず、勝つことに固執するきりたんの頭が、僅かに冷静になる。

 

 

ツツジ「きりたんさん、気に病むことなどありません、まだ幼い貴女が、ジムリーダーに本気を出させたことは、寧ろ偉大なことなのですよ…?」

 

俯き黙るきりたんを心配し、言葉をかけるツツジ。

 

しかし、その言葉は耳に届かず、きりたんはハガネまるのボールを戻し、別のモンスターボールを取り出す。

 

 

きりたん(ごめんなさい、ゆかり。わたしは勝てませんでした。でも、貴女は絶対負けないよね?)

 

祈るようにボールを両手に持ち、胸に抱く。

 

きりたん「ーーあなたが育てたポケモンがどれだけ強いのか、私に見せて!!お願いします、ユカリ。」

 

 

モンスターボールから解き放たれた二足歩行の岩の怪獣。その巨躯は標準のサイズより一回り巨きく、ハガネまるのじしんに荒らされたバトルフィールドの砂を、着地と同時に巻き上げた。

 

ユカリ「ゴオオオオオオォォォォォーーー!!!!」

 

ツツジ「きゃあっ!?」

ウナ「ひいっ!??」

茜「な、このポケモンは…!?」

きりたん「あははっ!凄いやる気!!」

 

思わぬポケモンの登場に、茜は思わずポケモン図鑑を開いた。

 

きりたん「ユカリ!つのドリル!!!」

ユカリ「ガアアアアアアアーーー!!!!」

 

頭部の自慢のツノをドリルのように回転させる。

すると、ツノを中心に竜巻が起こり始めた。

バチバチと音が成り、次第に竜巻がユカリのカラダごと包み込み始める。

 

 

ツツジ「な、なんですの…?何が起きているの……??これが…つの、ドリル…??あれ、は……サイド…ン???」

 

ウナ「…………格好いい」

 

茜「うそやろ……」

 

 

きりたん「行って!ユカリ!!」

 

茜「きりたんちゃん!!あかん!!!」

 

きりたんのかけ声に応え、ユカリはメレシーに向かって前進する。

茜の悲痛な叫びは届かない。

その光景に唖然としていたツツジが、ようやく理性を取り戻した。

 

ツツジ「はっーー!?

い、いいえ、落ち着くのですわたくし。メレシーのとくせいはがんじょうです。つのドリルでひんしになるようなことはありません。

そうです、知識は絶対です。お勉強で知識を身につけたわたくし達に怖いものなど……」

 

それは、自分に言い聞かせるだけの、虚しい言の葉の羅列だった。

事実、ツツジの言っていることは正しい。

とくせいのがんじょうは、つのドリルを無力化する。

意味は無い。脅威では無い。

 

ユカリ「ゴアアアアアーー!!」

 

メレシー「キュアアアアア!!???」

 

ユカリのツノがメレシーのがんじょうなカラダを貫き、串刺しにする。そして、それまでツノに纏っていた竜巻が内側に注がれ、中身をズタズタにしていく。

 

ツツジ「あ………あああ…!!!?」

 

きりたん「な……え……!?」

 

その凄惨な様子は、きりたんにも予想外で、最初に出会った優しそうなサイドンの面影は無い。

 

ウナ「う…うわああああー!!」

 

目の前の光景が理解出来ず、音街ウナは泣き出す。

琴葉茜は、間に合わなかったことを悟る。

 

茜「………………。」

 

 

その後、ユカリは完全に意識を手放したメレシーをツノから払い落とし、“ふみつけ“た。

 

きりたん「え……ユカ、リ……??」

 

ツツジ「め……メレシイイイィィィーー!!!?」

 

 

 

 

 

 

その光景から目を背けた茜の手にデータの記録を終えたポケモン図鑑が、ユカリのデータを表示していた。

 

 

 

 

サイドン Lv100

現在使用したワザ

 

つのド●ル●ずし●か●な●だい●●じ

 

ふみつけ

 

 

 

 

 

 




この小説には不快かつ残酷な描写をなるべくソフトな表現で用いる場合があります。(今更)



さて、今回の話の補足を少し。

これまでゆかりは学園内で、子供にも容赦ないだの、残虐非道だのと言われていましたが、当然今回のサイドンーーユカリのバトルの様子など知りません。
何故ならゆかりは基本格下に本気でかかることが無いからです。
それでも何故か、ゆかりの悪い話は、知られているのです。



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