ここはタマムシ学園。
各地方のポケモン塾で優秀な成績の生徒だけを集めたエリート学園だ。
ここを卒業すれば、ポケモンに関する就職が非常に有利であること。そしてエレベーター式で一度入れれば受験も無いこともあって、世界中の学生の憧れの的。
人数は少ないが初等部も存在している。
今も初等部のバトルフィールドで生徒がポケモンバトルをしている。
「いけ!ラッタ!!ひっさつまえば」
「いっけえー!しらすどん!!ドラゴンクロオオオォォーー!」
ラッタ「ブラアアッター!?」
しらすどんと呼ばれているシビルドンのドラゴンクローがラッタにヒットし、ラッタは場外に吹っ飛んだ。
それを見ていた審判役のゆるふわコーデのお姉さんが宣言する。
「ラッタ、戦闘不能。シビルドンの勝ち。
よってこのバトルの勝者はウナちゃんです。」
「よおおおおっしゃあああーー!!」
マッギョの帽子を被ったメガネの少女。音街ウナは、ハイテンションでシビルドンに抱きつき勝利を喜んだ。
ウナ「さすがしらすどん。わたしのドラゴンだー!」
ゆるふわお姉さん「あの、ウナちゃん。シビルドンはドラゴンタイプじゃないんだよ……?」
ウナ「ええー!でもしらすどんはちゃんとドラゴンクローしたよ?ささら姉ちゃん!」
ささら「ウナちゃんにとってはドラゴンクロー出来るポケモンならドラゴンなんだね……」
少し複雑そうに笑いながら、ゆるふわお姉さん。さとうささらは納得する。
ささら「さあ次は誰がバトルしようか?
バトルしたい人~」
初等部生徒達「「「は~い!!」」」
皆元気よく手を挙げる。
すると……
「おむれつストップやああああーー!!?」
「アムドまる止まってえええーー!!?」
ドカーン。
何者かがバトルフィールドの壁を突き破り、空からの飛来物が突き刺さり、何かが音街ウナにぶつかった。
きりたん「ふぎゃっ!?」
ウナ「むぎゅっ!!??」
茜「ああ~~目が回るわ~」
ささら「え?え?えええーー!!?なんか突撃してきたー!?」
一方その頃、きりたん達を追っていたマキ達は……
マキ「どうしよう。思ったよりきりたんちゃんのスピードが速い……」
ずん子「あの子はこうそくいどう出来ますからね……」
想定以上のスピードで移動されたことで焦燥感を感じるマキと未だ立ち直っていないずん子。
マキ「困ったなぁ…こっちがりゅうのまいでスピードあげても、向こうの方が速いし……」
葵「お姉ちゃんのおむれつはただ移動するなら瞬間移動に近い速さで移動出来ますし……」
ずん子「…………。」
マキ「ずん子ちゃん、元気出して。きりたんちゃんだって、ずん子ちゃんが嫌いになったわけじゃ無いんでしょう?」
ずん子「そうですけど………うう…」
マキ「大丈夫だよ。学園に着いたら研究所に戻ってちゃんとお話しよう?ゆかりちゃんも一緒に。」
ずん子「はい……」
葵「ところでマキ先輩、結月先輩は飛行手段あるんですか?二人とも当たり前のように飛んで行っちゃいましたけど」
マキ「ううん、私が知る限り持ってないと思う。」
葵「じゃあ二人が飛んでいったのって無駄なんじゃ……」
マキ「う~ん、ゆかりちゃんはいつも知らない内に傍にいるから、学園に着いてても不思議じゃ無いけど」
葵「なんですかソレお化けですか!?」
ゆかり「う~ら~め~し~や~」
葵「きゃーーー!!???」
3人が後ろを見ると、ライディーンの足に掴まったゆかりがいた。
マキ「あれ?ゆかりちゃんどうして??」
ゆかり「いや~こうそくいどうが出来るライディーンを置いてって貰ったのは助かりました。」
ライディーン「つまみ食いしてただけなんだがな…」
ゆかり「死にぞこないはドードリオしか持って無いですからね。あいつの空中走りをそらをとぶに認定している協会はどうかしてますね。」
マキ「いや、学園帰ったんじゃ無かったの?」
ゆかり、説明中…
マキ「ゆ、ゆかりちゃんってオーキド博士のこと好きなの?嫌いなの??」
ずん子「オーキドはかせの研究所がマイホーム扱いとか……あそこ、結構散らかってますよ?
わたし到着そうそう片付けましたし。
てっきり嫌ってると思ってましたよ」
ゆかり「?何言ってるんです?私は研究所も、あの死にぞこないも好きですよ?」
マキ・ずん子・葵「ーー!!?」
ゆかり「……???」
何言ってんだこいつらという顔のゆかりと、あんだけのことをしといて博士と研究所が好きって何考えてんだこいつという顔をする一行。
マキ「ゆかりちゃん、もう少し博士に優しくしてあげた方がいいよ?嫌われる前に」
ずん子「ですね。」
ゆかり「いいんです。…私は、好かれない方が好きですから。
あのおじいちゃんは天然記念物並みのお人好しですけどね。フフッ。」
マキ・ずん子(……可愛い)
思わず思ってしまうほどの笑顔で、ゆかりは笑った。
ささら「本当に大丈夫?3人共」
きりたん「はい。この度はご迷惑をおかけして済みませんでした…」
茜「ウチも大丈夫です~。壁、壊してもうてごめんなさい。」
ウナ「ウナはマッギョ帽子があったから平気。」
きりたん「ごめんね、ぶつかっちゃって」
ウナ「いいよいいよ。ウナは音街ウナっていうの!
あなたの名前は?」
きりたん「私は東北きりたん。
4月からここの実戦科に編入することになってるの。よろしくね」
茜「ウチは琴葉茜や。双子の琴葉葵と一緒にウチらも編入組やねん。よろしゅう」
ウナ「うん!よろしくねー」
ささら「なるほど~あなたたちが編入生だったんだね。
まさか空から飛んできて壁を突き破って来るとは思わなかったよ。
私はさとうささら。4月から高等部の1年生だよ。」
茜「先輩やったん?ウチてっきり先生かと思ったわ~」
きりたん「私も。」
ささら「えへへ。将来は学園で先生になりたいんだ。
だからこうして、初等部の子達と一緒に自習練習してたの。」
きりたん「それでまだ3月なのにバトルしてたんですね。」
ウナ「ちなみにウナが勝ったよ。ブイ!」
茜「お~立派なシビルドンやな~。」
ウナ「えっへへ~。パパと一緒に育てたんだ」
ささら「あ、ところで二人は今日はどうして学園に来たの?見学かな?」
きりたん・茜「「あ!」」
きりたん「忘れるところでした。佐藤先輩。」
ささら「ささらで良いよ。きりたんちゃん。」
きりたん「じゃあささら先輩。私たち人を探した来たんです。」
ささら「人?だれかな?」
茜「あんな、結月ゆかりって言うねんけど」
ささら「結月ゆかり--!?」
ゆかりの名を聞いた瞬間、ささらはビクッと肩を震わせた。
きりたん「ささら先輩?」
ささら「ゆ、結月ゆかり……さんって、2年生かな?」
きりたん「そう言ってました。実戦科です。」
ささら「う……う~ん…………」
きりたん達の言葉に、ささらは困ったなぁと考え込んでいると……。
男子生徒「なあささらちゃん。」
ささら「え、あ。何かな?」
男子生徒「あの二人とウナ、行っちゃったんだけど。」
ささら「え!?うそぉ!」
さっきまでそこにいた少女達は、さっさと行ってしまったのだった。
さとうささらさんはうらおもてのないいいひとです。
そんなわけで音街ウナとさとうささら。参戦。