拝啓。カルデア様。   作:とりるんぱ

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皆さんカルデアエース読みました?
私は今日二日遅れで買いまして、只今絶賛読みながらこれを書いています。それを踏まえた話をいつか書くかも。


二月二十五日

二月二十五日

 

拝啓。

 

お兄ちゃんには失望しました。

まさかうちの兄が女装して舞踏会に臨み、白人の美女と社交ダンスをするような人物であったとは。

 

その助平野郎甚だしい根性にも身を見張りますが、それよりも腹が立つところはわりと似合っているところです。

 

何ですか貴方、いや貴女。可愛い顔してるじゃないですか。というか、めちゃくちゃ美人じゃないですか。

もうその格好のまま日本に帰ってきてはどうですか?絶対モテますよ。

何なら学園のアイドル化するまである。お兄ちゃんも女性からは距離を置かれ男性からはレーザービームのごとき熱い視線を浴びる生活を送ってみませんか。

まあそんなんやったら絶交しますが。

変態野郎の妹とか死んでもなりたくないので。

 

ちなみに件の写真の出所ですが、秘密です。敵は身内に有り、ということです。

誰が敵か分からず、疑心暗鬼になってしまうがよいのです。

 

……冗談はほどほどに。前回の手紙にて、俺が近況報告をしているというのにお前はしていないとは不公平じゃないかといわれたので、私も書くことにします。

うら若き女子高生の隠された日常を明らかにするのだ、喜ばしく思え。

 

昨日、進路希望調査なる紙が配られました。

進路希望というのは……言うまでもないでしょう。お兄ちゃんが一学年時に、世のため人のためになる職業につきたいと書いたアレです。

一見聖人のような進路に見えますが、よくよく考えなくてもめっさ抽象的。ただ単に、まだ決まってないのをかっこよくいいかえただけでは?と思ったものです。

 

さて、私はと言いますと、これが全く、さっぱり、全然、これっぽっちも、爪の先程も書けないのです。

何故なら私の夢は高等遊民だからです。

ニートではありません。高等遊民です。

 

高等遊民は素晴らしいです。一日中ごろごろぐだぐだして過ごし、夕方になってひょろっと出掛けていき、夜中に戻ってくる。

ご飯は待っていても自動で出てくるし、服はかごに放り込んでおけば知らない間に洗われている。

なんて夢のような生活。この素晴らしい高等遊民の実現を!

何度も言いますが、決してニートではございません。

 

しかしそんなものを進路調査に書くわけにもいきません。正気を疑われます。

そこで正気とバレてしまっては、間違いなくぐだぐだな精神を持つ女、ぐだ子とか呼ばれるようになるでしょう。お兄ちゃんみたいに。

 

それはごめん被る。そんなことになるくらいならカブトムシと書いて出すほうが幾分かましでしょう。

となると夢をでっちあげなきゃなりませんが、それが思い付きません。

 

あーなんかいい感じの嘘でっちあげられないかなー。昨日からずうっと私の天才的な頭脳をフル活用していたのですが、それでも思い付かないのです。

これはもう、お兄ちゃんに聞くしかないのでは。

 

と、そういうわけなのでお兄ちゃん、なんかいい感じのでっちあげを教えてください。お願いします。

 

期日は一週間です。

 

かしこ

 

藤丸立花


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