fate+DM+オリ主=大惨事   作:ヤマアラシ齋藤

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転生者ゲット君の日記 5

──それは光の化身だった。清浄なる光の力を使い天界より魔を討ち滅ぼす為に地上へと降りてきた存在、天使の軍勢を纏め上げ天界を治める聖霊王。

天界にて天使を纏め上げ統治する存在、人間ならばそれをこう言うだろう

 

神と

 

だが彼は神ではない。聖霊王はあくまでも王なのだ。神には至れない、彼の永遠のライバルとなる悪魔神ですら神の器ではない。実際の所彼も神と名乗ってはいるが彼も王の器なのだ。彼よりも格上の存在であったブラックモナークですら覇王と自らを名乗っていた。この世界に神はいない。

少なくとも、今はまだ

ならば火文明最強、グラディアンレッドドラゴンは神と呼べるのかと言えばそうではない。彼は神とは呼べない。彼はただ力を持っているだけの悪童なのだ。

唯一無二の好敵手との戦いを忘れられなくて。力を振るうだけの戦闘狂。

 

だが、一番神に近い存在はこの世界にもいる。存在そのものが戦いの化身であり、それに自意識などなくただ敵を打ち倒すだけ。王と呼ばれる者達がいなくなるまで戦い続け最後には仙界と呼ばれる世界に帰る存在が。

 

闘匠メサイヤ。本来ならばこの時代で戦う事はなかった筈のそれは、ある1匹の悪童のせいでこの世界に降り立つ事になってしまった。崩壊した本来起こりうる歴史の流れ、それを戻す為に呼び出された所謂抑止力の化身。それが現れてしまった以上全ての王は死ぬまで戦わなくてはならない。さもなければ戦匠は下された命令通り永遠に戦い続けるだろう。

 

全ての王が死ぬその時まで

 

フィオナの森が、古より存在している大地の化身、ジャイアント達はその日神を見た。これこそが大地の化身、自然のマナの概念そのもの。これの前にはどんな力を持った存在も勝てない、何故ならこれは闘匠。闘いの化身で概念そのものなのだから。

それの顕現を知っているのは今はまだ自然文明だけ、だが直ぐに知る事になるだろう。戦匠の存在に、その強さに。

 

1匹の悪童の死を持って闘匠の恐ろしさを世界に知らしめる事になる。

 

──戦いの銅鑼が鳴り響く。

炎と閃光、闇の波動が凄まじい音を作り出し大地を抉り、吹き飛ばし、消し飛ばして大地が悲鳴をあげる。大地に眠るマナが溢れ出しマナが乱れようとも三つの力は衰える事がない。寧ろ大地が吹き飛ばされれば吹き飛ばされる程その力は勢いを増していく。

 

火文明最強は吼える。まだだまだ足りぬ、まだ戦い足りぬ、血が足りぬ、実力が足りぬ、死闘が足りぬと。

彼の足元にあるのは山のような千切られたホーリースパークの数々。彼の動きを封じようと使った何千何百ものそれが壊れ果て動く事はもうないだろう。

 

火文明最強の咆哮で世界は揺らぎ辺り一面が何もなかったように塵へと消えていく。それを正面に受けながらも英霊王と悪魔神は懸命に立ち向かう。自分と比べることすら馬鹿らしくなる圧倒的な存在に向かって己が死力を出し尽くし一撃を加えてみせると。

 

「貴様らでは生温い!俺の永遠の好敵手である覇王はどうしたぁ!奴ならば俺と対等に戦える!お前らでは無理だが奴ならば俺を倒せる。死力を尽くした戦いが出来る!」

 

「覇王は……覇王はどうしたぁぁぁッ!」

 

「……貴様程度にブラックモナーク様が手を煩わせる訳にはいかん。残念だが貴様は我……いや我等に倒されるのだ」

 

「……グラディアンレッドドラゴン。貴様は既に浄化の対象に入っているのだ。大人しくその身を浄化の光に預けると良い」

 

その言葉に火文明最強は吼える。良くぞ言った、ならば今のお前らでは勝ち得ぬ存在がこの世界にはいるという事をその身を持って知るが良いと。

 

──炎が巻き起こる。大地よりも大きい巨体から精製される莫大な火のマナを凝縮した炎の塊が竜巻となり全てを燃やし尽くし悪魔神と聖霊王を襲い掛かる。その炎を必死に堪えるがこの程度は火文明最強にとって息を吐くのと同じレベル。悪魔神と聖霊王、両者の限界がここだとしたら火文明最強。グラディアンレッドドラゴンと今は絶対に叶わない実力の差がここにあった。

闇文明の秘術デーモンハンドも光文明の退魔の兵器ホーリースパークですらコレには叶わなかった。勝ち目がない、どうあがいても絶望。だが彼等は諦めない、何故ならば彼等には死ねぬ理由がある。勝てなくても生き残らなくてはならない

 

「……奴を殺らねば我等に希望はない。我等闇文明も貴様ら光文明も火文明に滅ぼされる。それで終わりだ」

 

「元は我々の戦いだった筈なのだがな……まさかこのような化物が参戦してくるとは」

 

覚悟は決めた。両者共に怪物を倒す為に命を掛ける事を決意する。だが死ぬつもりはない、彼等の死は文明の滅びと同意。故に敗北は彼等の中にない。

 

「来るが良い。力無き者達よ!貴様ら程度の有象無象が俺と同じ土俵に立てるとでも思うな!」

 

──その時フィオナの森から銅鑼の音と共に一体の巨人か現れた。これがこの大戦争を更に歪める原因の一つ、そして火文明に大打撃を与えた一つである。

 

グラディアンレッドドラゴンは感じた。自分と同等の存在の現れを、好敵手。覇王ブラックモナークではない別の超常の怪物の存在を。その時目の前にいた有象無象の存在を忘れその存在に意識を集中した。

 

ゴーン、ゴーン、ゴーンと銅鑼の音と共にそれは戦場に現れた。自然のマナの塊の身体、身体よりも大きい巨大な仮面を付けた一体の怪物。

グラディアンレッドドラゴンはそれを知っている。遥か太古の昔より存在していた怪物だから知っている存在、それを見た瞬間歓喜した。死闘は必須、下手をすれば自分を殺しうる超常の怪物。

 

「メサイヤ。テメェ……いや、言葉は無粋か」

 

グラディアンレッドドラゴンの言葉に対して闘匠メサイアは何も話さない。ただ銅鑼の音が鳴るだけだ。2体はお互いに身体中のマナを昂らせそれを放出する。赤と緑、火文明と自然文明のマナがぶつかり合い大地を混沌へと変えていく。自然のマナにより大地は豊穣の世界に、火のマナにより全てが焼け付き不毛の世界に。精霊王も悪魔神も嫌でも気付いてしまう。これこそが最強同士の戦い、今の自分達では立ち入る事が出来ない神域の戦い。勝ち目がない、この場にいるだけで余波で死んでしまう可能性すらある。

 

「餓鬼共……分かってんだろ。さっさと消えな、ここからは俺と此奴の殺し合いだ」

 

「じゃねぇと……死ぬぞ?」

 

その瞬間、怪物同士はぶつかり合った。そしてその衝撃に戦場は今、完全に崩壊した。

 

メサイヤの拳が唸りをあげてグラディアンレッドドラゴンに襲い掛かる。なんの捻りもない唯の拳、だがグラディアンレッドドラゴンと同等の存在が放つ全力の一撃は避ける事は容易いものではない。彼等と同等の存在でなければその一撃で身体はマナに分解される程の衝撃が相手を襲うだろう。

 

それを迎え撃ちながらグラディアンレッドドラゴンは同じく拳で返す。

超至近距離から始まる殴り合い、その中でグラディアンレッドドラゴンが炎を発しメサイヤが自然のマナで掻き消す。大地は2色のマナによって乱され壊され混沌へと変わっていく。

その惨状を見た者達はこう語り継いだ

 

あれはまさしく焦土と開拓の天変。世界に天国と地獄に訪れた。と

 

戦いは続く。どちらかが倒れるまで、どちらかが死に動かなくなるまで。全ての文明がその姿を見守った。火文明はグラディアンレッドドラゴンが勝つ事を信じた。自然文明はメサイヤが火文明最強に攻撃している姿を見る事しか出来なかったから止める事が出来なかった。故に祈った。両者痛み分けという有り得ない未来を

闇文明と光文明は目の前の神域の戦いをただ呆然と見ていた。これこそが戦い、悪魔神と聖霊王が何れ到達する領域だと。

水文明は笑う。混沌とした戦場の中でこれからの動き方を

 

様々な思想が渦巻く戦場の中、倒れたのは火文明最強、グラディアンレッドドラゴン。あの最強の死に火文明は混乱し一部の実力者以外戦う事すら出来ない惨状に陥った

そしてそれを見逃す光と闇ではない。ここで火文明を滅ぼさんと攻め入るが自然文明のジャイアント達がそれを防ぐ為に立ち上がる。フィオナの森を救ってくれた恩義の為に、ただそれだけの為に生命を賭けた。

太古の自然の化身。ジャイアント達の力は強大だった。ジャイアントの長はグラディアンレッドドラゴンには劣るがそれでも悪魔神、聖霊王に負けぬ程に。

 

そして滅びを避けた火文明は光と闇との防衛戦で疲弊し暫く動かなくなる。

そしてそれを見逃さない水文明が再び火文明を侵略せんと襲い掛かる。だが、あの戦争で更に強くなった機神装甲と各種族の頂点、そしてロックビーストと呼ばれる種族が猛攻し迎撃した。

 

そして悪魔神バロムと聖霊王アルカディアスの激闘、それは三日三晩続き精霊王の浄化の力の前に悪魔神バロムは敗北し封印された。種族頂点の死、散り散りなる闇の文明を滅ぼさんと光文明が追い討ちを掛けるも、復活した荒廃の巨王ジェノサイドと呼ばれる存在との戦い疲弊した精霊王は共倒れとなる。

 

そして全ての王が死に絶えた時、また銅鑼の音が鳴り響き闘匠メサイアは仙界へと帰っていった。

 

こうして混沌とした戦争は幕を引いた

 

文明大戦争これにて終幕

 

<$月§§<日

戦争は終わった。けどいっぱい死んだ

グラディアンレッドドラゴンが死んだ。これから始まるサバイバーの侵略を今の火文明で止められるのかは分からない、だけど俺は死にたくないから戦わなくちゃならない。

生きねば。戦って戦って戦って、綺麗な嫁さん貰って子ども貰って幸せな余生を過ごしたい。まだ赤ん坊だけど絶対に生き残ってやる。

ジャスミンちゃん可愛いペロペロ

 


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